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「パイナップルグァバ」の別名をもつフェイジョアは、トロピカルフルーツのような強い香りと甘酸っぱい味わいを楽しめます。スーパーや青果店ではほとんど出回ることがないので、家庭栽培にチャレンジして珍しいフルーツを収穫してはいかがでしょうか。
異国情緒のあるフェイジョア
受粉樹と人工授粉が収穫の鍵
中南米原産の果樹、フェイジョア。オリーブと並び異国情緒ある樹姿に近年人気があります。収穫果は緑色で、追熟した後に輪切りにし、スプーンで果肉をすくって食べます。トロピカルフルーツのような強い香りと甘酸っぱさが特徴で、リンゴやパイナップル、バナナをミックスしたような風味を楽しめます。暑さに強く、病害虫がほとんど発生しないので、手間があまりかからない点もうれしい特徴です。
栽培する際に注意したいのが冬の寒さです。マイナス10℃程度まで耐えるといわれていますが、そこまで下がらなくても枯れてしまうことがあるので、地域によっては鉢植えで育てるとよいでしょう。庭植えでは、防寒対策が必要な場合もあります。収穫を目的とする場合には受粉樹が必要で、面倒でも人工授粉することをおすすめします。


日常の管理
置き場所
日陰に強く、日当たりが悪くても樹自体の調子が悪くなることは少ないです。観葉植物として育てる場合には、室内の窓際に置いても大丈夫でしょう。ただし、日当たりがよければよいほど、花つきや実つきがよくなるので、収穫を目的とした果樹として育てる場合には、春~秋は屋外に出して、なるべく直射日光が当たる場所に置きましょう。
寒さに比較的弱く、マイナス10℃を下回ると枝葉がパリパリになり、樹が枯れることもあります。寒冷地で鉢植えを育てる場合には、冬は屋内などに取り込むとよいでしょう。冬でも葉がついていて光合成するので、窓際などの日当たりがよい場所が向いています。
水やり
葉が厚く、水を蓄えているので多少の乾燥には強く、庭植えは相当乾燥しないと樹が枯れるようなことはありません。そのため、庭植えでは猛暑の夏を除いて水やりは不要です。
鉢植えは根の範囲が限られるので、水やりが必須です。春と秋は2~3日に1回、夏は毎日、冬は1週間に1回を目安とします。水やりが足りないと枝葉の発生が少なくなり、枝葉の先端がしおれるので、枝葉の状態や表土の乾き具合を観察しながら水やりのタイミングを見極めましょう。
肥料
肥料は、2月(油かすなど)、6月(化成肥料など)、10月(化成肥料など)の年間3回に分けて施すのがおすすめです。ただし、これらの肥料にこだわる必要はありません。
植え付け(2~3月)
寒さに比較的弱いので、寒さが緩んだ2~3月が植え付けの適期です。冬にマイナス10℃前後まで最低気温が下がるような寒冷地では庭に植えるのは控え、鉢植えにして冬は室内などに取り込んで防寒対策をします。植え付け後に分岐部から30㎝以上の長い枝は、先端を3分の1程度で切り詰めると、間延びした株になるのを防げます。


エディブルフラワーとして楽しむ
フェイジョアは5~6月に白いエキゾチックな花が咲きます。花弁は多肉質でわずかに甘いので、食べることができます。メキシコなどの中南米ではサラダなどに入れて楽しむ文化もあるようです。開花中の花から新鮮な花弁だけを摘み取り、サラダなどに入れて楽しんでもよいでしょう。自身で育てているからこそ味わえる、特別な逸品です。

年間の管理・作業
①開花・人工授粉(5~6月)
フェイジョアは自身の花粉では受精しにくい性質(自家不和合性)が強く、苗木1本では結実しにくい品種が多いので、基本的には受粉樹が必要です。‘アポロ’や‘ジェミニ’などの自家結実性が比較的高い品種であっても、受粉樹があると実つきが格段に向上するので、異なる2品種以上を育てるのがおすすめです。
受粉樹があっても、降雨などで花粉が流れ落ちて、受粉が失敗することもあります。毎年のように実つきが悪い場合は、人工授粉をするとよいでしょう。家庭で行う人工授粉では、異なる2品種のうち、一方の品種の花を摘んで、もう一方の品種にこすりつけます。花の中心にある雌しべに花粉がつくように、ていねいに授粉するのがポイントです。


②摘果(8~9月)
豊作と不作の年を繰り返す性質(隔年結果性)が強いので、幼い果実を間引く摘果が重要な作業といえます。摘果の適期は落果が一段落した8~9月です。摘果する際には、1枝1果を目安に間引きます。

③収穫(10~11月)
色づく程度や果実のかたさなどでは収穫時期を判別しにくいため、数個の果実がポロポロと落果し始めたころを適期の目安にします。落果した果実でも中身が傷んでなければ食べられます。落ちた果実を収穫しつつ、樹についた果実を引っ張って収穫しましょう。収穫直後の果実はかたくて食べられない場合が多いので、④の追熟をするとおいしく食べられます。

④追熟(10~11月)
収穫果は、3~10日ほど室内の日陰の涼しい場所に放置して、追熟させるとよいでしょう。その際、冷蔵庫の中に入れると追熟が進みにくいので控えます。
追熟が思うように進まない場合や早く食べたい場合は、リンゴと一緒にポリ袋に入れると短期間で追熟が進むことが多いです。リンゴから発生するエチレンが、フェイジョアの果実の追熟を促進します。

⑤防寒対策(12月~翌年3月)
寒冷地では、鉢植えにして冬に室内などに取り込むのが基本です。一方、すでに庭植えにしてしまった場合や、数年に一度の寒波が襲来する場合には、写真のように白色の寒冷紗を地上部全体に巻いて、ひもなどで固定するとよいでしょう。

気をつけたい病害虫など
病害虫に強く、収穫皆無になるほどの被害は少ないです。ただし、カイガラムシ類やアブラムシ類が発生したり、それらの分泌物などが原因となるすす病が多少発生するので注意します。

カイガラムシ類
3ステップで覚える
フェイジョアの剪定
剪定の適期は3月ごろです。ただし冬に鉢植えを室内などに取り込む場合には、3月まで剪定を待つ必要はなく、12月など取り込む直前に行いましょう。フェイジョアは枝分かれしやすく枝が込み合いがちなので、枝の間引きを重視して剪定します。


株元の枝を間引く
「ひこばえ」と呼ばれる新梢が株元から発生しやすく、枝が込み合う傾向にあります(品種によって異なる)。株元から発生する枝は多くても5本程度にし、残りは付け根で切り取りましょう。数を少なくすることで1本1本が太くて丈夫になり、風などにも強くなります。


樹の内部の不要な枝を間引く
フェイジョアは2枚の葉が一つの節につく対生であるため、同じ場所に2個の芽がつき、分岐部では常に3本の枝が発生して込み合いがちになるので、込み合った枝を切り取ります。50㎝以上の長い枝(徒長枝)、同じ場所で何本も枝分かれして込み合っている枝、交差している枝、枯れ枝などを選びます。中でも特に込み合った枝は、付け根で間引きましょう。ステップ1~2で全体数の3割程度の枝を切り取るのが目安です。


残った枝の先端を切り詰める
ステップ1~2で残った枝のうち、30㎝以上の長い枝だけを選んで、先端を3分の1程度切り詰めます。フェイジョアは枝の先端付近に翌シーズン用の花芽があることが多いので、すべての枝を切り詰めるのではなく、長い枝だけを選んで切り詰めることがポイントです。

Qフェイジョアの樹を植えていますが、一度も収穫できません。
A受粉樹、人工授粉、剪定を見直しましょう。
フェイジョアの果実がならないというお悩みがとても多いように感じます。あまりに結実しないので、収穫を諦めて庭木として楽しんでいる方もいるようです。ポイントを守れば収穫できるようになるので、以下を押さえて諦めずに育てましょう。
まずは受粉樹があるか確認します。上部【年間の管理・作業】 ①開花・人工授粉(5~6月)にあるように、受粉樹がないと結実しない可能性が高いです。‘アポロ’などのように受粉樹不要と説明されている品種であっても、異なる品種の苗木があることで実つきが改善するので、受粉樹の用意を推奨します。すでに受粉樹がある場合には、人工授粉にもチャレンジしてみましょう。
剪定や施肥の行いすぎも実つきが悪くなる原因になることが多いです。まず剪定で枝を切りすぎると50㎝以上の徒長枝が多く発生します。徒長枝には果実はほとんどつかないので、切りすぎはよくありません。ステップ2にあるように、切り取る枝の数が、全体の3割程度までになるように抑えることが重要です。また、肥料(特にチッソ)を多く施すことによっても徒長枝の発生が助長されるので、肥料の与えすぎにも注意します。
フェイジョアの販売