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樹形が比較的コンパクトにまとまり、手入れしやすいブルーベリー。特にビギナーの方に手始めとして栽培してほしい果樹の一つです。
生のまま食べておいしいほか、ジャムやソース、果実酒などにも利用できて用途も広いので、ぜひ栽培にチャレンジしてみましょう!
おすすめ品種
ブルーベリーは三つのタイプに大別できます。基本的にはどんな品種でも受粉樹を用意することで、実つきがよくなります(ハイブッシュ系は1本で結実することも)。苗木を選ぶ際には、ハイブッシュ系ならハイブッシュ系から2本などと、同じタイプから2本選ぶのがポイントです。
- ラビットアイ系
- 土が多少合わなくても強健に育つほか、冬に温暖な地域でも栽培しやすいタイプ。主に梅雨が明けた7月中旬~9月下旬に収穫できて作業しやすいが、樹高が少し高いので剪定が特に重要。
- サザンハイブッシュ系
- 冬が温暖な地域でも栽培しやすいタイプで、主な収穫時期は6月上旬~7月中旬。ノーザンハイブッシュ系と同様に苗木1本でも結実することがあるが、受粉樹があった方が望ましい。
- ノーザンハイブッシュ系
- 寒さに特に強く、東北以北でも安心して栽培できるタイプ。収穫時期は主に6月中旬~7月下旬ごろで大粒な品種が多い。冬に温暖な地域では休眠せず、翌年の実つきが悪くなるので注意。
受粉樹、酸性の土、水やりが
収穫を充実させるポイント
家庭果樹の中でも高い人気を誇るのが今回の主役、ブルーベリーです。小さくておいしい果実がなり、大木になりにくいため家庭栽培でも手入れがしやすいほか、病害虫に比較的強くて手間もあまりかからないのが人気の理由です。スズランのようなかわいい花が咲くのもうれしい性質です。
このように大人気のブルーベリーですが、注意すべき三つのポイントを守らないと収穫できないばかりか、木が枯れることもあります。1点目は、実つきをよくするために受粉樹を用意することです。2点目は、苗木を植え付ける際にピートモスや「ブルーベリー用の土」を用いて土を酸性に調整すること。そして3点目は、根が乾燥に弱いので、水切れしないように注意することです。これらの三つを守って、ぜひブルーベリー栽培にチャレンジしてみましょう。
日常の管理
置き場所
暑さに弱いイメージがあり、真夏は置き場を日陰にする例も散見されますが、日光に当たる時間が長いほど実つきがよくなり、果実の品質もよくなります。猛暑の夏も、水やりをしっかりして根が乾燥しなければ、かなりの高温にも耐えるので、春~秋はなるべく日当たりのよい場所に置きます。冬はマイナス20~マイナス10℃程度までの寒さに耐えるので、よほどの寒冷地ではない限り、鉢植えは屋外に置いても越冬できます。
水やり
根が乾燥に弱く水不足になると枯れるので、水やりは重要です。
鉢植えは鉢土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。春や秋は2~3日に1回、夏は毎日(1日2回の場合も)、冬は5~7日に1回与えるのが目安です。
庭植えでは、7~9月は1週間程度降雨がない場合には水やりします。それ以外の時期は不要です。

肥料
3月(油かすなど)、5月(化成肥料など)、9月(化成肥料など)と、年間3回に分けて施して樹勢を保ちます。与えすぎに注意し、市販の肥料に記載されている情報を目安に、樹の大きさに適した量を施しましょう。
植え付け(11月~翌年3月)
植え付け時に最も注意すべきなのは、土を酸性に調整することです。土が酸性でないと、根が肥料分を吸い上げることができなくなります。すると徐々に葉の色が薄くなるクロロシスが発生し、生育や実つきが悪くなるので、注意しましょう。

庭植えの場合は、直径70㎝以上、深さ約50㎝の大きめの穴を掘ります。掘り上げた土に酸度未調整のピートモスを約3分の1加えて、ムラのないようによく混ぜ込み、植え穴に戻して苗木を植え付けましょう。
鉢植えの場合は、8~10号の鉢を準備します。鉢底に鉢底石を5㎝ほど敷き詰め、市販のブルーベリー用に配合された培養土を使って苗木を植え付けます。
庭植え、鉢植え共に苗木に30㎝以上伸びている枝があれば、先端を全体の長さの4分の1くらいまで切り詰めて、新梢の発生を促しましょう。最後にたっぷりと水を与えます。
年間の管理・作業
人工授粉(4月~5月上旬)
人工授粉の前に重要となるのが受粉樹の存在で、前述のようにブルーベリーでは受粉樹を用意することで実つきがよくなる傾向にあります。例えばラビットアイ系の‘フロリダローズ’を選んだ場合は、受粉樹として‘ティフブルー’などの同じラビットアイ系の品種から選ぶとよいでしょう。用意した苗木はなるべく近くに植えて育てます。
さて、人工授粉ですが、開花中にミツバチなどの昆虫が訪れて受粉してくれることが多いため、ブルーベリーでは人工授粉は必須の作業ではなく、生産農家が行うことはほとんどありません。ただし、家庭における栽培で毎年のように実つきが悪い場合には、受粉の失敗が影響している可能性が高いので、手の届く範囲だけでも人工授粉してみましょう。授粉して実つきが改善するようなら、引き続き人工授粉したり、受粉樹を増やしたりといった対策を講じます。

ブルーベリーの花は花弁が釣鐘状の形状をしていて、絵筆などで授粉しても効果的ではないので、写真のように開花中の花の花弁を取り除き、むき出しになった雄しべを他品種の雌しべにこすりつけるのが、最も手軽な方法といえます。1花で100花程度は授粉できます。片方の品種の人工授粉が完了したら、花粉を授ける側と授けられる側を交代して再び人工授粉します。開花期間が2~3週間程度あるので、人工授粉は2~3回に分けて行うと効果的です。
収穫(5~7月)
果実の全体が青紫色や淡いピンク色に色づいたものから順次、収穫します。着色直後には酸味が強いこともあるので、軽くつまんで少し弾力をもつくらいまで完熟させるのがおすすめです。完熟した果実はデリケートで、果実の軸の延長線上に真っすぐ引き抜かないと、果実が傷つくこともあるので注意が必要です。

気をつけたい病害虫など

斑点病

イラガ類

クロロシス

鳥害
3ステップで覚える
ブルーベリーの剪定
剪定の適期は12月〜翌年2月です。ブルーベリーは株元からタケノコのように伸びる、ひこばえという枝がほかの果樹よりも発生しやすいのが特徴です。ひこばえはすべて切り取るのではなく適度な数を残し、果実がつくまでに生育したら、近くにある古くなった枝を株元で切り取って更新すると、コンパクトな樹形を維持することができます。
その後は、ほかの果樹と同様に込み合った枝を間引き、長い枝を切り詰めて日当たりや風通しをよくすることを心掛けて切ります。
ひこばえを間引く
株元から伸びるひこばえは無駄な枝に見えますが、ブルーベリーでは枝を更新して大木化を防ぐために非常に重要なので、ほかの枝と当たらない程度に間引いて残すとよいでしょう(左図のⒶ)。残したひこばえは、Step3に従って先端を切り詰めた後、2~3年経過して果実がつくようになったら、周囲の古い枝を株元から切って更新する(左図のⒷ)と木をコンパクトに維持できます。

不要な枝を間引き、込み合わないように
夏に50㎝以上伸びた徒長枝や枯れ枝には果実がつかないので、すべて付け根で切り取ります。また、枝と枝が当たっている交差枝は、どちらかの枝を切り取ります。同じ場所から何本も枝分かれしている場合も、1カ所に3本程度になるまで間引くのがおすすめです。短い枝には果実がつきやすいので、切り取らずに優先的に残すとよいでしょう。


残した枝のうち、長い枝だけ切り詰める
STEP1~2で残した枝のうち、30㎝以上の長い枝だけを選んで先端を約4分の1切り詰めます。枝の先端を切り詰めることで適度に充実した枝が発生して木が若返り、株の生育を保てます。ただし、ブルーベリーは枝の先端に花芽(花の基となる芽)がつくため、すべての枝の先端を切り詰めると花芽がなくなり、翌年の収穫量が激減します。長い枝だけ切り詰めるのがポイントです。

Q葉の色が薄くなって実つきが悪いです。
A土を酸性に調整しましょう。
ブルーベリーは酸性の土の中で根と共生する微生物の働きがないと、肥料量が十分でも根で養分を吸収できず、葉色が薄くなります。国内の大半の土壌は弱酸性ですが、それでは不十分です。植え付け時に土を酸性に調整していなければ、植え付け適期の11月~翌年3月まで待って、酸度の調整を試みましょう。植え付け時に調整した場合でも、不十分だと酸度が中性付近まで戻ることがあるほか、根が広がって酸度調整をしていない範囲まで伸びた可能性もあるので、再調整することをおすすめします。鉢植えは古い土と根をノコギリで一回りコンパクトにした後に、新しいブルーベリー用の土で植え替えます。庭植えは、株を掘り上げられる場合には上記図1に従って植え付け直し、掘り上げられないほど株が大きい場合は、可能な限り根の周囲の土を掘り上げて、ピートモスを3分の1程度混ぜ込んで埋め戻します。
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