アリュームの魅力を庭づくりに生かそう！

アリューム同士の組み合わせで新鮮な印象に

畑で球根の生産をしていると花期の重なる品種を知ることができます。その中から草丈、花の大きさの組み合わせを考えてアリューム花壇をつくってみました。アリュームは開花と同時に葉が傷み始める欠点があるので、草丈の高い品種を中心に、花の大きな品種と葉が傷みにくい品種を周りに配置します。さまざまな紫のボールが林立するおもしろい花壇になりました。花期が重なる品種は数多くありますので、大小だけでなく花色のバリエーションをつけるとさらにおもしろい花壇になるかもしれません。

比較的小型で花期の揃う品種の組み合わせもおすすめです。小型の品種はあまり葉が傷まないので花壇材料に向いており、比較的日本の気候に合うものも多いです。環境が合えば植えっ放しのまま毎年開花することもあります。

背が高いものと低いもの、花色の濃淡が異なるものを組み合わせることで、 アリュームだけでも変化のある景色が演出できる。花期が合うものを組み合 わせるのがポイント。

パウダーパフ

• ●草丈／30～40cm
• ●花期／5月上旬～下旬

葉のきれいな中型中輪種。花壇植えにおすすめ。ネフスキアーナムの交配品種。

ユニバース

• ●草丈／40～50cm
• ●花期／5月上旬～下旬

直径20cm以上の超大輪の品種。スティピタラムの交配品種。

アンバサダー

• ●草丈／80～120cm
• ●花期／5月上旬～下旬

ギガンチュームとスティピタラムのハイブリッド。ギガンチュームより一回り小さいが早咲き。

バラや小灌木と組み合わせてメリハリのある景色に

ギガンチュームに代表される草丈の高い品種は、切り花として活躍することが多いですが、庭植え用花材としてもっと活用されてもよいと思います。海外での最も代表的な使われ方は、バラの庭園での植栽です。赤系、白系などのバラと紫のアリュームのコンビネーションはとても印象的です。またアリュームの株元を隠すようにグラスや小灌木が見事に植栽されています。日本でも一般的なユキヤナギやシモツケ、ハクチョウゲなどの落葉性の小灌木は、光が必要な春に株元が真っ暗にならず、アリュームにとっては理想的な水はけがよく乾きにくい環境になるので、パートナープランツとして最適です。適当な時期に刈り込み、草丈を合わせれば、ブッシュの中からアリュームが飛び出して開花し、一味違ったハイブリッドガーデンになります。

パープルセンセーション

• ●草丈／40～70cm
• ●花期／4月下旬～5月中旬

オランダでは切り花の定番品種。早咲きでやや暑さを嫌い、日本の環境では半日陰程度の所の方が美しく育つ。

ギガンチューム

• ●草丈／約100cm
• ●花期／5月下旬～6月下旬

切り花でおなじみのアリュームの代表的品種。休眠期の高温多湿を避けることができれば丈夫で植えっ放しにできる。

パープルカイラ

• ●草丈／１～１.２m
• ●花期／5月上旬～下旬

淡紫の花色が魅力の品種。やや暑さを嫌い、こちらも日本の環境では半日陰程度の所の方が美しく育つ。

早咲き品種ならチューリップと組み合わせてもＯＫ

多くの品種が5月以降に開花しますが、チューリップと同時期の4月から咲く品種もあります。原種系のミニチューリップと、早咲きの小型種であれば草丈も揃い、まとまりのある花壇ができます。また、しっかりとした花弁のチューリップと、小花がたくさん咲くアリュームの個性が引き立て合い、魅力的な早春の花壇になります。

ビビッドな花色の原種系チューリップʻリジーʼと白～ピンクのやわらかな花色の小花のアリュームʻカメレオンʼの組み合わせ。メリハリが利いた、春らしい植栽。

カメレオン

• ●草丈／10～15cm
• ●花期／4月上旬～下旬

トリフォリアータムの選抜園芸品種。早咲きで花期が長い小型アリューム。

花期が合う品種を切り花で楽しむ

アリュームというとピンク～紫色の花というイメージをもつ方も多いかと思いますが、白や黄色などの花色もあります。花房がコンパクトにまとまるものを、何品種かまとめてアリュームだけの切り花にしても楽しめます。

ʻグレイスフルビューティーʼ、ロージービューティー、ʻモーリーʼの切り花。花期が合うアリュームだけでも、これだけカラフルなアレンジが可能。

グレイスフルビューティー

• ●草丈／30～40cm
• ●花期／5月上旬～下旬

アンプレクタンスの選抜園芸品種。白にうっすらピンク色が入る清楚な花色で丈夫な品種。

ロージービューティー

• ●草丈／30～40cm
• ●花期／5月上旬～下旬

カロリニアーナムの選抜園芸品種。ライラックピンク色の丈夫な品種。

モーリー

• ●草丈／20～35cm
• ●花期／5月中旬～6月上旬

黄花の定番品種。比較的暑さに強く丈夫。

個性的なおすすめ品種

アリュームといえば紫のボール状の花を思い浮かべるかもしれませんが、
じつはそれ以外の花色や草姿をした品種がたくさんあり、近年新しく紹介されるものも少なくありません。
その中からいくつかおすすめの品種をご紹介します。

ザーミン

• ●草丈／40～50cm
• ●花期／5月上旬～下旬

珍しいライトブルーの花色。カエシウムの選抜品種。やや高冷地向きの品種。花径３～５cm。

レッドモヒカン

• ●草丈／80～100cm
• ●花期／6月上中旬

アメジスチヌムの選抜品種。花の中央が盛り上がる独特の咲き方をする。切り花のアレンジ材料にもおもしろい。花径約５cm。

ディシピエンス

• ●草丈／40～60cm
• ●花期／4月下旬～5月中旬

ライラックピンクに緑目の独特の花色。早咲きで切り花にもおすすめ。花径約５cm。

シルバースプリング

• ●草丈／70～100cm
• ●花期／5月上旬～下旬

バセルティカムの選抜品種。白い花弁にローズピンクの目が独特の美しい品種。切り花にもおすすめ。花径約10cm。

プラティコール

• ●草丈／10～15cm
• ●花期／5月上旬～下旬

地際に葉が展開し、かわいらしい花径３～５cmの花が咲く鉢植え向き品種。乾燥に強い北米原産。

イエローファンタジー

• ●草丈／25～35cm
• ●花期／4月下旬～5月中旬

珍しい黄花の新品種。コロランタムの選抜品種。中東原産の乾燥に強い品種。花径３～５cm。

※花径＝ここでは一つ一つの花ではなく、複数の花が集まった花房の大きさをご紹介しています。

アリュームの上手な育て方

水はけのよい場所と土壌に植え付ける

ほぼすべての品種に共通して言えるのは、水はけのよい場所と土壌を好むことです。日照条件は、北アメリカ原産のものは日当たりがないとよく育たないものがありますが、たいていの品種が日なたでも半日陰でもよく育ちます。ただ品種によっては、日当たりがよくて暖かい所だと花茎が十分に伸びない状態で早めに開花してしまうことがあります。西日の当たらない木陰などが最適地になります。

球根の植え付けは9月下旬～11月

地域差がありますが、9月下旬ごろになって夜温が20℃ぐらいまで下がれば植え付けできます。また、寒くなりすぎると初期生育が悪くなりますので、最低気温が10℃ぐらいになる11月ごろまでには植え付けるようにします。

植え付けの深さ・間隔

球根のサイズと草姿によって違います。大きめの球根は球根3個分ぐらいの穴に植えるようにします。間隔は20～30cm以上と少し広めにします。小さめの球根は深さ5cm程度とし、間隔は草丈によって5～20cm程度とします。

生育中の管理

植え付け時に緩効性肥料を与えれば、追肥等は必要としませんが、地上部に葉が出てきたころに、速効性の化成肥料や液肥を与えるとよく育ちます。鉢栽培の場合は冬場地上部に葉が展開していなくても土が乾燥しないように適時水やりをします。

花後の管理

庭植えにしている場合は、たいていの品種は花が咲いた後すぐに、葉や花茎が残っている状態で掘り上げます。タマネギの収穫のように土がついたまましばらく乾かし、表面が完全に乾燥してから残った枯葉や根を取り除いて保管します。庭植えの場合は、水はけのよい木陰など、環境のよい所では植えっ放しでも大丈夫な品種があります。アリュームは原産地分布が広く、休眠時の耐暑性は品種によりかなり違ってきます。