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タキイの栽培コンテンツ
カブの栽培方法・育て方
カブの基本情報
- 学名
- Brassica rapa L. var. rapa
- 和名
- カブ
- 英名
- Turnip
- 原産地
- アフガニスタンと地中海沿岸
- 分類
- アブラナ科アブラナ属
- 上陸時期
- 日本書紀(720年)に記載
カブの住みやすい環境
- 発芽適温
- 20~25℃で、最低温度4~8℃で発芽します。発芽は30℃以上では著しく劣ります。
- 生育適温
- 15~25℃と冷涼な気候を好みます。耐暑性は弱く、25℃以上の高温では根の肥大が悪く、病気も多発します。ただし低温にはかなり強い品目です。
- 土壌適応性
- 火山灰土や有機質に富んだ壌土または砂壌土に優品を産します。
- 土壌酸度
- pH4.5~8まで生育しますが、最適pHは6~6.5です。
- 土壌湿度
- 一般に土壌水分が豊富な時にカブは豊円形となり、土壌水分が少ないと縦長になります。
カブとは(カブってどんな野菜?)
カブはダイコンとは、まったく別のもので、肉質はやわらかく、甘味と特有の香りを誇ります。原産地は北欧といわれ、栽培も2~3千年前に始まったと言われています。しかし、現在の品種はそれほど古いものではなく、せいぜい2~3百年前から栽培されているものです。一般 のカブは球形をしていて白く、小カブ、中カブ、大カブに分けられます。 小カブは直径3センチくらいで、もっとも若いうちにとることもあり、葉もやわらかくて美味しい。キュウリ、ナスにつづく漬物の主役で、葉とともにヌカ漬けや即席漬けにします。葉にはビタミン類が多く含まれています。肉質が緻密で煮くずれしにくいので、煮ものや蒸しものに最適します。
栽培手順 各ポイント
菜園向けカブ栽培カレンダー
発芽と抽苔
- ■発芽適温
- 20~25℃(最低温度4~8℃で発芽します。発芽は30℃以上の高温では著しく悪くなります)
[カブの花芽分化]
種子が吸水し、発芽したころから低温感応しますが、幼苗期よりも、ある程度生育が進んだ大苗のほうが感応しやすくなります。 一般には2~13℃で感応し、敏感なのは5~7℃前後とされています。 また感応期間が長いほど、花芽分化とその後の抽苔は早くなります。 抽苔は13~18℃で促進され、「聖護院」のような大カブ種は抽苔が早く、「金町小蕪」のような小カブ種は抽苔が遅い傾向にあります。
[カブの脱春化作用(ディバーナリゼーション)]
夜間、低温に遭遇して低温感応しても、日中の高温によって低温の作用が打ち消されます。 9℃の連続低温処理を24℃か30℃の高温で、4時間または8時間中断すると、4時間で低温処理効果の1/2、8時間で3/4が消去されます。 低温期のハウス栽培やトンネル栽培はこの特性を利用してトウ立ちを回避しています。
播種
[発芽のポイント]
適度な土壌水分の状態で播種し、覆土とまき溝の厚さを一定にして一斉に発芽させることが大切です。小~中カブは、条まきか点まきするとよいでしょう。覆土後、軽い土では板などでよく鎮圧して、土壌水分が逃げないようにします。播種直後に、害虫の被害を防止するために被覆資材(防虫ネットや寒冷紗など)をトンネル全体に覆うとよいでしょう。土壌水分が不足すると発芽が遅れたり、発芽ムラが生じるので、こまめに潅水しましょう。 ベタがけ資材を利用するのも効果的です。
播種する時の注意
[畑の準備]
堆肥を施す場合は、播種の1カ月前までに行い、化成肥料などの元肥も少なくとも播種の1週間前には施用し、土とよくなじませておきます。 連作すると根こぶ病などが発生しやすくなるので、輪作をして完熟堆肥や緑肥作物などによる土づくりを行いましょう。 有機質に富む畑では、肌が美しく肉質のやわらかい品質のよいカブが収穫できます。
[小~中カブ]
[大カブ]
- ■施肥量
- 1回の栽培に必要な施肥量(全体)は、小~中カブの場合、10㎡当たり成分量でチッソ150~180g、リン酸150~200g、カリ110~150gが目安になります。 大カブは、チッソ、リン酸、カリとも300gを目安に施用します。 小~中カブでは、比較的栽培期間が短いので全量、元肥にすることが多く、大カブでは元肥2/3、追肥1/3で割合で3回程度追肥するようにします。
生育
- ■生育適温
- 15~20℃(冷涼な気候を好みます。耐暑性は弱く、25℃以上の高温では根の肥大悪く、病気も多発します。耐寒性は比較的強く、-3℃くらいまで耐えられます)
[秋まき小カブ(適期)]
[カブの裂根の原因]
根の周皮(師部)の肥大が木部の肥大に伴わないときや、根の肥大の局部的な不均衡から起こります。 生育後期に発生しやすく、栽培日数が長くなり、収穫が遅れると多くなります。 生育初期に土壌水分や肥料が不足すると周皮が老化し、生育後期に降雨により土壌水分が多くなって急激に肥大が進むと裂根が多発します。 裂根を防止するには、生育前期は乾燥を防ぎ、肥料や土壌水分が不足しないようにして生育を順調に進め、生育後期には土壌が多湿にならないよう畑の排水性を良好にしておくことが大切です。
小~中カブの間引きと生育
[間引き]
間引きは早めに
間引きが遅れると茎葉の生育が優先して玉の肥大が遅れ、低収量・低品質になってしまいます。 生育の後半には肥大が急速に進むため、間引きによってやや広めの株間を早く確保しましょう。
間引きは子葉のころと、2回目本葉1~2枚ころと、3回目本葉3~4枚のころに行います。間引きした葉は、やわらかくておいしいので汁の実やおひたしなどに利用するとよいでしょう。
①子葉の形が正ハート形のものを残し、丸形、長形のものを抜く。
②2回目は本葉1~2枚のとき
③3回目は本葉3~4枚のとき生育のよいものを残す。 小カブは最終株間10~12cmにする。
[生育と肥大]
発芽
ダイコンと同じく、タネをまくと2~3日で発芽し、5日ぐらいで子葉が展開します。
本葉3~4枚(最終間引き)
根の肥大が開始され、初生皮層(根の外側の皮)に縦の亀裂が入り、皮は剥けていきます。 その後、地上部に出ていた下胚軸が地下に沈み始めます。
本葉4~5枚
タネまき後、15~20日には下胚軸が地中にもぐり、株元はしっかりしてきます。
本葉6枚以降
初生皮層がはく脱して根の肥大が始まる6葉期以降、根部が肥大して収穫するまでが生育後期です。 葉数の増加にともない葉長と葉重が増加した後に、葉重の増加を上回って根部が本格的に肥大します。
収穫
小カブであれば直径5cm以上、中カブでは8cm以上になれば収穫。裂根に注意します。
大カブの間引きと追肥
大カブは小・中カブより生育期間は長いですが、肉質は緻密でス入りは遅くなります。 適期であれば、播種後70~80日で収穫できます。 6cmポットで本葉4~5枚まで育苗し、定植しても栽培できます。 大きく根部を肥大させるには、肥効が切れないようタイミングのよい追肥が大事になります。
[間引き]
1回目
本葉2~3枚時、病害虫に侵されているものを優先して間引き、葉が触れ合わない程度にします。 そのとき、株が倒れないように株元に土寄せを行うとよいでしょう。
2回目
本葉4~5枚時(播種後3週間程度)に、生育が中位のものを揃えて残し、1本立てとします。
[追肥]
1回につきチッソ成分で30g/10㎡を目安に施用します。
1回目
播種後15日ごろ、うねの中央部に追肥し、除草をかねて中耕して浅く溝をつけます。 生育の遅れている部分や葉色の淡い箇所には追肥をやや多めにし、生育を揃えます。
2回目
最終間引きの時(1本立て)に、うねの両肩上部に施し、中耕して培土・土寄せします。
3回目
播種後40~45日ごろ、うねの両肩の下部に施します。 この時期になると葉が茂ってきているため、葉折れなど傷をつけないように注意しましょう。
収穫と根こぶ病
[収穫の目安]
- ■カブの根こぶ病
- アブラナ科作物に寄生する根こぶ病菌は、糸状菌(カビ)の一種で、土壌中に休眠胞子の形で5~10年間も生存するといわれてます。 特にカブの場合は、根に直接発病するため被害の大きい病害です。 対策として播種前に畑に根こぶ病の薬剤を混和し防除するか、根こぶ病抵抗性品種が開発されていますので、品種名などにCR(Clubroot Resistance)の文字の付いた品種を利用するようにしましょう。
病害や生理障害
<病気>
総監修・イラスト原図:駒田旦
本文監修:大阪府立環境農林水産総合研究所 草刈眞一
写真提供:木曽晧(AK)、草刈眞一(SK)、駒田旦(HK)
<害虫>
総監修:大阪府立環境農林水産総合研究所 田中寛 監修:草刈眞一、柴尾学
写真提供:田中寛(HT)、木村裕(YK)
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カブを使った料理紹介
Q&A
- カブの形が悪く、扁平なものができます。どうしてでしょうか。
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カブは1年中栽培できますが、本来は冷涼な気候を好むため、作りやすいのは秋まきです。品種にもよりますが、寒冷地は7月下旬~9月上旬、中間地は8月中旬~10月上旬、温暖地は8月下旬~10月中旬がタネまきの適期です。
カブが変形する原因として、高温と、乾湿の変動が大きいことが挙げられますが、株間が込みあっても形がいびつになりやすいです。タネまきの間隔は、普通は条間15~20㎝ 、株間6~12㎝に1カ所3粒まきしますが、高温期は通気をよくするため間隔をより広くとります。間引きをこまめに行い適切な株間にし、追肥と土寄せをして株を安定させます。根が深く伸びるので、有機質を十分に施し、通気、排水をよくして深耕し、適度な湿度を保ちます。
- カブが割れてしまいます。どうしてでしょうか?
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カブが収穫間際になって割れてしまうのはいまいましく残念なことです。特に収穫遅れの時に、起りやすくなります。
カブの根が割れる原因は、土壌水分との関係が深く、乾燥すると根の発育が抑えられるだけでなく、根部を取りまいている周皮の生育が抑制され、根の老化を早めます。逆に、土壌水分が豊富になると、根の内部組織の細胞の分裂と増大が促され、その結果周皮は内圧を受け、外皮の生長がこれに伴わなくなると裂け目を生じます。
特に生育初期に乾燥状態にあったカブが、生育後半の降雨や多潅水によって裂根を招くことになります。
また、肥料不足、とくにカリ不足は裂根の原因になるといわれ、ウイルス病やセンチュウの被害株も裂根の発生の原因になります。
対策としては、保水と排水のよい畑を選び、有機質を多く施し、土壌の物理性を改善します。追肥は早めに行い、生育後半に急激に肥料を効かすのは避け、適期収穫に努めます。