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ニンニク・らっきょうの栽培方法・育て方をそれぞれ解説!
夏から秋にかけて植え付け、翌年の春から初夏にかけて収穫するニンニクとラッキョウ。どちらも種球と呼ばれる球根から栽培をスタートしますが、一度植え付ければそれほど手間が掛からないので家庭菜園での栽培にぴったり。今回は、栽培の方法とコツをご紹介します。
麻生健洲
千葉大学園芸学部卒業後、農業高校で園芸や生物工学などを指導する。退職後は、書籍の執筆や監修などをするかたわら、家庭菜園を楽しむ。生け花や絵画、写真など多彩な趣味を持つ。著書に「だれでもできる ベランダで野菜づくり」(家の光協会)などがある。
ブログ(ポタジェ)http://potager.jp/
じっくり育てるお手軽野菜
ニンニクは、紀元前からエジプトやギリシャなどで栽培されていました。日本には大和時代に中国から渡来したといわれ、当時は薬として栽培されていました。野菜として普及したのは第二次世界大戦後のことです。
ニンニクはミネラルやビタミンB1など、多くの栄養素を含有しています。なかでも、においのもとであるアリシンには、殺菌、コレステロールや血圧降下、抗がんなどの働きがあります。ちなみに、アメリカの国立がん研究所(NCI)が1990年代に作成した抗がん作用のある食物図(デザイナーフーズ・ピラミッド)の頂点におかれています(図1参照)。
ラッキョウの原産国は中国。日本でも平安時代には栽培されていました。ラッキョウはナトリウムの排泄を促すカリウムを豊富に含んでおり、ビタミンB1のほか、ニンニクほどではないもののアリシンも含んでいます。
どちらも種球と呼ばれる球根から育てます。一度植え付ければそれほど手間が掛からないので、ぜひ栽培してみましょう。
デザイナーフーズ・ピラミッド。がん予防効果の高い食品を効果の高い順に表している(出典:アメリカ国立がん研究所)。(図1)
葉も花茎も利用できるニンニク
まずは栽培する地域の気候にあった品種を選ぶことが大切です。次に、球、葉、茎(ニンニクの芽と呼ばれる花茎)のどの部分を利用するのかによって品種を選択します。例えば、葉を利用する場合は、刈りとっても新しい葉が再生しやすい「葉にんにく」を、茎を利用する場合はトウが長く伸びる品種を選びます。
病害虫はあまり発生しませんが、排水不良、連作、チッソ肥料過多で病気が出やすくなりますので注意します。
ニンニクの栽培カレンダー
1土づくり、畝立て
1㎡当たり苦土石灰100gをまき深く耕す。植え付け1週間前には完熟堆肥3㎏と化成肥料(チッソ:リン酸:カリ=各8%のもの)150gを土とよく混ぜ、畝幅約1m、高さ10㎝ほどの畝を立てる。
2植え付け
種球の薄皮をむき、鱗片をばらしておく。条間20~25㎝、株間15㎝で植え付ける。マルチを敷く時は、タマネギ用マルチフィルム(穴の間隔が15㎝)を用いてもよい。芽の出る側を上にして、深さ5~6㎝、1カ所に1球ずつ植え付ける。深すぎると生育が悪くなり、浅すぎると凍害を受けるので、適切な深さで植え付ける。
種球の選び方は?
- 野菜として販売されているニンニクは、ウイルス病などにかかっている可能性があるので、園芸店や園芸通販などで種苗用の種球を購入するのがおすすめ。植え付け時は、鱗片が大きく、形がきれいなものを選び、変形していたり、傷があったり、かびているものは避けましょう。
育ててみたいニンニク品種
※寒地型品種は一定の期間は低温にあわないと鱗茎が太らない性質がある。
寒冷地なら寒地型、温暖地なら暖地型の品種など、地域に合った品種を選ぶようにする。
3追肥
2月上旬と3月上旬に化成肥料を1㎡当たり30gほど追肥する。マルチ栽培の場合は生育が悪い時のみ、2月上旬に同量を追肥する。
2月ごろのニンニクの様子。写真は黒マルチを張って栽培したもの。
4わき芽とり
15㎝ほどに伸び、わき芽が出ている株があったら、残す芽の株元を片手で押さえて引き抜く。
- 残す方の芽が抜けないように手でしっかり押さえておきましょう!
5花茎摘み
4~5月ごろになるとトウ立ちして花茎が伸びてくる。花茎が伸びてきたら、まだ総苞(坊主)が小さく、やわらかいうちに摘みとる。「トウ」は、摘みとるのが早すぎても鱗茎の生長が悪くなるので、30㎝ぐらいに伸びてから摘みとる。摘みとった花茎は「ニンニクの芽」ともいわれ、油炒めなどで食べられる。
6収穫
収穫時期になると下葉から枯れてくる。3~5割の葉が黄色くなったら引き抜いて収穫する。
ニンニクのいろいろな保存法
長期保存する方法
収穫したニンニクは、根を切りとり、葉を3分の1ほど切り詰め、5~10本ずつ束ねてひもなどで縛ります。その後、1カ月ほど風通しのよい日陰につるして乾燥させましょう。乾燥し終えたら、風通しのよい室内や冷蔵庫などで保存します。
オイル漬けやおろしニンニクで保存
皮をむいたニンニクをオリーブオイルや醤油、味噌などに漬けておくといろいろな料理に使えて便利です。スライスしてから漬けたり、ニンニクをおろして冷凍保存するのもおすすめです。
束ねたら、風通しのよい所でつるして保存する。
甘酢漬けやおつまみなどに最適ラッキョウ
ラッキョウは寒さに強く、土壌の適応性も広いため、全国各地で栽培ができます。病害虫の発生も少なく、育てやすい野菜です。
鱗茎と呼ばれる球を植え付けますが、収穫まで約1年かかるので栽培する場所に注意しましょう。収穫は翌年の6月ごろで、ラッキョウを若どりしたものを日本ではエシャレット(エシャロット)と呼んでいます。本来のエシャロットは、タマネギの一種です。
また、1年目に収穫せず、そのまま畑に残して2年目以降に収穫すると、小粒のラッキョウをたくさん収穫することができます。
ラッキョウの栽培カレンダー
1土づくり、畝立て
1㎡当たり苦土石灰100gをまき、30㎝くらいまで深く耕しておく。植え付け1週間前には、1㎡当たり完熟堆肥1~2㎏、化成肥料(チッソ:リン酸:カリ=各8%)80gをまき、土とよく混ぜる。1条植えの場合は畝幅60㎝、2条植えでは80㎝、いずれも高さ10㎝ほどの畝を立てる。
2植え付け
種球は、20㎝間隔で2球ずつ、球根の先端がわずかに見えるぐらいの浅植えにする。2条植えの場合は、条間を40㎝確保する。
3追肥
芽が出た時と、翌年2月ごろの計2回、1㎡当たり化成肥料を50gほどまいて土寄せする。
4収穫
葉が枯れて、晴天が続いた時にスコップなどで土を掘ってから収穫する。
エシャレット(若どりラッキョウ)の栽培法は?
普通栽培と同じように植え付けます。植え付けの2カ月後から、20日に1回のペースで2回ほど化成肥料(チッソ:リン酸:カリ=10:10:10)40gを追肥します。追肥後、葉梢を軟白するために株元に10㎝ほど土寄せし、葉がやわらかい11月~翌年4月に収穫します。
ラッキョウの利用法
漬け物(塩漬け、甘酢漬け)
きれいに洗ったラッキョウ1㎏に対し、塩100gの割合で塩漬けにします。2週間ほどして発酵してきたら、一昼夜流水で塩抜きし、自分好みの濃さの塩水や甘酢などで漬け直します。