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タキイの栽培コンテンツ
ハクサイ(白菜)の栽培方法・育て方
ハクサイの基本情報
- 学名
- Brassica rapa L. var. glabra Regel
- 和名
- ハクサイ
- 英名
- Chinese Cabbage
- 原産地
- 北・東ヨーロッパからトルコ高原
- 分類
- アブラナ科アブラナ属
- 上陸時期
- 本格導入は、1875年
ハクサイの住みやすい環境
冷涼な気候が適します。
- 発芽適温
- 20~25℃。発芽は4~35℃で可能、播種後3~5日で発芽します。
- 生育適温
- 20℃前後。比較的冷涼な気候がよいでしょう。
- 結球適温
- 15~16℃。4℃以下では生育・結球は停止し、23℃以上になると病害の発生が多くなります。
ハクサイとは(ハクサイってどんな野菜?)
冬の野菜といえば、白菜です。
白菜と聞けば、鍋ものや漬けものをすぐに連想しがちですが、クセのない柔らかな味は肉や玉子などとも相性がよく、どんな味つけにもよく合います。霜にあたって甘味の増した冬が旬です。また中国では古来より豆腐、ダイコンとともに「養生三宝」と呼ばれ、風邪の予防や熱による不快感・咳を緩和する食物として愛用されて来ました。白菜に含まれているカリウム、カルシウムなどのミネラル類は、寒い冬を健康に乗り切るためには欠かせないのです。
白菜は他の食材との相性ばっちり。
葉が固く巻いていて、どっしり重く、株の切り口が新鮮なもので、葉先がちぢみ、黄色味を帯びたものが良品。 調理法としては、外側、中側、芯の3つの部分に分け、外側は巻きもの、蒸しもの、炒めもの、煮もの、漬ものに。中側は漬ものはもちろん、煮ものにも向きます。柔らかな芯は、あえものがいちばん。細かくきざんで、鰹節と醤油で召し上がるのも乙なものです。
栽培手順 各ポイント
■菜園向けハクサイ栽培カレンダー
花芽分化と抽苔
種子が吸水し、発芽したころから低温に感応し花芽を分化します。低温の程度が強いほど花芽分化期は早まり、また苗齢が進むほど低温に対して敏感に感応します。花芽分化を起こす低温の範囲は3~13℃。平均気温14~15℃以下、最低気温10℃以下の低温に10日以上あうと花芽分化します。
平均気温5℃以下では茎の伸長は停止し、やや高温(15~20℃)にあうと花芽を分化した茎は急速に伸び、抽苔します。春まき栽培においては定植後すぐに花芽を分化し葉数分化が停止します。したがって育苗期間中に葉数確保しておくことが栽培の前提となります。
秋冬栽培では、一般地の場合、ほぼ10月下旬~11月上旬ころに花芽分化を起こすので、それまで十分に外葉を作っておくことが大切で、播種限界は9月上旬ごろとなりそれ以上の遅まきでは、葉数不足から不結球の問題が発生します。
[春まき栽培]
春まきで最も大きな問題は早期抽苔です。基本的に、晩抽・低温結球性にすぐれる極早生~早生種を使用し、育苗期間中に結球葉数(50~60枚)を分化させ、花茎が7~8cmになる前に結球を完了させるようにします。
- ■春まき育苗のポイント
-
育苗温度は最低12℃、最高25℃
↓
花芽分化・軟弱徒長防止
定植苗は本葉7~8枚
育苗日数35~40日
↓
結球葉数の確保
発芽
- ■発芽適温
- 20~25℃(発芽は4~35℃で可能、適温で播種後3~5日で発芽する)
- ■直播
-
ハクサイは本来、直播性の強い作物であることから移植栽培に比べ、直播栽培の方がより広い根群を確保することができ、さらなる高品質をねらうことができます。また石灰欠乏症に対しても有効です。1カ所の播種粒数は4~5粒を目安とします。間引きは早めに1本立ちにしないこと。初期の生長競合による生育促進を目的に、本葉1~2枚時に3本に、6~7枚時に最終間引きに入るのがポイントです。
播種と育苗
[セルトレイ育苗]
[地床育苗]
[ポット育苗]
- ■育苗中の害虫を防ぐ
-
育苗で害虫を防ぐには、苗床やトレイの上に播種直後から防虫ネットや寒冷紗をかけて管理すると、害虫の飛来を抑制することができます。そうすれば害虫だけでなく、それに伴う病害も減らす効果があるので、殺虫剤や殺菌剤の使用を少しでも減らせます。
防虫ネットでトンネル全体を覆う
- ※下に隙間があると、害虫が侵入しやすくなるので、しっかりと四方を土などで押さえておきます。
- ■トレイ育苗での軟弱徒長を防ぐ
-
- ①潅水はできるだけ午前中に行い、日暮れのころにはトレイがやや乾く程度にしておきます。
- ②育苗期間の後半(播種後10日~2週間目以降)はできれば屋外で育苗し、風や夜露に当てて苗をしめます。
- ③トレイの土は乾きやすいので、夏場は毎日潅水が必要になります。特にトレイの縁は乾きやすいので注意が必要です。
生育
- ■生育適温
- 15~20℃(外葉の生育期には、30℃以上の高温にも耐える)
- ■結球適温
- 15~16℃(4℃以下では結球の進行は停止。一方23℃以上では軟腐病が多発し栽培が難しい。暖地の冬どり栽培地帯は1~2月の平均気温4℃以上、高冷地の夏どり栽培は結球期平均気温23℃以下で可能)
ハクサイの生育は、キャベツ類に比較して極めて旺盛で、1日当たりに生育初期で0.7~1枚、最盛期では1~1.5枚の葉数分化が行われています。根は細い反面、非常に広い根群を形成して、直播栽培であれば、深さ1m、幅は3mにもなり、この細根の活動によって急速な発育を支え、短期間に大きな球を作ることができます。
[中晩生種の例]
[外葉]
同化養分は温度や栽植密度などに影響を受けます。高温や密植、チッソ施用量の増加により、外葉の相互遮へいが顕著で、同化養分量が低下します。一方、低温やチッソ供給量不足によって外葉は小型化し、同化養分量が低下します。
[結球葉]
通常は内側の葉ほど小さくなりますが、外葉の同化養分の増減により、その時点で生育する個々の結球葉の大きさが変化し、極端な場合は半結球ハクサイのようになったり、タケノコハクサイのようになったり、しまりの悪いハクサイになったりします。
定植と追肥
根張りをよくするために完熟堆肥を十分に使用します。有機質の多い畑で栽培したハクサイは甘みが多く、日もちもよくなります。
連作すると、根こぶ病や黄化病などの土壤病害が発生しやすくなるので注意しましよう。
品種 | うね幅(cm) | 株間(cm) | 元肥·追肥 | 追肥の時期 |
---|---|---|---|---|
早生 | 60 | 35~40 | 2/3・1/3 | 定植後14日までに中耕を兼ねて |
中生 | 60 | 40~45 | 2/3・1/3 | 定植後14日までに中耕を兼ねて +結球始期(芯葉立ち上り) |
中生~晩生 | 70 | 45~50 | 1/2・1/2 | 定植後14日までに中耕を兼ねて +結球始期(芯葉立ち上り) +結球中期 |
- ■施肥量
- 1回の栽培に必要な施肥量(全体)は、目安として10㎡当たり成分量で、チッソ200~250g、リン酸150~200g、カリ200~250gを施用します。それ以外にも、根から吸収量が多いため力ルシウム、マグネシウム、ホウ素などの微量要素も必要になります。
収穫
頭をおさえてみてかたくしまっているようなら収穫してもよい
球を斜めに押し倒し外葉との間に包丁を入れて切り取る
[畑での貯蔵]
外葉をしばっておくと寒さによく耐えるので遅くまで畑におくことができる。
12月中旬ごろ8~9部結球が目安
- ■黄芯系白菜
- 本来、“白菜”と呼ばれるように、球内色は白かったのですが近年、黄色の品種(黄芯系)が主流になっています。核家族化が進みスーパーなどで1玉売りから、半玉や1/4などのカット販売が増えた結果、中身が白より黄色い方が見た目がよいことから品種が変化してきました。収穫適期をすきると、黄芯系ハクサイは球内の黄色がうすくなるので注意します。
生理障害
[生理障害の発生]
ハクサイの生理障害には、葉にゴマ粒状の斑点が出るゴマ症(チッソ過剰)や葉が褐変し縁腐れ、芯腐れ病状を示す石灰欠乏症(カルシウム欠乏症)、成長点部や葉柄部が褐変するホウ素欠乏症があります。生理障害が出にくい品種であっても、生育のバランスが乱れると一時的に発生する場合があります。またチッソやカリの多用、酸性土壤、過乾湿によって根が傷んだ場合も発生します。
根こぶ病
アブラナ科作物に寄生する根こぶ病原菌は、糸状菌(カビ)の一種で、土壤中に休眠胞子の形で5~10年間も生存するといわれています。土壤伝染性の病害であるため、土の移動によって汚染が拡大します。
[対策]
- ①定植前に根こぶ病の薬剤を土壤に混和する防除法が一般的。
- ②高うね栽培にして排水を図り、多湿条件になるのを避ける。
- ③石灰や石灰チッソを施用し、pHを矯正する。
- ④アブラナ科の連作を避けるようにし、輪作体系のひとつとして、ダイコンなどを導入する。
病害や生理障害
総監修・イラスト原図 : 駒田旦
本文監修:大阪府立環境農林水産総合研究所 草刈眞一
写真提供 : 木曽晧(AK)、草刈眞一(SK)、駒田旦(HK)
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ハクサイを使った料理紹介
Q&A
- 黄芯系ハクサイを栽培しましたが、あまり黄色く発色しませんでした。どうしてでしょうか。
-
黄芯系ハクサイは切った時に緑、白、黄の3色のコントラストが美しく料理にも映え、栄養価が高いと好評です。黄色く発色しない要因ははっきりしませんが、おそらく生育の不良によるものか、収穫期が遅れて過熟ぎみとなったためかと思われます。したがって順調に生育させ、適期に収穫するよう努めることが大切です。
ハクサイは冷涼な気候を好み、生育適温は15~21℃です。低温にあうと花芽が分化して葉数の増加が止まるので、それまでに60~100枚の葉を確保する必要があります。そのためには地域にあった品種を選び、タネまきの時期を守り、結球に必要な葉数を確保するとともに1枚1枚の葉を大きく育てます。
ハクサイの根は繊細で浅く横に広がる性質をもつので、土づくりが特に重要になります。元肥には完熟堆肥を全面に施し、生育後半まで追肥などで肥効を保たせます。また連作を避けるとともに、アブラムシやアオムシ、コナガなどの害虫の早期防除を心掛けましょう。
収穫の目安は結球部の頭を手のひらで押さえ、かたくしまったものを選びます。
- ハクサイにゴマのような小さな斑点ができます。病気でしょうか。
-
ハクサイの葉柄に多数の黒い斑点が発生します。これは「ゴマ症」と呼ばれ、病原菌などによる症状ではなく、ハクサイの生理障害だといわれています。栽培中のストレスにハクサイの細胞が反応し、ポリフェノール類の蓄積による細胞壁の変色が黒い斑点として現れたものです。生理的障害なので食べても人体への影響はありません。
主な原因として、チッソの過剰、高温や低温、収穫期の遅れ、密植栽培、銅を含む殺菌剤の多用などが挙げられますが、はっきりとした解明はできていません。また収穫後に低温で長期保存することで、ゴマ症が増加することもあります。さらに品種によっても、ゴマ症の発生に大きな差があります。
発生を防ぐためには、チッソ肥料が効き過ぎないようにし、早めに収穫をしましょう。また、強い品種を選んだり、株間を広く取ることも大切です。