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タキイの栽培コンテンツ
正しく使って最大限の効果を得よう マルチング資材の使いこなし術
作物の生育を助ける心強いアイテムとして、菜園では欠かせない存在のマルチング資材。その種類や使い方の基本、そして近年開発され利便性を高めた製品の使いこなしレポートなど、加藤正明さんに詳しく解説していただきます。
野菜の生育をよくするマルチングの効果
マルチングとは、栽培する植物の株元を被覆資材で覆うことをいいます。その目的は、
- 保温する(急激な暑さ・寒さによる気温の変化を土に伝えにくくする)
- 保水する
- 強い雨や水やりによって株に泥がはね返るのを防ぎ、病気予防につなげる
- 害虫の発生を抑える
- 雑草防止
- 雨や水やりによって肥料成分が流亡するのを防ぎ、保肥力を高める
などです。マルチングには、さまざまな種類があり、畑の畝全体を覆うタイプのマルチングシート、敷き詰めタイプの敷きわら、もみ殻などがあります。
マルチングシートの種類
マルチングシートは菜園の必須アイテムなだけに商品開発が進んでおり、黒、シルバー、透明、緑、リバーシブル、ストライプ入り、穴あきなど多様な種類があります。
まず基本として押さえておきたいのは透明と黒です。透明は日光を通すので温度を上げる効果が高く、寒い時期に向いています。黒は日光を通さないため、畝に雑草が繁茂するのを防ぐのに有効で、初夏に利用するのがおすすめです。ほかの色や穴あきタイプなどは、栽培する作物や用途に応じて利便性を高めた製品が多いので、応用的に使いこなすとよいでしょう。
敷き詰めマルチング資材の種類
自然由来の敷き詰めタイプには、敷きわら、もみ殻などがあります。通気性をよくし、作物を暑さから守る効果があるため、主に真夏に用います。畝を立てる際にマルチングシートを張った場合、夏はかえって通気性が悪くなるので撤去し、敷き詰めタイプに切り替えましょう。
透明マルチングシート
黒マルチングシート
敷きわら
マルチングシートを使いこなす
畝用マルチングシートは、正しく使いこなせているでしょうか。ただ畝を覆うだけでは、その効果を十分には得られません。大切なのは、畝とマルチングシートを密着させることです。そのためには 畝の表土を平らにする、マルチングシートをシワなくピンと張って隙間を作らないようにするのがポイント。しっかり密着させれば、後でマルチングシートに植え穴をあけても畝に風が入り込まず、マルチの効果がより高まります。
Step1
畝を立てた後、マルチングシートを密着させるために塩ビ管などを利用して表土を平らにする。
Step2
マルチングシートを張る際は2人がかりで作業するのがおすすめ。片方を固定し、片方をピンと伸ばす。シワが斜めになっていたらずれているので、垂直になるように調整。畝の端を土
で埋めて固定する。
Step3
マルチングシートを横にもピンと張り、足で押さえながら、両脇にも土をかぶせて固定していく。
Step4
仕上げに畝の周囲にクワで土を盛ってしっかり固定。周囲より高くして水はけを
よくする。
Step5
張り終えた状態。シワ一つなく、マルチングシートと畝がピッタリと密着していることが分かる。
Step6
穴あけ器などで穴をあけて、苗を植える。
マルチングシートをふんわり掛けてしまうとどうなる!?
畝に張ったのがぶかぶか状態のマルチングシートでは、畝に空気が入りやすくなってしまいます。すると保温・保水・雑草予防の効果がほとんど得られず、せっかくマルチングシートを張った意味がなくなることに。さらに畝が劣化しやすくなり、強風によってシートがはがれてしまうこともあります。
進化型マルチングシートを使いこなす
作物の生育を助けるマルチングシートは、効果をより高める素材を使ったものや、作物に特化して利便性をよくしたものなど、多様な製品開発が進んでいます。ここでは、近年発売された3タイプの進化型マルチングシートの使いこなし方をリポートします。
サツマイモ黒マルチ
サツマイモの栽培では、つる苗を入手して植え付けます。収穫するイモの数が多くなるように、斜め植え、または水平植えにするのが一般的ですが、その作業効率を高めるスリット入りのサツマイモ専用黒マルチングシートが登場しました。
■規格
サイズ(約):幅95㎝×長さ50m
厚さ(約):0.02㎜ 条数:1条
株間(約):30㎝ 穴径(約):4㎝
栽植本数(約):160本/枚
幅95㎝の黒マルチは、畝幅約50〜60㎝、高さ約15㎝の高畝にしてもしっかり覆える。1条植え用で、植え穴を中央にセットした。
つる苗を斜め植えする。スリットが入っているため、やはりつるをスムーズに植えやすく、使いやすい!
ムシコン
キラキラと光るものを嫌うアブラムシの性質に注目し、表面にシルバーストライプを施したマルチングシート。シルバーが太陽光を反射し、アブラムシの飛来を予防します。またアブラムシはウイルス病を媒介するため、病気の予防にもなります。
■規格(共通)
厚さ:0.02㎜
畝にムシコンをセット。ストライプのおかげで垂直・平行が判じやすく、斜めによれずに張れた。15㎝、45㎝の目盛りも入っていて使いやすい。
目盛りを生かして30㎝間隔でシートにカッターで穴をあける。あまり目盛りにとらわれすぎず、参考にする程度に活用するとよい。
苗を植え付ける。地色は黒なので、雑草を予防したい時期に利用するのがおすすめ。
強力 白黒サンサンマルチ
一般のポリエチレン製マルチとは異なり、ポリプロピレンテープの織物製で、耐候性に優れるのが特徴です。白黒のリバーシブルで、太陽光を99%遮断。また、透水性があるため、上からそのまま水やりできるのも便利です。使い捨てでなく、繰り返し使えます。
■規格
重量(約):①0.65㎏ ②1.3㎏ ③6.2㎏ 材質:ポリプロピレン
※斜面では、水が通りにくい場合があります。
※定植穴の切れ目は一部つながっています。切除してご使用ください。使用しない穴からの雑草を抑えます。
白黒サンサンマルチをピンと張って、畝に密着させる。20㎝間隔でカットラインが入っており、縦方向に最大4条植えができる。
白面を表に使った例。光の反射率30%で、夏場に利用すると地温の抑制につながる。上から水やりしてもスムーズに浸透した。
黒面を表に使った例。黒は逆に光を吸収して熱に変えるため保温効果があり、冬に利用するとよい。
敷き詰めマルチング資材を使いこなす
敷きわらはトマト、ナス、サトイモ、ショウガなどの株元に施し、強い日差しによる地温の上昇を防いで暑さから守ります。もみ殻は暑い時期にタネまきするニンジン、キャベツ、ブロッコリー、ダイコン、ハクサイなどに利用。タネまき後にもみ殻をかぶせることで、暑さによる幼苗へのダメージ回避、害虫の侵入防止に効果があります。いずれも土に還るので撤去は不要ですが、次作に影響が出る場合は片づけます。
敷きわらやもみ殻などの敷き詰めマルチング資材を使う際は、土が見えないくらいに適量を施すことがポイントです。あまりに少ないと効果が薄れてしまいますし、あまり厚くなりすぎると、湿気や暗い環境を好むナメクジやダンゴムシを呼び寄せることになるので注意しましょう。
進化型敷き詰め資材を使いこなす
畝に敷き詰めて使うタイプの堆肥を使用しました。使い心地についてレポートします。
まず畝を立てて、苗を植え付ける。
厚み2~3㎝を目安に株の周りに敷き詰める。やや粗めながらサラサラとした質感で、においもない。
草取り知らずの敷きつめ堆肥
1年かけて完熟させた純粋堆肥を100 %使用(化学肥
料・薬品等は一切不使用)。使用後は堆肥として土に
還ります。乾燥を防ぎ、雑草予防にもなります。