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見て楽しい!食べておいしい!カボチャの宙づり栽培に挑戦!

つるが旺盛に伸びるため、栽培には広い面積が必要なカボチャですが、ミニカボチャなら立体的に仕立てることが可能です。今回はアーチ状に支柱を立て、両側からつるを這わせる仕立て方をご紹介。家庭菜園でも気軽にトライできるので、ぜひ挑戦してみましょう。
栄養豊富なカボチャは、緑黄色野菜の王様です!タキイ品種のカボチャのキュアリング方法と効果もご紹介します!!

宙づり栽培は果実が小型のミニタイプがおすすめ

カボチャは、地面につるを這わせる「地這い栽培」が一般的ですが、果実の大きさが600~800g のミニカボチャなら、支柱を立ててつるを誘引する立体栽培が可能です。ホクホクの果実のおいしさはもちろん、果実が空中でぶら下がるように実る様は眺めても楽しいものです。
ミニカボチャとはいえ、「ほっこり姫」などは大玉種と変わらない収量が期待でき、1株に7~10個の実が収穫可能でお得感もいっぱいです。
「ほっこり姫」や「はやと」など個性豊かなミニカボチャを用いて、省スペースでのカボチャ栽培にチャレンジしてください。

さっそく作ってみよう!

1土づくりSTART
180×120cmの栽培スペースを用意し、植え付けの2週間前までに苦土石灰100~150g/m²をまいてよく耕します。植え付けの1週間前までに、直径30cm、深さ20~30cmの穴を掘り、堆肥2kg、化成肥料(チッソ-リン酸-カリ=8-8-8)30g、熔リン10gを入れ、穴に土を戻します。さらに周囲の土を10~20cm盛り上げて、台形状の山をつくります(図1)。
2植え付け
本葉3~4枚のがっちりした苗を用意します。山の中央に深さ10cm程度の植え穴を掘り、苗を植え付け、仮支柱を立てます。苗の周囲に適度に水がたまるように、周囲を指でなぞって深さ1~2cmの溝をつけます(図1)。

3支柱立て
雨よけ支柱やアーチ支柱などを使って、30cm間隔で挿し、アーチ状に支柱を立てます。支柱がぐらつかないように横棒を3カ所に渡してひもなどで固定します。アーチ全体を覆うように10cm角目の園芸用ネットを張り、たるみがないようにひもなどで留めて固定します。

4摘芯・整枝・誘引
子づるが伸びてきたら、親づるの先端をハサミで切り(摘芯)、元気のよい子づる3本を残してほかは付け根から切りとります(整枝)。伸びたつるは、その都度麻ひもなどで支柱やひもに誘引します。

5人工授粉
雌花が咲いたら、雄花の花びらを取り去り、雄しべの花粉を雌花の雌しべにこすりつけます。この作業は花粉のよく出る午前9時までに行います。

6追肥
実がピンポン玉ぐらいになったら、株の周囲に化成肥料30g/m²を追肥し、軽く土寄せします。その後も2週間おきに同様に追肥、土寄せします。
7つり玉
実が大きくなってきたら、重みで落下するのを防ぐため、果物ネットなどで果実をつるし、支柱に結びつけて補強します。

8収穫GOAL
開花(人工授粉をした日)から40~45日後、へたの部分がコルク状に枯れてきたら収穫適期。ハサミで切りとって収穫します。

タキイ品種のカボチャのキュアリング方法と効果

家庭菜園では、収穫したての新鮮な野菜を味わえるのが醍醐味の一つです。
しかし、カボチャはとりたてが一番おいしいとは限りません。
「キュアリング」と呼ばれる処理を行うことで、甘みたっぷりのおいしいカボチャに仕上がります。

キュアリングとは?
収穫後に切り口から腐るのを防ぐために、切り口を乾燥させることと、追熟させることを併せてキュアリングと呼びます。
収穫当初はデンプンの割合が多くホクホク感はありますが、糖分は少なく甘みはあまり感じることができません。しかし、キュアリングと呼ばれる追熟を行うことで、デンプンが徐々に糖に分解され、甘みが増します。
キュアリングの方法
収穫したら、風通しがよく雨の当たらない納屋などにスノコを敷いて並べ、切り口を乾燥させます(写真1 ・2)。直射日光の当たる所や、気温が30℃を超える場所は腐りやすいので避けます。

写真1)収穫直後の状態。

写真2)しっかり乾いた状態。

品種によって食べごろが違う!
「えびす」はキュアリングを10日ほど行うことで甘みがのり、食べごろとなります。ホクホク感の強い「ほっこり133」「ロロン」「夢味」は、2週間~1カ月で食べごろとなります。食べごろ以降も追熟をするほどデンプンの糖化は進みますが、ホクホク感がなくなってくると同時に、腐りやすくなるので注意しましょう。

■ 各品種のキュアリング適期

品種 適期(収穫後)
えびす、つるなしやっこ 7~10日
ほっこり姫、ほっこり133 、ロロン、夢味 2週間~1カ月
はやと(日本種) キュアリング必要なし

つるなしやっこは肉質が粘質なため、キュアリング効果は高くありません。

長く貯蔵するには?
まず収穫までに果実の日焼けをさせないことです(写真3)。追肥やうどんこ病の防除を適切に行い、果実の日よけとなる葉の枯れ上がりを防ぎます。どうしても収穫間際の直射日光が避けられない場合は、果実を新聞紙で包んで日よけをします。収穫は晴れた日に行い、キュアリングにより切り口がしっかり乾いたら、10℃くらいの温度下で保存するのが理想的です。貯蔵性を特に重視するなら、日もちのする「夢味」などの品種を利用するとよいでしょう。

写真3)日焼け果。この部分から腐敗しやすい。

キュアリングで健康成分も増える!

カボチャは緑黄色野菜の代表選手で、抗酸化作用があるといわれるカロテンを多く含みます。キュアリングをすれば、さらにカロテンの量が増えます。食べごろのカボチャは、おいしさとともに、栄養素も充実するのです。

藤田 智

藤田ふじた さとし
秋田県生まれ。恵泉女学園大学 人間社会学部人間環境学科教授。専門は野菜園芸学、植物育種学、農業教育学。「NHK 趣味の園芸」講師などで野菜作りの魅力を伝える。著書に「別冊NHK趣味の園芸・わが家の片隅でおいしい野菜を作る」(NHK出版)など多数。

カボチャ・ほっこり姫®の販売

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