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ナッツ類を育てよう

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ナッツ類を育てよう

ヘルシーなおやつ、おつまみとして人気のあるナッツ類を、ご自宅で育てて食べてみませんか?
どのように樹上で結実するのかを知れば、楽しみが広がりますよ。今回はクルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンドの3種類の育て方と品種をご紹介します。

牧野 浩

大坪 おおつぼ 孝之 たかゆき

1939年生まれ。東京農業大学卒業、農学博士。元東京農業大学助教授、元東京農業大学グリーンアカデミー講師。ウメ、リンゴ、柑かん橘きつ類を始め、果樹全般にわたり栽培研究の指導を行う。日本梅の会会長。

楽しみ広がる!家庭でナッツを育ててみよう

近年、クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオなどのナッツ類が健康食品として見直され、食べる機会が増えていると思います。ただ、それらの木がどんな姿で、どのように結実するのかはあまり知られていないのではないでしょうか。ナッツ類の果樹を身近に植えて、育っていく様子を観察するのはなかなか楽しいものですよ。今回は日本の気候でも育てやすい、クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンドの3種類の育て方と品種をご紹介します。

この3種類のうち、日本で営利栽培されているのは主にクルミだけですが、ヘーゼルナッツは九州北部から北海道にかけて自生しており、育てやすい種類です。ヘーゼルナッツの和名は「セイヨウハシバミ」といいます。アーモンドは、もともと夏場に雨が少ない地域の果樹なので、雨の多い日本の気候では育てにくく、多雨に強い品種を選ぶ必要があります。モモの一種でありながら、果実が割れてナッツが出てくる興味深い特徴をもちます。これらの3種類とも、南西諸島などの暖地と一部の寒冷地を除き、ほぼ全国で栽培可能です。 クルミは大木になりやすいので、狭い場所で育てる場合は鉢植えがおすすめです。ただ、広い畑や山地などがあり、手の掛かる作物は作れないが、なんとか土地を維持管理したいというような場合は、ゆったりとクルミやヘーゼルナッツをたくさん植えてみるのも一つの方法です。もちろん、ただ植えておけば収穫できるというものではなく、簡単な整枝や草刈り、場合によっては最小限の病害虫防除も必要です。

あまり目にする機会がない、果肉のついたクルミのなり姿。

クルミの育て方

種類と品種

クルミは、クルミ科クルミ属の落葉果樹で、日本で栽培されているのは、主に「ペルシアグルミ」「テウチグルミ」「シナノグルミ」の3種です。「テウチグルミ」は「ペルシアグルミ」の変種で、「カシグルミ」「トウグルミ」「チョウセングルミ」などの別名があります。「シナノグルミ」は明治以降に導入された「ペルシアグルミ」の欧米品種と「テウチグルミ」の自然交雑種です。
主産地の長野県では、これらの中から‘晩春’‘清香’‘信鈴’などの数品種を選抜し、新植する場合はこれらの品種を植えています。ただ、これらの品種は今問題になっている黒斑細菌病の伝染を防ぐため、県外への苗木の移動が基本的に禁止されており、苗木の入手はできません。なお、日本原生の「オニグルミ」「ヒメグルミ」は野生種を収穫して利用するのが主体です。
今回ご紹介する‘菓子くるみ’は、品種名のついたものは流通していませんが、雌花と雄花の開花期のずれは比較的小さく、結実が安定しています。

植え付け

露地植え

栽植距離は11~12mで、10a当たり7~8本を植え付けます。植え付け時期は12月~翌年2月で、寒冷地では春植えにします。直径50~60㎝、深さ40㎝程度の植え穴を掘り、堆肥と軽く一握り程度の化成肥料(チッソーリン酸ーカリ=8ー8ー8)をできるだけ肥沃な表土部分の土と混ぜ、苗の根をよく広げて植え付けます。植え付けたら支柱を1本添え、苗を固定しておきます。さらに防寒のため、わらか、4~5枚重ねた新聞紙を巻いて縛っておきます。植え付け後は十分に水やりをし、その後も乾くようなら時々水やりをします。

鉢植え

1年目は10号鉢程度の鉢に植え付け、2年目以降に50ℓくらいの鉢に植え替えます。スリット鉢がおすすめです。用土は赤玉土の小粒を用いますが、地元に適当な鉢植え向きの土があればそれを用います。

整枝と剪定

露地植え

一般には変則主幹形に仕立てます。樹勢が強いので、最初に最後まで残す主枝の構成を考えながら主幹形に仕立てます。6~10年たって、主枝4~5本を残して芯抜きをします。伸びるに任せておくと大木になります。大木になると、収穫は落下した殻果を拾えばよいですが、10数mもの大木になるので木が大きすぎて病害虫の防除が大変難しくなります。クルミは、発育枝や長い結果母枝を切り戻したりしますが、短い結果母枝は切り戻しません。しかし、枝が込み合ってくると、間引きや側枝の切り戻しは必要です。

どうしてもコンパクトな樹形にしたい場合は、鉢植えにするのも手ですが、それでは物足りない場合のために即席の開心自然形をご紹介します(図1)。最初は2本の主枝を真っすぐ3~4mしっかり伸ばし、それから45度くらいの角度に誘引して寝かせます。寝かせることによりたくさんの側枝が発生し、そこに花芽がつくようになります。寝かせるとその上に立ち枝が伸びてくるので、主枝上の直上枝は小さいうちに除きます。このようにすれば、4年目にはかなり結果します。側枝が長くなりすぎる場合は、時々切り戻します。数年たつと次第に勢いづくので、二度伸びする強い芽をかいたりして矮わい化か 技術を駆使する必要があります。

(図1)クルミの即席開心自然形

鉢植え

スリムな主幹形に仕立てます。樹形を維持するには、誘引や切り戻し剪定も必要です。

結果習性と剪定

多くは前年枝の頂ちょう芽が が伸張して雌花をつけ、雄花はそれより下位節につきます(図2)。コンパクトな樹形を維持するには、誘引するか、側枝が長くなりすぎないように切り戻しも必要です。

(図2)クルミの結果母子枝

上が雌花、下が雄花。

結実管理~人工授粉

クルミは雌雄異花で、雌花と雄花は別々に咲きます。しかも雌花と雄花の開花時期がずれる品種が多いので、ずれの小さい品種を植えるか、雌雄の開花時期ができるだけ重なるように数品種を混植します。なお‘菓子くるみ’は、そのずれが比較的小さい品種です。クルミは自家結実性なので、小規模栽培の場合は人工授粉をすれば問題ありません。樹高を低く作っていれば、授粉作業は簡単です。
人工授粉の方法は、開花1~2日前の雄花をとって紙の上に広げておくと黄色い花粉が出てきます。これを筆の先につけ、咲いた雌花につけます。花粉は紙で包んで冷蔵庫へ入れておけば、開花期間中は使用できます。
なお、結果枝が二度伸びする場合は、生理落果を防ぐため芽かきをします。

結果枝の芽かき。

施肥

家庭で1~2本植えて楽しむ分には、施肥は考えなくてよいです。鉢植えの場合は年2回くらい必要です。

病害虫防除

家庭での栽培では、病害虫の防除は考えなくても問題ありませんが、病害虫が多発する場合は多少の防除は必要です。クルミ黒斑細菌病が多発する場合は、ICボルドー66Dの散布が有効です。

収穫と利用

成熟期は場所や品種にもよりますが、長野県東御市では9月下旬~10月中旬です。収穫は、少数なら果皮が割れたら収穫して核を取り出し、水で洗って乾燥させます。たくさん栽培している場合は、多くの果実が割れ、一部が落果し始めたら、実がなっている部分の枝を棒などで叩たたいて落とすと一気に収穫できます。実は地面に落ちたままにしておくと核皮が汚れるので、落果したものは早めに拾いましょう。

ヘーゼルナッツの育て方

種類と品種

カバノキ科で、ヘーゼルナッツのほかに「フィルバート」という別名もあります。和名は「セイヨウハシバミ」で、この仲間は世界各地に自生しており、日本にも「ハシバミ」「ツノハシバミ」などが自生しています。
果樹として栽培している「ハシバミ」の基本種の原生地は、欧州南部、アフリカ北部、アジア西部です。品種はたくさんありますが、今回は2品種を紹介します。「ハシバミ」は山地のような痩せ地でも生育旺盛でよく育ちます。

植え付け

たくさん植える場合は、5mくらいの間隔は必要です。植え付けの時期は12月〜翌年2月、寒冷地では春植えです。植え付け方はp.22のクルミと同様です。

整枝と剪定

ヘーゼルナッツはサッカー(地下茎から伸びた枝)が広がり茂る性質があるので、主枝を3~5本くらいに制限して株状に仕立てます(図3)。夏場に伸びるサッカーを絶えず刈り取らないと茂ります。樹冠も大きくなりやすいので、適度に切り戻しや間引きを行い、効率のよい樹冠の大きさを維持するようにします。

(図3)ヘーゼルナッツの仕立て方 (株仕立て)

結果習性と剪定

雌花は、前年枝の充実した短果枝の先端と、それに続く2~3のわき芽と、さらには雄花の着生した枝の基部の葉よう腋えきにも着生します。一方、雄花は樹冠頂部のよく伸びた長枝の頂芽と、それに続く2~3のわき芽がわずかに伸長して着生します。開花期になると、長い雄花か穂すいが樹冠の上部にぶら下がっています。下に雌花があり、花粉をばらまくためのようです。
樹冠頂部の枝を長いからといって開花前に切ると、雄花を落とすことになるので、授粉後でないと切れません。

ヘーゼルナッツの花。大きいのが雄花穂、芽先の赤いのが雌花。

結実管理~人工授粉

ヘーゼルナッツはクルミ同様、雌雄異花で風媒です。雌花は春から伸びた新芽の先端に、雄花は前年枝につきます。それぞれの開花期のずれも品種によって違うので、結実させるには2品種以上を混植する方が安定します。庭先で1本を育てるような場合は、結実が悪ければ人工授粉をします。

施肥

庭先に1本植える場合は、肥料は特に必要ありません。鉢植えの場合は、年2~3回は必要です。固形肥料やIB化成などの緩効性肥料を中心に与えます。たくさん植える場合は、収量にもよりますが、年に成分量で10a当たりチッソ15kgの施肥は必要です。施肥時期は、11月に7割くらいを元肥として、9月ごろに残りを追肥として与えます。

病害虫

特に問題になる病害虫はありませんが、枝幹を侵すコウモリガ、カミキリムシの被害には注意が必要です。また、葉を食害する害虫が発生した場合は防除します。

収穫と利用

成熟期は、長野県で8月下旬~9月上旬です。成熟した果実は落果するので、果実の殻をむきます。果実のおしりの部分に剪定バサミなどで切れ目を入れるとむけます。中の実はローストして食べます。あるいは、ローストせずに紙袋に入れて、レンジで加熱して食べることもできます。お菓子作りやあえ物などの料理に使ってもおいしいです。ビールや洋酒のおつまみにしてもいいですね。

アーモンドの育て方

種類と品種

アーモンドは、漢字で「扁桃」と書くように、モモに近い種類です。ただモモとは違い、熟すと果実が割れて中から核が出てきます。核の中にある仁(タネ)を食べます。
食用可能な生産用のアーモンドは、核皮の厚い・薄いによって「軟核種」と「ペーパーシェルド種」の二つに分類されます。後者の核皮は極端に薄いため手で簡単にむけますが、前者の核皮は手ではむけないため、破砕機でむきます。
日本で栽培されているのは前者で、多くは‘ダベイ’という品種のようです。雨に強く1本でもよく結実します。
‘マルコナ’は、果実の品質がよいことで知られるスペインの有名な品種です。この品種も核はかたくて手ではむけないので、ハンマーなどを使って割ります。自家不結実性で、異品種と混植するか授粉が必要です。開花期さえ合えば、普通のモモやハナモモの花粉も使うことができます。

アーモンドのペーパーシェルド種。

モモの花に似たかわいらしいアーモンドの花。

植え付け

露地植え

栽植距離は11~12mで、10a当たり7~8本を植え付けます。植え付け時期は12月~翌年2月で、寒冷地では春植えにします。直径50~60㎝、深さ40㎝程度の植え穴を掘り、堆肥と軽く一握り程度の化成肥料(チッソーリン酸ーカリ=8ー8ー8)をできるだけ肥沃な表土部分の土と混ぜ、苗の根をよく広げて植え付けます。植え付けたら支柱を1本添え、苗を固定しておきます。さらに防寒のため、わらか、4~5枚重ねた新聞紙を巻いて縛っておきます。植え付け後は十分に水やりをし、その後も乾くようなら時々水やりをします。

鉢植え

1年目は10号鉢程度の鉢に植え付け、2年目以降に50ℓくらいの鉢に植え替えます。スリット鉢がおすすめです。用土は赤玉土の小粒を用いますが、地元に適当な鉢植え向きの土があればそれを用います。

整枝と剪定

露地植えの場合は、変則主幹形かスリムな主幹形に仕立てます。鉢植えでは、幹1本のスリムな主幹形に仕立てます(図4)
結果習性はモモやウメなどと同様、前年枝の葉腋に花芽がつき、結果します。冬季の剪定では、モモ同様長い結果枝の先端を切り詰めますが、果実が小さいので、モモより控えめの4分の1程度とします。また、残す結果枝の本数も、込みあっている部分を間引く程度にして、多く残します。

(図4)アーモンドの仕立て方(変則主幹形)

結実管理

‘ダベイ’は自家結実性なので、花が咲けば、何もしなくても結果します。‘マルコナ’は自家不結実性のため、異品種を混植するか、異品種の花粉を授粉します。ちなみに核皮を簡単に手でむけるペーパーシェルド種に普通のモモの花粉を授粉すると、核皮がかたくなり手ではむけなくなります。

施肥

庭先で1本を小さく仕立てて楽しむ場合は、肥料は寒肥程度でよいです。鉢植えでは年に2~3回の施肥が必要です。2月、5月、9月くらいに与えます。

病害虫防除

モモの仲間なので、きちんと作るにはモモに準じた防除が必要です。病気ではせん孔細菌病を始め、縮葉病、炭疽病など、害虫ではシンクイムシ類、枝幹に食い入るコスカシバ、アブラムシ類、カイガラムシ類など、問題になる病害虫があります。ただ‘ダベイ’は病害虫に強く育てやすい品種です。

収穫と利用

果実が割れて落果するようになったら、核を取り出し、水で軽く洗って乾燥させ、核皮をむいて仁を取り出します。‘マルコナ’の核皮はハンマーなどで叩けば割れます。‘ダベイ’の核皮は少々かたいですが、太めのペンチで挟んで割るとむけます。仁はローストして、そのまま食べてもよし、お菓子作りなどにも利用できます。

種類と品種

ナッツの苗の販売

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