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タキイの栽培コンテンツ
秘密の花園の庭づくり
表情豊かなハボタンが庭の季節のフィナーレを飾る
ヘッドガーデナー
山下尚子
東京農業大学卒業後、造園会社に勤務。その後、自身で造園会社の経営も経験し、12年前に「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」へ。庭全体をトータルで管理する。
ナーセリーチーフ
前田晋作
淡路島にキャンパスがある兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科で緑地管理や園芸について学ぶ。ラ・カスタ ナーセリーの担当責任者として、化粧品や庭で使用する植物の育苗や管理などを担う。
ハボタンは寒さに強くバリエーションもとても豊富
色鮮やかな花が咲き誇る夏本番を間近に控えたこの時期、ナーセリーではシーズンの最後を飾る草花の準備が始まります。ガーデナーは現状の庭を管理しつつ、常に一つ先、もう一つ先の季節の庭を思い描きながら、植え替え、剪定、施肥などの作業計画を立てています。
「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリングガーデン」は、毎年11月上旬で閉園となります。ここでは例年、10月中旬に初霜が降ります。軽い霜では被害は大きくありませんが、強い霜に当たると、昨日まで美しく咲いていた草花が一気に傷んでしまいます。また、ダリアは霜が降りる前に球根を掘り上げるようにしています。そのようなことから、冬季休園前には花が少ない状態になってしまうので、最後までできるだけ華やかな花壇を保てるように、2〜3週間ほどのわずかな期間のために、寒さに強い草花に植え替えます。その主役を担うのがハボタンです。ハボタンは7〜8月がタネまき適期で、ナーセリーでは、毎年7月20日前後にタネをまいて育苗します。その前にタネを入手する必要があるので、ガーデナーは10月過ぎのシーズンラストの花壇デザインを早めに考え、6月中に苗の必要数をナーセリースタッフに伝えます。
最近ではハボタンの種類が豊富になり、定番の丸葉種、切葉種、ちりめん種のほかに、波打つような葉形のフレア系や鳥の羽のように繊細なフェザー系もあります。また、ハボタンは寒さに当たるにつれ、葉色が鮮やかになり、紅色系では赤やピンク色がより濃くなり、白系ではそれまで緑がかった葉が白さを増します。
一昨年まではいろいろな葉形、葉色をミックスしてデザインしていましたが、昨年は、あらかじめ葉色をベースに「ピンクセット」「ホワイトセット」「レッド&パープルセット」と三つの組み合わせを決めました。アクセントとして利用するストックやアリッサム、セージ類も花色から3セットに振り分けています。それを花壇にバランスよく配置すると、葉色が塊で目にとまりやすくなり、メリハリのある花壇をつくりやすくなります。もし、ハボタンの品種選びに迷ったら、ぜひこの方法を試してみてください。
さて、10月中旬を過ぎると毎日天気予報をチェックしながら、霜が降りそうな日を予測する日々になります。「そろそろ降りそう」というタイミングで夏から秋まで咲いていた花を寒さに弱いものや傷んだものから順番に抜き、少しずつハボタンに植え替えをしていきます。霜が降りるのは氷点下になったらと思われがちですが、晴れの日の朝は2〜3℃でも降りることが多いので、この見極めが難しく、冬季休園前の数週間は毎日ハラハラしながら過ごしています。
ハボタンはこんな品種がおすすめです!
フレア ホワイト
波打つような葉が優雅なフレア系の高性種で、寒さに当たると着色部が真っ白になり、白バラのように美しい。草丈が伸びるので花壇の後方に植え付けるとよい。
改良紅はと
丸葉種で、従来の‘紅はと’より着色部がさらに鮮やかな濃紅色になる。外葉の濃緑色とのコントラストも美しく、魅力的な品種。
プラチナケール ルシール バニラ
葉の表面に光沢がある新しいハボタン‘プラチナケール’の高性種。マットなハボタンの間に加えると、メタリックな質感がよく映えてアクセントになる。
プラチナケール グロッシーレッド
葉に光沢がある‘プラチナケール’の矮性種で、葉がキラキラと光る感じが魅力的。ちりめん種と切葉種の中間くらいの縮み葉。大株に仕立てると照り葉がより鮮やかになり存在感が増す。
フレア ローズ
‘フレア ホワイト’が白バラなら、‘フレア ローズ’はピンクのバラ。植え付け直後は緑葉が多いが、徐々に中心から赤く色づいていく。
桃かもめ
ちりめん種。全体がふわっとした印象で、軽やかなボリューム感がある。着色部が鮮やかな紅色で、外葉の緑色とのコントラストが美しい。
フェザー レッド
鳥の羽のような、また雪の結晶のような繊細な葉形が美しい高性種。丸葉種の間に加えるとメリハリがつく。
紅くじゃく
切葉種の中でも非常に繊細な葉をもつ品種で、着色部の鮮やかな紅色も美しい。丸葉種と組み合わせるとお互いを引き立て合う。
大規模な植え替えは休園日に一気に行います!
ハボタンのタネまきは、毎年7月20日前後に行います!
ナーセリーでは、毎年7月20日前後にハボタンのタネまきを行います。ケールも含めると約2500ポットを育苗しますが、生育が揃うように、ナーセリーのスタッフ総動員で、1日でタネまきを終わらせるようにしています。
タネまき
鉢上げ(9cmポット)
鉢上げ(10.5cmポット)
しっかり成長した苗は、これから寒さに当たると品種本来の葉色に色づきます!
ハボタンのタネの販売