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高梨さゆみ（たかなしさゆみ）
イギリスでガーデニング文化の魅力に触れて以来、雑誌や本などですぐに役立つガーデニングの情報を発信。イギリスや日本全国の庭を巡るほか、日々の花散歩で見かけた「これはいい！」という植物をSNSなどでも紹介する。花苗や切り花の生産農家も訪ね、人気の花、新しい花の情報を得ると同時に栽培のアドバイスも取材。
クレマチスがあるだけで景色が立体的になる！
大きな花を咲かせるタイプのほか、壺形やベル形などの花形があるクレマチスですが、いずれも優雅で気品ある風情を感じさせ、つる植物の女王と称されるのも納得の美しさです。花だけでなく、繊細なつるが面を埋めるほど旺盛に伸びるのもクレマチスの魅力。つるを這わすための壁面が必要となりますが、庭にある建物の壁、トレリスやオベリスクなどを利用すれば、手軽に栽培することができます。
クレマチスの咲く庭を訪ねていつも感じるのは、美しい縦の面があることで、庭は立体的になるということ。地面にばかり向かう視線が上向きになるためだと思います。そして、後方の美しい壁面に視線が向かうことで、遠近感も感じられます。より美しい景色を求めるなら、クレマチスを利用しない手はないと思います。
さて、クレマチスは迷うほど魅力的な品種が豊富にあります。そんなときは、一つの面に複数の品種を絡ませるのもおすすめです。例えば、大きな花と小さな壺形やベル形を組み合わせると、大小のメリハリからリズム感のある壁面になります。小さなトレリスなら、壺形とベル形だけを組み合わせても素敵。
ちなみに、我が家ではトレリスに壺形とベル形を3種類を絡めていますが、毎年よく花が咲くので、少し摘んで室内に飾っています。緩やかな曲線を描くつるにも風情があり、小さな花びんに1枝挿すだけで絵になりますよ。
天使の首飾り
株がコンパクトにまとまり、開花期が長い！
きゅっと花先を絞ったベル形が美しく、何より濃い紫ピンクの花色の鮮やかさが魅力。我が家でも咲かせていますが、とても花付きがよく、初夏から秋まで花が続きます。個人的に大のお気に入り品種です。
プリンセス ケイト
ヨーロッパで大人気のチューリップ咲き
ベル形の花弁の先が反るほどに開くチューリップ咲き品種。横から見るとベル形ですが、正面から見ると花心の赤紫まで見えて、まるで別の花を見ているよう。表情が豊かで1種だけでも華やかな景色になります。
モーニングティー
やわらかなピンク色がアンティークな雰囲気
数ある八重咲きの中でもとくに魅力的だと感じたのがこの品種。かわいらしく、涼しげな淡いピンクが魅力的で、整った八重咲きの花形もとてもきれい。紫系の壺形の品種と合わせても素敵だと思います。初夏から夏に咲く宿根草ともよく合います。
白万重
新旧の枝に次々と花が咲く
「テッセン」の枝変わりとしておなじみの品種ですが、立体感ある花形、そして白から中心に向けて淡黄緑になるグラデーションの美しさは、見飽きることがありません。長く人気を保っているのも納得です。
クレマチス・キリ テ カナワ
ふんわり立体的な美しい花形
パテンス系の八重咲き品種で、波打つ花弁が幾重にも重なる花がとても優雅。写真ではやや赤みががっていますが、実際は鮮やかな青紫色。切り花でも人気があります。品種名は世界的に著名なニュージーランド出身のオペラ歌手にちなんでいます。
リトルレモン
鮮やかなレモン色の可憐な花が鈴なりに咲く超小型種
クレマチスでは珍しい黄花品種。観光ガーデンで初めて見て新鮮な印象を受けました。うつむいて咲く花は意外に大きく、インパクトのある株姿。株がコンパクトにまとまるので鉢植えにもおすすめです。