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タキイの栽培コンテンツ
プランターで作ろう!秋から始めるおすすめの野菜品種
広い菜園や庭がなくても、ちょっとしたスペースがあればプランター栽培ならおいしい野菜作りが楽しめます。ダイコンやカブなどの根菜類、ホウレンソウやコマツナなどの葉菜類は今からがまきどき。
今回は、深町貴子さんにプランター栽培に向く、おすすめ品種を紹介していただきました。
深町貴子
園芸家。東京農業大学短期大学部非常勤講師。有限会社タカ・グリーンフィールズ専務取締役。NHK趣味の園芸「やさいの時間」講師。NHK総合テレビ「あさイチ」をはじめ、数多くのテレビや雑誌で活躍。園芸の魅力を伝える講演も人気があり、全国各地で多くの人にガーデニングや菜園の楽しさを広めている。
タカ・グリーンフィールズ
http://www.taka-greenfields.com
プランターのタネまきは今が適期
私が目指すものは「頑張らない家庭菜園」です。家庭園芸と農業が明らかに違うのは、個人が楽しめなければ続かなくなるところです。作業がつらいものや難しいものになっては、興味を持続できません。初心者にとって大事なことは「楽ちん≒楽しい」の経験です。プランター栽培は、手軽に始められ、植物がすくすくと生長する姿を見ることができ、最後はご褒美として収穫ができるという、こんな楽しい生活はありません。虫が苦手…、面倒くさそう…、でもやってみたい!と思っている方は多いはず。
今回紹介している葉菜類や根菜類は、どれも生長が早くて丈夫なものばかりです。これから秋に向かい涼しくなれば、屋外作業も楽になります。最初から防虫ネットをかけておけば、害虫に食べられることもありません。土は元肥入りの野菜用培養土を使えばお手軽です。ポイントを押さえれば、あとは植物が力を貸してくれます。ぜひ、この秋から始めてみませんか?
※「≒」…ほぼ等しいという意味。
深町流プランター栽培のコツ
葉菜類
今回おすすめする葉菜類はたくさんタネまきすれば株数が多くなり、収穫量も増えます。密植して育てるので、根は縦に伸びます。そのため、プランターは深さ20~25cmで、表面積が大きい横長タイプのものがおすすめです。控えめに深さ10cm程度の小さなプランターを選ぶと、根の先端がすぐに鉢底に当たってしまい、うまく育ちません。特に根が深く伸びるホウレンソウにとって、深さは重要です。土の容量は10L程度入るものを選ぶと水もちがよく、楽に育てることができますよ。
葉菜類を育てる時は、深さ20~25cmのプランターを選ぼう。浅すぎるプランターでは、根が伸びず、生育不良になってしまうので注意。
根菜類
ダイコンは根が深く伸びるので、プランターは30cm以上の深型のものを選びます。カブは15~20cmの深さがあれば育てられます。根菜類の根の部分を肥大させるには、まず葉をしっかりと生長させ、葉で光合成を十分に行い、できた炭水化物を根に送ることが必要です。つまり葉を守ることが重要なのです。虫食いだらけの葉っぱでは、十分な光合成ができず、根が肥大できなくなります。いつも葉の表裏を観察し、害虫がいないかよく見張りましょう。
根を肥大させるには、葉を旺盛に育てることが大切。
ダイコン
①タネまき
ペットボトルの蓋を土に押し当て、深さ約1cmの溝を作り、4粒のタネをまきます。30cmの深さがあればプランターのほか、ナイロンのショッピングバッグなどでも構いません。株間は約20cmです。ダイコンのタネは光が当たると発芽しにくいので、覆土はしっかり行いましょう。
②栽培管理
双葉、本葉3枚、本葉5枚で1本ずつ間引きます。根はタネまきから約1カ月は縦に伸び、その後、根の皮が剥離して中心から横に肥大します。このタイミングで追肥(液体肥料を規定倍率に希釈して与える)をして、水分を切らさないようにすると、肥大を促すことができます。
③収穫
葉茎の基部の直径を確認し、根径が7~8cmになったら収穫します。
カブ
①タネまき
長手のプランターに条まきにします。板などを土に押し当て、深さ1cmの長いまき溝を作り、そこにタネをまきます。タネとタネとの間隔は1cmです。
②栽培管理
双葉、本葉3枚、本葉5枚のタイミングで1本おきに間引きます。肥料は1カ月後に与え、水分を切らさないようにします。
③収穫
根径が5cmになったら、大きくなったものから収穫します。小カブ種はとり遅れるとかたくなるので注意します。中カブ、大カブ種で小さい時から収穫できる品種を選ぶと、長く収穫が楽しめます。
ホウレンソウ
①タネまき
必ず秋まき品種を選び、深さ20~25cmのプランターに条まきかバラまきで育てます。タネとタネとの間隔は1cmです。板などを使って平らなまき溝(深さ1cm)を作ると、発芽が揃いやすくなります。
②栽培管理
間引きしながら育てます。湿害に弱いので、本葉が5枚ごろまでは水やりを控えめにすると、根がよく伸びて丈夫に育ちます。ホウレンソウは長日で花芽ができます。外灯や室内照明の光でも影響を受けるので、夜間の置き場所に注意します。
③収穫
葉数が15枚以上になったら、一斉に引き抜いて収穫するか、収穫の大きさになったものから順次間引きしながら収穫する方法があります。間引き収穫する場合は、株元からハサミで切って収穫します。
コマツナ
①タネまき
タネは株間約1cmの条まきにして間引きしながら育てるか、写真のようにセルトレイにタネまきしたものを、トレイごとポットに埋めて育てることができます。
②栽培管理
およそ3日で発芽し、生長もとても早いので、間引きが遅れないようにします。最終株間は5~7cmです。害虫防除のため、最初から防虫ネットで覆っておくと、害虫退治をしなくて済みます。
③収穫
草丈が20cm程度になったら、順次収穫します。とり遅れると茎がかたくなり、味も落ちるので、早めの収穫を心掛けましょう。
ミズナ
①タネまき
ベビーリーフのような小株どりにするなら、タネはバラまきし、間引きしながら育てます。大株どりにする場合は、ポットまきにして育苗し、株間40cmで移植します。
②栽培管理
小株どりの場合は、土を乾燥させるとミズナのシャキシャキ感が失われ、過湿にすると病気になりやすくなるので適湿を心掛けます。大株どりの場合は、育苗中にできるだけ水分や肥料を控えると、丈夫な苗に育ちます。元肥入りの土に定植し、水分をたっぷりやると、急激に分けつして大株に育ちます。
③収穫
小株どりなら30日前後から順次収穫できます。大株どりの場合は、50日前後から収穫できます。
シュンギク
①タネまき
タネは発芽に光を必要とする好光性種子です。そのため、覆土はタネが隠れる程度で十分です。深さ20cmほどのプランターで、長方形は条まき、丸形はバラまきで育てます。
②栽培管理
発芽後の間引きは本葉2枚、本葉4枚の時に行い、最終株間は10cm程度になるようにします。
③収穫
収穫には根をつけて株ごと引き抜く方法(約60日後)と、摘芯して枝数を増やし、摘みとる方法があります。摘みとり方式の場合は、本葉4~6枚で摘芯し、分枝を伸ばして順次収穫し4カ月ほど楽しむことができます。
ベビーリーフ
①タネまき
プランターは15~20cmの深さがあれば何でもよいので、カゴやブリキバケツなど、オシャレな容器で楽しみましょう。浅めのプランターには鉢底石はいりません。直接培養土を入れ、タネはバラまきします。キク科のレタス類は好光性種子です。覆土は薄くしましょう。
②栽培管理
双葉、本葉3枚、本葉5枚のタイミングで間引きをします。1カ月間は追肥の必要はありません。弱光でもよく育つので、室内の窓際でも育てることができます。
③収穫
およそ30日後から収穫できます。まずは間引きしながら収穫し、株間が10cm程度開いたら、株を残したまま外葉から少しずつ収穫して、長く楽しみましょう。追肥は収穫後に、2週間に1回程度液肥を与えます。