ユズの枝にたくさんトゲがついています。危険なので除去してもよいでしょうか。
ユズの枝にたくさんトゲがついています。危険なので除去してもよいでしょうか。
植物にはトゲをもつものがたくさんあります。表皮が変形したバラやサンショウ、茎や枝が変形したボケ、葉が変化したサボテンやユズに代表される多くの柑橘類などです。トゲは動けない植物の生存戦略として、動物から食べられることを防いだり、蒸散を抑え乾燥から守ったりするため、などさまざまな説が考えられています。奈良公園では、トゲが多くて鹿が食べないイラクサばかり生き残っているとの記述も読んだことがあります。
ユズのトゲは柑橘類の中でも特に鋭く長く尖り、作業や収穫の時には服が引っかかるだけではなく、うっかりすると大けがにつながる厄介なものです。人間が管理する栽培地では動物から自らを守る必要もなく、ユズの場合は生育上、トゲがなくても何も問題はありません。かえってトゲを取り去っておく方が管理しやすいですし、風などで揺れた時にトゲで自ら果実を傷つけてしまい、さらに雑菌が入ると腐敗の原因になりかねません。すべてのトゲを取り去ることは難しいですが、作業や収穫に支障のある所や果実の近くのトゲは取っておく方がよいでしょう。
最近では、‘とげなしゆず’としてトゲの少ない品種も販売されているので、これから栽培を始められる時は選択肢の一つです。ユズは、温暖な気候を好む柑橘類の中でもひときわ耐寒性が強く、京都でも古くからの産地として栽培されている所もあり、昔から日本の風土に合った果樹として親しまれています。季節感を味わい多様な利用ができるユズを庭木の一つに加え、ぜひ楽しんでください。