新しく出てきた クリスマスローズの葉や花茎に黒い染みが入り、しおれてきました。何が原因でしょうか。
新しく出てきた クリスマスローズの葉や花茎に黒い染みが入り、しおれてきました。何が原因でしょうか。
一般にクリスマスローズは、日本より夏の気温が低く雨量が少ないヨーロッパなどが原産地です。日本では夏に休眠状態になり、秋から新しい葉が展開します。京都府立植物園では、自生地環境を考えて、夏場の直射日光を和らげる木陰で風通しのよい場所に植栽しています。
さて、葉や花茎に黒い染みができてしおれたのは、黒死病(ブラックデス)と呼ばれるウイルス性の病気が疑われます。主に春と秋に発症し、症状は茎や葉の葉脈に沿ってコールタールを塗ったような黒い筋状の染みや斑点が現れます。秋は新葉や茎のみに現れますが、春は蕾や花にも症状が現れ、黒く縮んでよれていきます。症状がひどくなると、蕾の場合は全体が染みに覆われて開かず、成長が著しく阻害されて弱っていきます。
ウイルスの感染源は、主にアブラムシやスリップス(アザミウマ)などの吸汁性害虫です。また、園芸作業に使うハサミやナイフからの感染も考えられます。
対策としてはまず、発症した株は感染源となるので、見つけ次第処分します。また、ウイルスの媒介昆虫のすみかとなる雑草を放置しないことや、アブラムシなどがつきやすいバラやアブラナなどの近くに植栽しないこと、作業においてはハサミなどの道具を消毒するなど、考えられる誘因を除去していくことが必要です。新たな株を植栽する場合は、少なくとも1年程度は別の場所に植栽し、感染株でないか確認するなど、慎重を期すことも大切です。