寒咲きのキクのはずですが、秋に蕾が出てきました。摘み取ってよいのでしょうか。
寒咲きのキクのはずですが、秋に蕾が出てきました。摘み取ってよいのでしょうか。
秋に咲く短日植物というのがキクの一般的なイメージですが、多くの品種が改良されています。開花期(生理生態的な特性)により、5~6月に開花する夏ギク、7~9月に開花する夏秋ギク、10~11月に開花する秋ギク、12月~翌年1月に開花する寒ギクに大別されます。花芽分化の要因は開花期により異なり、夏ギクは温度、夏秋ギクは温度と日照時間、秋ギク・寒ギクは日照時間が要因となります。特に寒ギクは「絶対的短日性」で、秋分の日以降で日照時間が11時間より短くなったころに花芽分化が始まり、12月中旬ごろから開花します。
寒ギクの開花特性を考えると、秋に蕾がつくのは寒咲きではなく、13時間以下の日長で花芽分化が始まる秋咲き品種ではないかと疑われます。また、日照時間が制限される特別な栽培環境(置き場)で、短日処理状態になることはありませんでしたか?その場合は摘み取らず、秋ギクとして花を楽しんでください。
寒ギクでも、たくさんの花を咲かせる小ギクやスプレーギクのごく一部に、次の事例が見られます。何らかの要因で蕾をつけた場合で、その時期が10月までであれば、摘芯するとわき芽が成長し、本来の開花時期である寒咲きの時期に蕾をつけることが期待できます。また、これらの品種ではもっと遅い時期であっても、余分なエネルギーを使わず本来の開花時期に集中させるため、蕾は摘み取った方がよいでしょう。
一般に寒ギクは、早く蕾がつく事例は多くありません。それよりも花芽分化の時期に温度が高く花芽の生育が遅れたり、夜間に照明が当たって花芽を形成しなかったという要因で、花がなかなか咲かないという事例が多いです。