昨年はきれいなピンクに咲いたアジサイの花が、今年はなぜかくすんだ青色に咲きました。どうしてでしょうか?
昨年はきれいなピンクに咲いたアジサイの花が、今年はなぜかくすんだ青色に咲きました。どうしてでしょうか?
アジサイの在来種は「七変化」とも呼ばれ、花色が微妙に変わることがよく知られています。この色の移り変わりは、咲き初めから時とともに進むものですが、アジサイには花色が変化しやすい性質があります。
近年の栽培種は西洋アジサイが大半を占めるようになりました。欧米で改良されたこれらの園芸種は花色が豊富で、中でも赤や桃色の品種に素晴らしいものがあります。
ヨーロッパの土壌は中性や弱アルカリ性で、赤系の品種は見事に発色して美しい花を咲かせます。一方、雨の多い日本の土壌は酸性で、赤系の品種では青色がかり、あまり美しいとはいえない紫を呈するようになりがちです。
アジサイの花色はアントシアン系のデルフィニジンという色素が関与しており、これにアルミニウムが結合すると青色を、結合しなければ赤色を発色することが研究者の調査によって解明されています。
ピートモスは強い酸性ですがアルミニウムをほとんど含みませんので、アジサイをピートモスだけで栽培すると青色にはなりません。一般の土壌中にはアルミニウムが含まれていますが、中性~弱アルカリ性では溶出せず、酸性土壌で溶け出し、根から吸収されやすくなり、デルフィニジン色素と結びついて、青色を呈するようになります。
ピンクや赤色の品種の特性どおりに花色を発色させるためには、栽培土壌を中性~弱アルカリ性に調整して植える必要があります。鉢作りでの一例を示しますと、赤玉土5、日向砂2、腐葉土3の配合土を作ります。配合土10r当たり、苦土石灰を50g、元肥としてマグァンプK50gを加えてよく混和して鉢植え用土とします。