クリスマスローズは、あまり日当たりのよいところは苦手と聞いたので、日陰に植え付けました。その後3年たつのですが、まだ花が咲きません。何が原因でしょうか?
クリスマスローズは、あまり日当たりのよいところは苦手と聞いたので、日陰に植え付けました。その後3年たつのですが、まだ花が咲きません。何が原因でしょうか?
花が咲かないことを問題にする前に、現在のクリスマスローズについてひと言。
クリスマスローズという名称は、本来ヘレボルス属の一種「ヘレボルス・ニゲル」の英名ですが、親しみやすい名前のせいか、日本ではヘレボルス属すべての総称として使われています。現在では、改良種の輩出で、花色も豊富な「ヘレボルス・オリエンタリス」(英名レンテンローズ)が栽培の主流となっています。この種類は春咲きで3~4月に開花し、クリスマスごろに咲くことはありません。正真正銘のクリスマスローズ、つまり「ヘレボルス・ニゲル」は、自然下で12月下旬に蕾つぼみをつけて、寒中に純白の花を咲かせ続けます。本種は実生養成株が売られていて、容易に入手できます。
さて、本題の花が咲かないという問いについてですが、ご質問の中に「あまり日当たりのよいところは苦手」とありますが、前記の両種とも、秋から翌年の初夏の間は、よく日に当たる方が生育がよく、花芽の形成にも好適です。ただし、盛夏期に太陽が照りつける厳しい暑さは避ける必要があり、この時期は少しでも涼しくなるよう遮光することが、健全に夏を越させるうえで極めて有効です。つまり、年間を通じて日当たりの悪い場所は不適なのです。
クリスマスローズに理想的とされる栽培環境を挙げると次の通りです。
①高冷地など、夏期冷涼な所。
②落葉広葉樹と共存し、夏は緑陰で涼しく、晩秋から翌年の春までは落葉して地面に日光がよく差し込む所。
③土壌は団粒構造で、腐葉土など良質の有機質が混じり合った排水のよい肥よく地。土壌酸度は中性(pH7)程度が適します。
これから新たに株を求めて栽培する場合、育てやすい品種を選ぶようにするとよいでしょう。最近では、原種のオリエンタリスを中心とした交配によって作出された園芸種「オリエンタリス・ハイブリッド系」の品種が出回り、入手しやすくなりました。花色のバラエティーに富んでいるのも魅力です。春には通信販売や園芸店で、花つきのポット仕立て苗が入手できます。好みの花色を購入し、栽培を始めましょう。
植え場所は、落葉樹の下などを選び、夏の直射日光と西日を避けます。そして、水はけを考慮して深く耕し、盛り土をして植えてください。花つき苗の場合は、花茎を株元で切り、葉は傷めないよう注意して移植します。同時に化成肥料を少量施し、夏の高温期までに充実した株に育てると、来年以降はよい花が期待できます。