ずっと室内でクンシランを育てているのですが、花が咲きません。どうしてですか?
ずっと室内でクンシランを育てているのですが、花が咲きません。どうしてですか?
クンシランの開花について、その特性と花が咲く仕組みを、発芽から開花に至るまでの生長の過程をたどりながら考えてみましょう。
クンシランは鉢植え用としては大型の多年生草花ですが、実生苗から育てるのが一般的です。まず、発芽した実生の幼苗は、1年目は葉が3~4枚に生長します。それ以降は毎年5~7枚くらい葉を増やし生長を続けます。
その後、17~20枚目の葉が展開してくるころ、株の中心部にある生長点で、最初の花芽形成が始まります。つまり、タネをまいて3~4年で花芽を形成するまで生長することになります。
最初の花芽ができると、その後は5~7枚の葉を形成するごとに、一つずつ花芽を分化します。1年間に形成される葉の数は5~7枚ですから、毎年一つは花芽ができることになります。しかし、花芽は決まった時期に分化するのではなく、株によって時期は異なり、ばらつきがみられます。また、それぞれの花芽分化が始まってから開花に至るまでに、早くて1年、遅い場合は2年くらいかかります。
花芽ができ、花弁や雄しべ、雌しべなど、花の各器官が順調に発育するには、一定期間を低温下で過ごすことが必要です。その期間とは50~60日で、低温とは10℃前後をいい、その条件下で効果があるとされます。
南アフリカ原産であるクンシランは、凍結や霜に合うと傷むことから、高温を好むと考えてしまう方もいるようです。しかし、年間を通じて暖かな場所で育てるというのは誤りで、その場合は花の器官の発育不全で開花しないこともあります。また、花茎が伸びず、咲き損なう障害を生じます。
クンシランは、普通5~11月下旬まで戸外の半日陰地で育て、霜の降りる前に室内に取り入れる栽培法を行いますが、その場合でもいきなり暖房の効いた部屋に置くことは避けます。1月中旬以降に徐々に暖かくしていくと、3~4月に開花します。また、通年室内で栽培する場合は、秋から冬にかけての温度に注意し、必ず2カ月程度は低温下に置く心配りが大切です。