生け垣にベニカナメを植えているのですが、新芽が紅葉しません。何が原因なのでしょうか?
生け垣にベニカナメを植えているのですが、新芽が紅葉しません。何が原因なのでしょうか?
ベニカナメはカナメモチの別称で、この樹木が芽立ちのころから若葉の時、赤く発色するところから呼ばれる名前です。
バラ科カナメモチ属の常緑樹で、寒冷地には不適ですが、東海より西の地域ではよく育ち、特に関西地方では以前から垣根用樹として人気があり、よく植えられています。
市販の苗木には、実生によるものと、挿し木で育苗されたものがあります。実生の場合は形質に変異があり、新芽の色にも紅や黄緑、また茶褐色のものなど個体差があり、ばらつきを生じるのが普通です。
ご質問をいただいた紅葉しないベニカナメは、実生から育てられたものと推測します。原因は遺伝的な形質によるもので、紅葉しない現状はこれから後も変化することはありません。
一般にベニカナメと呼ばれる樹種は、紅色が鮮明な個体を選抜し、それを親木として挿し木で育苗したもので、親のもっていた優れた形質は変わることはありません。
その特長を挙げると、以下の通りです。
①萌芽が旺盛で、芽立ちと新葉の紅色が鮮明。
②分枝性がよく、密である。
③葉はあまり大きくなく光沢に富む。
④丈夫で栽培が容易。以上の条件を満たす優良樹を植えた場合は、必ず期待にかなう紅色の芽立ちが見られます。
栽培面から発色をよくする効果的な方法はありませんが、植え場所は日当たりのよいことが重要で、日陰地では新葉の紅色はさえません。
鮮明な紅色は、芽立ちから新葉の期間にのみ発現しますので、適した時期に刈り込みをすることで萌芽が促され、樹上に色づく若葉を長い期間見られるようにすることは可能です。
刈り込みは浅く行う方が木の傷みが少なく、深く剪定してしまうと、枝枯れを生じる恐れがあります。基本的には年に2回、3月と8月に刈り込みを行います。3月上中旬に刈り込むと4月に新芽を出し、初夏まで紅色に彩られる若葉が見られます。
その後は緑を増し、やがて成葉となり、新葉のころのツヤは失われていきます。そこで8月中下旬に全体を軽く刈り込み、再び萌芽させることで秋にも紅色の艶やかな生け垣を楽しむことができます。