毎年ホウレンソウをまきますが、いつも発芽が不揃いです。どういった原因が考えられますか?
毎年ホウレンソウをまきますが、いつも発芽が不揃いです。どういった原因が考えられますか?
植物のタネは生命体です。寿命が過ぎて生命力を失ったタネを発芽させることはできませんが、通常は休眠状態にあります。以前カボチャとニンジンの発芽不良について説明した通り(2006年3月号、2007年7月号参照)、いかに発芽能力があるタネでも、「温度」や「水分」などの発芽条件が満たされないと、正常に発芽しません。タネをまいた時一斉に休眠から覚醒させることが、揃った発芽につながります。
タネをまく時期が寒かったり、逆に暑すぎたりして発芽に適していない場合には、発芽が遅れたり、不揃いになることがあります。特にホウレンソウは高温ではタネが強い休眠状態に入っている傾向にあり、夏まきでは発芽不良になることが多いようです。そのため、高温期にはあらかじめ催芽させたタネをまき、寒冷紗で遮光したり、もみ殻をまいたりして、少しでも地温を下げて発芽しやすくするとよいでしょう。
ホウレンソウのタネはかたい果皮に包まれています。水を与えても吸水しにくく、表面の果皮が濡れる程度の潅水では中のタネが発芽するのに必要な水分が不足して、発芽ムラを招きます。タネまき後は水をタップリやるとともに、発芽までは土の表面が乾燥しないよう注意が必要です。果皮が取り除かれている‘ネーキッド種子’を利用すれば、催芽する必要がなく、タネは吸水しやすいので発芽がよく揃います。
なおホウレンソウは一般には直まきしますが、タネまき床(畝)の表面がでこぼこしていると覆土の厚みが不均一となります。その結果、例えタネは一斉に発芽しても、双葉が地表面に出てくるタイミングがずれるために、発芽が不揃いになります。まき床を作る際には、できるだけ表面を均一に整地することが大切です。
そのほか、発芽が揃わない原因としては、タネをまいた土に何らかの問題、例えば高EC、高濃度障害、ガス害、ホルモン害、虫害などが考えられます。