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フューチャープランツ特集

世界が注目する宿根草コレクション「フューチャープランツ」の魅惑的世界

世界が注目する宿根草コレクション「フューチャープランツ」の魅惑的世界

エキナセア、ルドベキア、ロシアンセージ、ベロニカ・ストラム、エリンジュームなど、フューチャープランツの宿根草の品種が咲き乱れる景色にはナチュラルでやさしい美しさが感じられる。世界的ガーデンデザイナー、ピエト・アウドロフ氏のデザイン。エキナセア、ルドベキア、ロシアンセージ、ベロニカ・ストラム、エリンジュームなど、フューチャープランツの宿根草の品種が咲き乱れる景色にはナチュラルでやさしい美しさが感じられる。世界的ガーデンデザイナー、ピエト・アウドロフ氏のデザイン。

 一度植えたら長く楽しめる宿根草は、庭づくりのベースとなる重要な存在です。どんな品種を選ぶか、またどんな組みあわせにするかで庭の印象も大きく変わります。センスがよく、また丈夫で育てやすい宿根草が欲しい、と誰もが願うところでしょう。
 そこで今回は、今最も注目を浴びているオランダの宿根草ナーセリー「フューチャープランツ」をご紹介します。オランダというとすぐに球根が思い浮かびますが、宿根草の品種改良や生産でも非常に優れたナーセリーが多く存在しています。中でもフューチャープランツが生み出す新しい宿根草は、どれもナチュラルでありながら現代感覚にマッチするしゃれた印象で、しかもとても育てやすいのが特長です。ガーデンデザイナーによって広められたフューチャープランツの宿根草は、今ではヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなど、多くの国の一般のガーデナーの間でも人気が高まるほどになっています。
 日本にもすでにいくつかの品種が紹介されていますが、コレクションとして多数の品種を集めた形でのご紹介は、今回が初めてのことです。お気に入りの宿根草を見つけ、ぜひご自身の庭でその魅力をご堪能ください。

シダルセア「リトルプリンセス」/カンパニュラ「エメラルド」/アストランティア「ベニス」/エキナセア「ヴァージン」

4人で始めた小さなナーセリーが世界中で注目される宿根草の販売会社に!

地図 フューチャープランツは遡ること30年ほど前、オランダ東部の小さな村、ハメロ(Hummelo)で誕生しました。宿根草の育種・生産を専門にするヘルベルト・オウドショーン(Herbert Oudshoorn)、宿根草の生産・販売の経験をもつアード・ギールリングス(Aad Geerlings)とエリー・ギールリングス(Elly Geerlings)、ガーデンデザイナーのピエト・アウドルフ(Piet Oudolf)の4人が設立のメンバーで、発足当時はまだ育種はそれほど行っておらず、株分けや播種で殖やした植物を販売する小さなナーセリーでした。ところが1980年後半、彼らはたまたま実生した宿根草の中から、性質が明らかに異なる品種を発見します。この植物との出会いがきっかけで育種を始め、次々とすばらしい新品種を世に出すようになりました。
 1998年にはリッセルブルグに本拠地を移し、宿根草を販売する会社としてフューチャープランツが設立されました。以来、地球をモチーフにしたロゴが示す通り、ヨーロッパのみならず、アメリカやオーストラリア、そして日本と、世界中へすばらしい宿根草を提案しています。

登場から年月を経てもあせない魅力がある!

ヘルベルト氏の育種&生産農場。ビビッドな赤い花はモナルダ。ヘルベルト氏の育種&生産農場。ビビッドな赤い花はモナルダ。

誕生から約30年の間、ヘルベルト氏の育種、ギールリングス夫妻のプロモーション、ピエト氏の植栽提案、この3者の総力をあわせてフューチャープランツから数多くの優れた宿根草が世に送り出されています。新品種が注目されるのはもちろんのこと、発表から長い年月が経過しても、その植物のすばらしさからいまだに世界各国のガーデナーから支持を受けている品種が多々あります。姿形がよいだけでなく、性質が丈夫で育てやすいというのも長く支持される理由であり、フューチャープランツの宿根草の大きな魅力といえます。ピエト氏は公共の大型公園などの植栽を得意としていますが、そこにフューチャープランツの宿根草を多く利用するのも、丈夫で手入れの手間がかからないという魅力があるからこそ。フューチャープランツの宿根草がたくさんの蝶や鳥を引きつけ、都会の中に自然のオアシスを生み出しているのです。
 宿根草にはまだ注目されていない品種や、美しいけれど手入れに手間がかかる品種も多々あります。フューチャープランツが目指すのは、そんな宿根草を育種の技術で世界中の人々に親しんでもらえるものに変えていくことです。
 どんな花色が誕生するか、またどんな育てやすい宿根草が生み出されるか、今後のフューチャープランツに多いに期待したいところです。

独自の基準をクリアした優れた宿根草のみをフューチャープランツとして認定

フューチャープランツの宿根草を選定する基準 現在、英国王立園芸協会(RHS)が編集している植物やナーセリーの名鑑、「プラントファインダー」に掲載されている園芸植物の数は7
万種を超えています。この中には1年草や花木、非耐寒性多年草、シダ植物なども含まれますが、フューチャープランツとして世界へ発信される宿根草は、フューチャープランツで試作を繰り返し、左上に記載したような優れた特性をもった植物のみが販売されています。
 このほかにも、植栽後も簡単な手入れで栽培できる病害虫に強い品種や、開花後もそのまま手入れ不要で枯れていく姿まで楽しめる品種など、年間を通して変化を楽しめる宿根草を中心に品種が選定されています。1つの花のすばらしさもありますが、大株になった時の群生美を考えて育種を進めていくのがフューチャープランツの姿勢です。年数が経過し大株になった時、改めてフューチャープランツの宿根草のすばらしさに気づいていただけることでしょう。

へルベルト・オウドショーン氏

世界中の宿根草に対して幅広い知識をもち、主に育種や生産を担当しています。25年以上の宿根草の生産・販売経験をもっています。彼の育種品種はアスター、ロシアンセージ、フィゲリウス(ケープフクシア)など多々あり、中には20年以上も世界中で売れ続けている品種もあります。彼の育種技術は本当にすばらしく、見た目の美しさもそうですが、実際にガーデンで使われる際の株姿や病害虫への強さなどを重要視して育種しているため、ガーデニング初心者はもちろん、世界各国での植栽に使用される宿根草として幅広く認知され、フューチャープランツの名を広めるのに大きく貢献しています。

アード&エリー・ギールリングス夫妻

フューチャープランツのディレクターで、30年以上の宿根草の生産・販売経験をもっています。オランダのみならず世界中の新しい品種を、夫妻の経営するナーセリーで生産試験を行い、性質的に優れた品種を世界中へ発信しています。夫妻の農場兼自宅のあるフューチャープランツ本社には、オランダ近郊はもちろん、遠くはイギリス、フランス、アメリカなどから育種者が訪れ、週末には夫妻のガーデンで試作植物を見ながら、各国の育種者とのほのぼのとしたティーパーティーが開かれています。

世界が憧れるガーデンデザイナー  ピエト・アウドロフ氏

世界が憧れるガーデンデザイナー  ピエト・アウドロフ氏 21世紀もまだ始まって10年そこそこだというのに、すでに「21世紀最高のガーデンデザイナーの一人」と賞賛されているのがピエト氏です。ただし、ご本人はガーデンデザイナーと呼ばれるより、ランドスケープ(景観構成)のアーティストと呼ばれることを好んでいるのだそうですが…。
 ドイツ系オランダ人のピエト氏は、ドイツの伝統的な庭園形式に、イングリッシュガーデンの植栽思想を取り入れた独自のスタイルで、世界各国にすばらしい庭を生み出しています。彼の得意とする大型のガーデンには、数多くのフューチャープランツの宿根草が利用され、ガーデンの魅力と同時にフューチャープランツの魅力も広まっています。
 ピエト氏の庭のテーマである「Wild Nature」が示す通り、どの庭もまるで自然の草原のような野趣あふれる景色ですが、その美しさはきちんと計算された色づかいや構成によってもたらされています。ワイルドでありながら繊細でどこかモダンさを感じさせるピエト氏のガーデンデザインは、まさにフューチャープランツの宿根草がもつ特徴そのものです。なお、ピエト氏のプライベートガーデンは、いまでもフューチャープランツ誕生の地、ハメロにあります。

ウィズリーガーデン英国王立園芸協会がイギリスに所有する4つの庭の中でも最古の歴史を誇るウィズリーガーデンは、宿根草が好きな人なら一度は訪ねたい憧れの庭。写真はピエト氏がデザインした景観で、フューチャープランツの初期のころに生み出された品種もたくさん植え込まれている。一体感のある風景は微妙に変化する色づかいも美しく、訪れた人々を魅了してやまない。

ニューヨークの「ハイライン」アメリカの人々にピエト氏の名を広めたのが、2009年にオープンしたニューヨークの「ハイライン」。約2.3qの高架貨物路線を再利用した一大プロジェクトで、その植栽をピエト氏が担当した。210種類に及ぶ植物を植え込んだ廃線路は、四季を通じて植物の変化を楽しめる魅力的な散歩道へと姿を変え、市民の憩いの場として大人気となっている。写真はその一部で、エキナセアの「ヴァージン」(白)と「ヴィンテージワイン」(ピンク)がグラス類の中に咲き、フューチャープランツらしい自然な風景が生み出されている。

ピエト氏デザインの個人邸の庭なかなか見る機会のないピエト氏デザインの個人邸の庭。左中段のピンクのユーパトリューム、白いカンパニュラはフューチャープランツの宿根草。多彩な色が混じりあう景色にはモダンさが感じられる。

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