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アンズ・スモモ・モモ特集

アンズ・スモモ・モモ特集
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季節を感じる甘さとみずみずしさ。育てて食べる完熟果は極上の味!

 アンズ、スモモ、モモは、初夏から初秋の暑い時期に出回り、そのみずみずしさや甘みが人気の果物です。熟すほどやわらかくなり、完熟果は傷つきやすいので、スーパーなどで流通している果実は早どりされている傾向があります。一方で、熟すほど甘みも増し、自分で育てれば完熟で極甘の果実を楽しむことができるため、家庭で育てるメリットがとても大きい果樹だといえます。
 これらの果樹はすべてバラ科サクラ属で、タネが核(内果皮)に覆われているため、核果類とも呼ばれます。いずれも果実の形が似ていますが、アンズはウメの仲間、スモモとプルーンはスモモの仲間、モモとネクタリンはモモの仲間として分けられています。

バラ科サクラ属

植え付けから収穫まで

苗木の植え付け

 基本的には秋植えの方が根が土になじんでよいですが、寒冷地では春植えの方が無難です。ただ、なるべく開花前に植え付けた方がよいので、開花が早いアンズやモモは注意しましょう。
 どの核果類も日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。特に水はけは、果実の甘さにも影響するので重要です。土壌の酸度はpH5・5~6・5が望ましいので、上級者は市販の測定キットで確かめた後、苦土石灰などで調整してみましょう。

苗木の植え付け(図)

植え付けの手順

  1. 古い根や土を取り除き、接ぎ木部より上に土がかぶらないように植え付ける。
  2. 植え付け後、庭植えは50cm、鉢植えは25cmの高さで枝を切り詰める。たくさん枝分かれしている苗木なら切り詰めなくてもよい。
  3. 支柱にしっかり固定する。
  4. たっぷり水やりする。

施 肥

施 肥(図) 肥料は、萌芽前、果実肥大期、収穫完了後の年3回を目安に施します。施す肥料の種類については、萌芽前には多様なミネラルも含む有機質肥料(油かすなど)を、果実肥大期と収穫完了後には、速効性で成分含有量の高い化成肥料(8-8-8など)をおすすめします。



整枝剪定

●どこに果実がつくのか?
 冬芽には、大きな芽(花芽)と小さな芽(葉芽)の2種類があります。花芽からは花(果実)だけが、葉芽からは枝葉だけが発生します。ただ、せっかく花芽がついても、果実をつけるのに適した長さの枝(結果枝)でないと、大部分が開花後に落果します。アンズは10cm未満、スモモは5cm未満、モモは5~40cmの枝に品質のよい果実がつきます。
 以上のように剪定時の芽や枝の長さを見れば、どこに果実がつくのかが分かります。このイメージが剪定には必要です。

●枝の間引きと切り返し
 木を眺めて、枝が込んでいる場所は間引きます。結果枝が発生する枝(側枝)は、使用年齢とともに付け根付近に芽がつかず、果実も葉もない状態になるので、早めに周囲の若い枝に更新します。
 アンズやスモモは短い結果枝を発生させるため、枝の先端は5分の1程度しか切り返しません。モモは4分の1程度にします。ただし、主枝や亜主枝の先端は3分の1程度切り返し、充実した枝を発生させます。

整枝剪定(図)

人工授粉

 核果類は、ミツバチのような昆虫や風が花粉を運んでくれて受粉するので、基本的には何もしなくても結実します。しかし、天候などの影響で花粉がうまく運ばれず、実つきが悪い場合があります。もし、毎年のように実つきが悪い場合は、人の手で受粉(人工授粉)することで実つきがよくなることがあります。
 人工授粉の方法で最も簡単なのは、花を摘んで、花粉を雌しべの柱頭に押しつけることです。1花で、およそ10花ほどを受粉できます。その他に、乾いた絵筆で交互に触れる方法もあります。受粉する数が多ければ、コップなどに花粉を受けて、同じく絵筆などで触れるのもよいでしょう。
受粉樹が必要な品種では、同じ木(品種)の花粉を受粉しても意味がないので、必ず異なる品種に受粉するようにしましょう。スモモやモモでは注意が必要です。
 降雨後など、花が濡れている状態だと花粉がうまくつかないので、晴天時に行うのもポイントです。

花を摘んで、花粉を雌しべの柱頭に押しつけて人工授粉する様子。

花を摘んで、花粉を雌しべの柱頭に押しつけて人工授粉する様子。

乾いた絵筆で交互に触れて人工授粉する様子。

乾いた絵筆で交互に触れて人工授粉する様子。

摘果・袋かけ

 甘く大きな果実を毎年収穫するために、ぜひとも摘果(果実を間引く作業)を行いましょう。適期や間引く目安は果樹によって異なります。摘果後に市販の果実袋をかけると病害虫から果実を守れます。

アンズ

 1果当たりの葉の枚数が20枚になるように果実を間引きます。果実の間隔でいうと5cm程度が目安です。病害虫の被害がひどい場合は果実袋をかけましょう。

スモモ

 1果当たりの葉の枚数が16枚になるように果実を間引きます。果実の間隔でいうと8cm程度が目安です。病害虫の被害がひどい場合は果実袋をかけましょう。

モ モ

 1果当たりの葉の枚数が30枚になるように果実を間引きます。果実の間隔でいうと15cm程度が目安です。果実がデリケートなので、特に7月以降に収穫される品種は、摘果直後に果実袋をかけます。果梗(軸)が短いので、茶色の枝ごと付属の針金で固定します。

  • 摘果時期のモモ。摘果時期のモモ。
  • モモの袋かけの様子。モモの袋かけの様子。

摘果・袋かけ

 いずれの核果類でも、果実が色づき、やわらかくなったころが収穫適期。同じ木の中でも日当たりのよい位置や木の先端付近から徐々に収穫できます。核果類は熟せば熟すほど甘くなる傾向にあるので、なるべく完熟してから収穫するのがコツ。ただ、かたい果実が好きな人もいるでしょう。どの状態が最も自分好みか、試食しながら確かめるのも家庭果樹の醍醐味です。
 食べきれないからといって、完熟果をいつまでもならせておくと木が傷むので、適期に収穫して冷蔵庫で保存するか、ジャムなどに加工するのもおすすめです。

気をつける病害虫はこの3種!

アンズ・スモモ・モモで!おいしいジャムを作ろう!

スモモジャム

スモモジャム

スモモならではの鮮やかな色と、濃厚な味わいが魅力のジャムです。ヨーグルトに添えたり、ホットケーキに添えるととても美味!

【材料】スモモ…400g グラニュー糖…110g

【作り方】

  1. タネを避けてスモモを切り分ける。
  2. 鍋に1.と砂糖30gを入れて弱火にかけ、木べらでかき混ぜながら15分煮る。
  3. タネの周りの果肉がなくなったらタネを取り出す。
  4. 残りの砂糖を加え、かき混ぜながら弱火で10分ほど煮詰め、適度なとろみになったら火を止めてそのまま冷ます。
  5. 粗熱がとれたら、煮沸殺菌した密閉容器に入れる。

アンズジャム

アンズジャム

果肉が残るくらいのゆるさにして、アイスクリームやシフォンケーキのソースに利用するのもおすすめ。甘酸っぱさがたまらないおいしさです。

【材料】アンズ…500g グラニュー糖…250g 
    水…1/2カップ
【作り方】

  1. アンズは皮をむき、タネを除いて果肉をスプーンの背でつぶす。
  2. 鍋に1.と水を入れて弱火にかけ、木べらでかき混ぜながら10分ほど煮る。
  3. とろりとしてきたら中火にし、砂糖を半量加えてさらに10分ほど煮詰める。
  4. 残りの砂糖を加え、適度なとろみになったら火を止めてそのまま冷ます。
  5. 粗熱がとれたら、煮沸殺菌した密閉容器に入れる。

白桃ジャム

白桃ジャム

傷があったり、甘みが少ない白桃は、ゆるめのジャムにするのがおすすめ。スイーツだけでなく、生ハムとも相性抜群!白桃以外のモモも同じレシピで作れます。

【材料】白桃…300g グラニュー糖…90g 
    レモン果汁…大さじ2

【作り方】

  1. 白桃は皮をむき、タネを除いて一口大に切る。
  2. 鍋に1.と切った時に出た果汁を入れ、弱火にかけて7~8分ほど煮る。
  3. レモン果汁大さじ1と砂糖を半量加え、さらに10分ほど煮る。
  4. 残りの砂糖を加え、適度なとろみになったら火を止め、最後に残りのレモン果汁を加え、そのまま冷ます。
  5. 粗熱がとれたら、煮沸殺菌した密閉容器に入れる。
三輪 正幸さん

三輪 正幸

1981年岐阜県生まれ。千葉大学環境健康フィールド科学センター助教。専門は果樹園芸学。果樹栽培に関する研究のほか、最近では家庭果樹の普及にも携わる。著書・監修書に「NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12ヶ月 レモン」(NHK出版)、「暮らしの実用シリーズ 決定版はじめての果樹づくり」(学研パブリッシング)などがある。

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