滑らかさとみずみずしさ抜群
春のジャガイモは味もピカイチ!春ジャガイモの栽培は、寒さの残る2月中旬~3月上旬にタネイモを植え付け、梅雨入り前後の5月下旬~6月上旬に収穫します。
生育期間は、同じイモの中でも約3カ月と短いのが特徴です。イモが完熟する前に収穫するので、皮がむきやすく、食感も滑らかなのが魅力です。
ジャガイモは品種が豊富で、おなじみの「男爵薯」や「メークイン」のほかにも、最近ではさまざまな顔ぶれが登場。皮が赤や紫のもの、クリのような肉質が楽しめるもの、外国生まれの品種など、選ぶ楽しみもますます増えています。複数の品種を少しずつ育てて、味比べしてみてはいかがでしょうか。まずは品種を選ぼう
ホクホク系(デジマや男爵薯など)、しっとり系(ニシユタカやメークインなど)といった、煮物向きや揚げ物向きの品種などがあるので、つくりたい料理によって好みの品種を選びます。タネイモ用としてウイルスに感染していないものを購入しましょう。
肉じゃがやポテトサラダなどさまざまな料理につかるジャガイモ。春作の植え付け適期は、まだ寒さの残る2月中旬ごろ。ジャガイモは寒さに弱いので、この時期にいかに元気に育てるかが正否のポイントとなります。今回は、マルチを張って地温や水分をコントロールし、収穫量をアップさせる栽培法をご紹介します。初心者の方も気軽に取り組めるので、ぜひチャレンジしてみましょう。
ホクホク系サラダ、肉じゃが、コロッケなどに!
- ◎デジマ………生育が旺盛で、収量が多く、大きなイモがとれます。
- ◎男爵薯………粉質でおいしく、作りやすい品種。根強い人気を誇ります。
しっとり系カレーや煮込み料理、おでんなどに!
- ◎ニシユタカ…イモの肥大が早く、収量もたっぷり。大きさもよく揃う。
- ◎メークイン…やや小玉の長細い品種。しっとりとした滑らかな食感が魅力。
タネイモの準備
◆浴光育芽をする
入手したタネイモの芽が動き出しているのを確認し、芽の動き出しが遅い場合は、タネイモを20℃前後の場所で貯蔵します。さらに、植え付けの2~3週間前に、日光が当たる場所に置き、緑色の太い芽にする「浴光育芽」を行います。
浴光育芽で太い芽が出たタネイモ。このようなイモは植え付け後の出芽も早く、その後の生育の揃いもよくなる。
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◆タネイモを切り分ける
植え付ける2日ほど前に、大きなイモは切り分けます。タネイモの頂点を中心に1片が40~50gになるように切り分け、切断面をよく乾燥させてから植え付けます。
- 芽がたくさん出ているところが頂点。1片に2~3芽つくように包丁などで切り分ける。
地温を上げて水分を保持するマルチの効果で収穫量アップ
植え付けの適期は、2月中旬~3月上旬。出芽後の霜の被害を防ぐため、霜の降りやすい畑では時期を遅らせて植え付け、マルチを張ります。
マルチは地温上昇、水分保持効果があるため、マルチなしに比べて出芽やイモの肥大が早くなり、大幅な収量アップが期待できます。雨による肥料分の流出も防げるので、施肥は元肥のみで追肥は行いません。
また、タネイモの上に土を10cmほど盛り上げるので土寄せも不要です。
25~30cm間隔でイモを並べ覆土してから肥料をまく
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排水性・保水性のよい畑に、苦土石灰50g/m2、堆肥500g/m2をまき、十分に耕します。
幅60~70cmの畝を立て、中央に深さ5cmの溝を掘り、タネイモの切り口を下にして25~30cm間隔で植え付けます。土を2~3cm覆土し、その上に化成肥料(チッソ・リン酸・カリ:8-8-8)を100~150g/m2まき、さらに10cmほど土を盛り上げます。
95cm幅のマルチを張ってすそをしっかりと埋める
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畝立て後、95cm幅の穴なしポリマルチ(厚さ0.02mm、透明または黒色)を張り、風で飛ばされないようにすそ部分に土をかぶせて固定します。
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- ①マルチ内の土壌水分量を保つ
植え付け後、できれば一雨待ってからマルチを張ろう。畝の中の水分量が保たれ、生育が安定する。 - ②芽を霜の被害から守る
出芽時に霜に当たると、芽や葉が黒く変色して生育が遅れることがある。霜が降りそうな日の前日に、芽をわらや不織布などで被覆して霜よけする。 - ③こまめに見回って芽出しをする
3月下旬になると強い日差しでマルチ内の温度が高くなりやすい。芽出しのタイミングが遅れないようにする。 - ④イモが腐らないうちに収穫する
5月下旬~6月になると、マルチ内が高温になり、イモが腐ってしまうこともあるので、早めに掘り出す。 - ⑤マルチの色を使い分ける
透明のマルチは温度が上昇しやすく、寒い時期の植え付けでは生育促進効果が高い反面、春先に芽が焼けたりイモが腐敗する可能性も高くなる。植え付けが遅くなる時は、黒マルチを用いる。
- ①マルチ内の土壌水分量を保つ
土が盛り上がってきたら穴を開けて芽を外に出す
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マルチの下から土が盛り上がり、芽が見え始めたら、その上の部分のマルチをカッターなどで小さく破ります。そこから手を入れ、芽を傷めないようにマルチの外側に引き出します(芽出し)。
マルチをはがしてイモを掘り起こす
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植え付けから約3カ月後、地上部の茎葉が枯れ始めたら収穫の適期です。収穫は晴天が2~3日続いた日に行います。降雨後の土が湿った状態で収穫するとイモの表面が傷ついて腐りやすくなるので、できるだけ梅雨入り前に収穫します。
収穫後は、表面をよく風乾させて、風通りのよい涼しい場所で保存します。日光に当てるとえぐみが出るので、暗い場所で保存します。
1978年長崎県生まれ。2008年に長崎県入庁。同年より長崎県総合農林試験場愛野馬鈴薯支場育種栽培科(現長崎県農林技術開発センター農産園芸研究部門馬鈴薯研究室)に勤務し、暖地二期作向けバレイショ品種の育成と栽培技術の開発を担当。
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