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トウ立ちさせずに豊作!タマネギ栽培3つのコツ!

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トウ立ちさせずに豊作!タマネギ栽培3つのコツ!

タマネギのタネまきの季節がやってきました。失敗しないためには、トウ立ちさせないことがポイント!豊作のためのタマネギ栽培のコツをご紹介します。

藤田智

藤田ふじたさとし

恵泉女学園大学人間社会学部教授。NHKテレビ「趣味の園芸やさいの時間」の講師などでも活躍。

コツ1! 品種とタネまき時期の深~い関係(極早生玉ねぎは育てやすい?)

品種の早晩性とタネまき適期(中間地の場合)

早晩性 品種 タネまき
時期
収穫時期 貯蔵期間(適切に保存した場合)
極早生 フォーカス 8月下旬~
9月中旬
3月中旬~
4月下旬
基本的に
長期保存は向かない
早生 スパート
ソニック
チャージⅡ
9月
中~下旬
4月中旬~ 夏まで
中生 アトン
ターボ
ケルたまルビー
O・K黄
O・P黄
O・L黄
9月
中~下旬
5月下旬~
6月上旬
年内いっぱい
中晩生 ネオアース
猩々赤
赤玉の極み
9月
中~下旬
5月下旬~
6月下旬
来春まで
(赤タマネギは夏まで)
晩生 ケルたま 9月
中~下旬
6月
中~下旬
来春まで

タマネギは、栽培期間は長いものの病気や害虫の被害が少なく、手が掛かりません。ポイントを押さえれば、ビギナーでもタネから簡単に作れます。
品種の早晩性とタネまきの時期には相関関係があります(表参照)。栽培期間が短い品種は早くタネまきし、栽培期間が長いほどタネまき時期は遅くなります。また早晩性は、収穫時期と収穫後の貯蔵性にも関連します。ですから作りたい品種を決めたら、それにあわせたタネまき時期を守りましょう。
初心者は、栽培期間が短くて失敗が少ない、極早生~早生品種の栽培がおすすめです。

コツ2! 植え付ける苗の大きさが重要

タマネギの花芽分化はグリーンバーナリゼーション型で、地際の茎の直径が10mmを超える太さの大苗が低温にさらされると、トウ立ちする性質があります。植え付けに適した苗の大きさは、直径5~6mm(鉛筆くらいの太さ)です。それより太いと春にトウ立ちしやすくなり、細すぎると霜で枯れたり、球が小さくなったりします。
適期にタネまきして順調に生育した場合、55日程度で植え付け適期の苗が仕上がります。適期を守れば、苗づくりの作業は難しくありません。

※グリーンバーナリゼーション型…植物体が一定の大きさのときに、一定の低温に一定期間遭遇することで、花芽分化する性質のこと。

植え付け適期苗 草丈25~30cm 径5~6mm

コツ3! 追肥のタイミング(肥料過多)にならないポイント

冬季は生長が止まるので、春まで追肥の必要はありません。肥料過多だとトウ立ちを招くこともあるので気をつけます。1回目の追肥は、2月下旬~3月上旬。気温の上昇とともに新しい葉が伸びる時期に当たります。2回目は3月下旬で、球の肥大を促します。極早生の場合は追肥1回とし、生長を見ながら必要に応じて2回目を施します。「葉先が黄色くなる」「根元が肥大しない」などの兆候があれば3回目の追肥をすることもありますが、基本的には2回、3月中で追肥を終えます。生育後半に肥料(特にチッソ成分)が効きすぎると球の品質が悪くなり、貯蔵性も落ちるので注意しましょう。

トウ立ちさせない! 育て方

1. 苗づくり

土づくり

栽培する株数にあわせて苗床をつくり、タネまきの1週間前に、1㎡当たり苦土石灰100~150gを施す。タネまき当日に、1㎡当たり完熟堆肥2kg、「味菜 根菜の肥料」160g、熔リン50gを散布して耕し、畝を立てる。

苗床の準備(1㎡当たり)

タネまき1週間前までに苦土石灰:100~150g

タネまき当日
完熟堆肥:2kg
味菜 根菜の肥料:160g(チッソ6:リン酸8:カリ6)
熔リン:50g

完熟堆肥、味菜 根菜の肥料、熔リンを散布 畝幅約1m 高さ10~15cm

タネまき

条間、株間とも12~15cm間隔で深さ1cmのまき溝をつくり、1cm間隔でタネをまいて覆土する。不織布をベタがけし、たっぷりと水やりする。

ポイント!

乾燥と害虫予防のために不織布をベタがけし、発芽するまでは乾かさないよう適宜水やりする。発芽したら不織布を外す。

条間12~15cm 深さ1cm

間引き、追肥

草丈3~4cmの時、2~3cm間隔に間引く。タネまきの2週間後から2週間おきに「味菜 根菜の肥料」を1m2当たり40gを株わきに追肥して土寄せする。育苗期間は55日程度、根元の直径5~6mm、長さ25~30cmに育ったら植え付ける。

植え付け適期苗 草丈25~30cm 径5~6mm

2. 植え付け

畑の準備

畝幅70~80cmを測り、植え付け1週間前に1m2当たり苦土石灰100~150g、当日に完熟堆肥2kg、「味菜 根菜の肥料」160g、熔リン50gを散布して耕し、畝を立てる。

畑の準備(1㎡当たり)

植え付け1週間前までに苦土石灰:100~150g

植え付け当日
完熟堆肥:2kg
味菜 根菜の肥料:160g(チッソ6:リン酸8:カリ6)
熔リン:50g

ポイント!

熔リンは、球の肥大をよくするリン酸肥料。元肥に加えて、じっくり効かせる。

完熟堆肥、味菜 根菜の肥料、熔リンを散布 畝幅70~80cm 高さ5~10cm

タマネギマルチを張る

株間、条間とも15cm間隔で5列に植え穴のあいたタマネギマルチを張る。栽培期間が長いので、雑草を防ぐ効果のある黒色がおすすめ。

苗を植え付ける

マルチの穴に深さ2~3cmの穴をあけ、苗床から抜いた苗を植え付けて水やりする。

ポイント!

苗の白い部分(葉鞘部)の半分くらいまで土に埋める。深植えすると生育が悪くなることがあるので要注意。根は地上部に出ないように軽く丸めて植え穴に入れる。

苗の白い部分の半分くらいが土に埋まるように植え付ける。深さ2~3cm 黒マルチは雑草を防ぐ効果がある。

3. 栽培管理

冬季の手入れ

枯れ葉や雑草を適宜取り除く。霜が降りたら、根が浮き上がって乾燥する恐れがあるので手で押さえて潰す。

根元に霜柱ができて浮き上がっていたら手でおさえて潰しておく。

追肥

2月下旬~3月上旬と3月下旬に、1㎡当たり「味菜 根菜の肥料」40gをマルチの穴に入れる。

収穫

全体の7~8割の葉が倒れたら、晴天で土が乾いた日に収穫する。収穫後半日ほど畑に並べて乾かし、さらに5~6株ずつまとめてひもでしばり、風通しのよい日陰につるして乾燥させる。

ポイント!

葉が緑色のうちに収穫を。特に長期保存をする場合は、倒れたらすぐに収穫する。

全体の7~8割の葉が倒れたら、晴天で土が乾いた日に収穫。半日ほど畑に並べて乾かす。5~6株ずつまとめて風通しのよい日陰につるして乾燥させる。

トウ立ちしにくいおすすめ品種

おまけQ&A

トウ立ちしてしまった株はどうすればいいですか?
トウ立ち後、すぐに抜き取れば、球は小さいものの食べられます。時間が経つと芯ができてかたくなり、食用には向かなくなります。
チャージII

極早生チャージII

家庭菜園向きで作りやすい早生種

4月下旬から収穫できて、オニオンスライスにするとシャキシャキとしておいしい。病気に強く、作りやすさはナンバーワン。

一球約 300~350g

チャージII
スパート

早生種スパート

収量性に優れる晩抽早生種!

肥大性がよく、大玉でよく揃う早生多収種。抽苔や分球が少なく、病害、寒さにも比較的強く作りやすく、玉は甲高でしまりもよい。

一球約 320g

スパート
アトン

中生種アトン®

大玉栽培で600gにもなる! 辛みが少なく甘い

普通栽培で1球約350g、大玉栽培で600g程度にもなる。普通栽培は12月まで、大玉栽培は10月まで貯蔵できる。

一球約 350g

アトン
O・K黄

中生種O・K黄

年内いっぱい貯蔵可能なおいしい中生種

1球約290gで首部のしまりがよく、甲高で色つや良好。玉揃いもよく、トウ立ちや分球の心配が少ない。

一球約 290g

O・K黄
ケルたまルビー

中早生種ケルたまルビー

サラダにすると色鮮やかで甘い

作りやすい中早生種。外皮はつやのある濃い赤色。辛みが少なく、甘みが強いのでサラダに好適。

一球約 290g

ケルたまルビー
ケルたま

晩生種ケルたま

ケルセチンたっぷり! 長期保存に向く晩生種

血液サラサラ効果のあるケルセチンを、従来品種の約2倍含む。煮込み料理にすると、ケルセチンを無駄なくとることができる。

一球約 280g

ケルたま