オクラの上手な栽培方法・育て方
オクラの基本情報
- 学名
- Abelmoschus esculentus Moench.
- 和名
- オクラ、アメリカネリ
- 英名
- Okra
- 原産地
- 東北アフリカ
- 分類
- アオイ科アオイ属
- 上陸時期
- 中国を経て幕末から明治初期ごろ
オクラの住みやすい環境
熱帯性の1年生作物ですので、高温、強光下でよく生育します。
- 発芽適温
- 25~30℃。
- 生育適温
- 20~30℃。
オクラとは
(オクラってどんな野菜?)
ネバネバが元気の源
オクラが、日本に入ってきたのは幕末の頃で、最初は独特のぬめりが好まれなかったといいます。ぬめりは、ヤマノイモやナメコ、ジュンサイなどと同じ、ペクチンを含む混合成分によるもの。また、ぬめりに含まれるムチンは胃粘膜を保護してくれ、同時にペクチンとともにたんぱく質の分解・吸収に力を発揮します。ビタミンA、B、C、カルシウムやタンパク質も豊富で、夏にもってこいの食材です。
和、洋の料理に大活躍
天ぷら、酢のもの、和えもの、汁の実にと、和食の食材としても定着しているオクラ。洋風では、シチューやスープ、バター炒め、サラダに利用されます。あのネバネバとしたぬめりが苦手な人も、火を通すとなくなるので、調理してから食べるといいでしょう。あまり大きいものは堅いので、5から6センチくらいの、簡単に折れるものを選んでください。
調理のポイント
オクラのまわりにあるうぶ毛は、塩で揉むとすぐにとれます。へたには苦みがあるので、少し削ってから調理するとおいしくいただけます。
栽培手順 各ポイント
菜園向けオクラ栽培カレンダー
花と品種
オクラは、淡黄色の清楚な花を咲かせます。
オクラの花は1日花で、早朝から開花を始め、夕方にはしぼんでしまいます。
アフリカ原産のため高温性で、10℃以下では生育が停止してしまい寒さに弱い作物です。直根性で吸肥力が強いため、耕土が深く排水のよい肥沃な土壌が適しています。過湿に弱く生育不良をおこしやすくなります。
オクラは栄養も豊富で、ビタミンやカルシウムが多く含まれています。
莢を切った時のネバネバは、ペクチンと呼ばれる成分で消化を助けて、胃があれるのを防ぐ効果があります。
発芽
- ■発芽適温
- 25~30℃
地温が低いと発芽不良(10℃以下になるとほとんど発芽しない)を引き起こしやすく、初期生育が遅くなり苗立枯病の被害も増えます。
直播の場合は早めにマルチを張り、地温を上昇させておきます。
(発芽試験例)
発芽温度 | 発芽日数 | 発芽率 |
---|---|---|
25~30℃ | 3~5日 | 85%以上 |
20℃ | 10日 | 85%以上 |
15℃ | 20日 | 60%程度 |
播種(直播)
播種の目安は、最低地温が15℃以上になったころです。一般地のマルチ栽培では5月上旬ごろ、トンネル栽培では4月上旬ごろになります。マルチは生育初期の地温を高め、水分と肥料分を保持する働きがあるのでぜひ利用するようにしましょう。
欠株を防ぐため1穴に4~5粒播種し、本葉2~3枚の時に生育のよい2~3本を残して、ほかの株元からハサミで切り取ります。1ヵ所に2~3本植えがよいでしょう。
本植えはどんどん生育して大きくなり茎も太くなりますが、莢も同じように早く硬くなってしまいます。最近は1穴5~6株の密植栽培も増えています。
- ■施肥量
- 元肥は目安として10㎡当たり成分量で、チッソ、リン酸、カリをそれぞれ100~150gを施用します(「ヘルシエ」はチッソ成分量を通常の2割程度)。オクラは吸肥力が強く、元肥が多いと草勢が強くなりすぎ、いぼ果や曲がり果が発生しやすくなるので注意します。
ポット育苗
オクラは、発芽には比較的高温が必要なので、育苗には温度を確保できる場所が必要です。
最低気温が15℃以上になったころ根鉢をくずさないように定植します。
ポリ鉢に直接タネをまいて、そのまま育苗
生育
- ■生育適温
- 20~30℃(最低気温10℃以下では生育が停止し、落花も多くなる)
追肥と潅水
[追肥]
1番果を収穫するころから、追肥をします。10㎡当たり、チッソ成分で20~30g。
7~8月の収穫最盛期は、特に肥料切れに注意します。10~15日を目安に、速効性の肥料を与えてください。開花位置の上に3枚以上の葉が開いていれば、順調な生育です。
定期的な追肥を行い草勢を保つことで、より長期の収穫が可能になります。
[潅水]
オクラは暑さと乾燥に強い作物ですが、水分が不足すると莢の発育が遅くなり、硬くなって品質が低下します。梅雨明け後の盛夏期は、こまめに潅水を行うようにしましょう。黒マルチや敷きワラを利用して乾燥を防ぐ方法もあります。
草勢判断と摘葉
摘葉は収穫莢の下1~2枚の葉を残し、それから下を取り除きます。
摘葉をすることで通気性がよくなり、病気の発生予防や収穫時の作業性の向上のほか、莢が濃緑になり品質が向上するなどの効果があります。
収穫
莢の長さは5角オクラが7~8cm、丸オクラが15cm程度です。
特に5角オクラは、収穫が遅れると莢が硬化して品質が悪くなるので若どりを心がけます。
開花後収穫までの日数は6月で7日間、7月で4日間、8月で3日間を目安にします。
病害や生理障害
ネコブセンチュウと生理障害
[ネコブセンチュウ]
オクラはネコブセンチュウの被害が大きいので連作に注意します。
草丈が低く、生育が弱い場合は、根にコブができている可能性があります。
葉、根葉類や水稲などの連作体系を組むとよいでしょう。
[オクラの生理障害]
イボ果
過繁茂や極端な草勢低下。適正な栽植密度と肥培管理を心がける。また低温や日照不足が続くと発生が多くなる。品種選定も重要。
曲がり果
莢内部の子実の発育不良が原因。草勢低下や、特にカメムシの吸汁による。追肥やカメムシの防除を行う。
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オクラを使った料理紹介
Q&A
- オクラのタネをまく前に水につける方がよい、あるいは最近ではタネを薬剤処理してあり水につけずにまく方がよいとも聞きます。どちらが正しいですか。
-
オクラの発芽適温は20~30℃で高温を好みます。発芽時の気温が25~30℃では播種後3~5日で85%以上発芽します。それより気温が下がると発芽は極端に悪くなり、また発芽が遅れます。20℃では発芽までに約10日、15℃では約20日必要で、発芽率も60%程度に低下します。
早期出荷を狙う営利栽培では、タネを水に一晩浸漬してまきます。オクラの種皮はかたく吸水と通気性が悪く、浸漬処理をして発芽を促進するのです。ただ温床にしても気温を高く保つのは大変です。そうして育苗した苗を気温が上がる5月上旬ごろに定植します。
しかし家庭菜園では最低地温が15℃になる5月上旬ごろ、マルチを張るか敷きわらをして保温しておきタネをまくと、発芽して旺盛に育ちます。播種後は十分水をやり、その後は発芽まで土が乾かないように水やりをします。一方で過湿にならないよう気をつけます。マルチを張るか敷きわらをすると地温を高め、水分と肥料分を保てます。
オクラの生育適温は20~30℃で、それより早く植えても低温では生育は進みません。また浸漬処理をすれば、薬剤処理した種子の殺菌効果が低下します。家庭菜園では播種適期にまいて栽培する方が、苗立ち枯れ病などの心配もありません。直まきでは1穴に4~5粒まき、間引きは急ぎません。場合によっては1本立ちにしないで3~4本残して友育ちにします。直根性なので養分の取り合いに支障はなく、ゆっくり育つので果実収穫期も分散します。
- オクラの実の表面にイボができているのですが、原因を教えてください。また、食べても大丈夫でしょうか?
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オクラを栽培していると、莢の表面にイボ状の小突起が出ているものを見ることがあります。これは「イボ果」と呼ばれており、食べてもまったく問題はありませんが、市場などへ出荷する場合には商品価値を著しく低下させるようです。
発生要因としては、カメムシやアザミウマなどによる虫害も考えられますが、ほとんどの場合は栽培条件からくる環境ストレスによる生理障害の1つと考えられ、注意していても完全に予防することは極めて困難と思われます。
急に草勢が低下した時や極端な過湿繁茂状態の場合など、草勢が弱すぎたり、逆に強すぎたりすると発生が多くなるため、株の栄養状態とイボ果の発生は密接に関係しているようです。草勢が低下する原因としては、日照不足、気温の低下、極端な乾燥、過湿による根傷み、肥料不足などが考えられます。
イボ果発生の対策としては、生理障害を招かないような栽培環境つくりが大切であり、そのため、できるだけ耕土の深い、排水のよい、地力のある土壌で栽培しましょう。また、極端な密植を避けて、光合成を十分営ませることも重要です。
なお、品種によってイボ果の発生程度に差があるようなので、品種の選択も重要です。比較的草勢が安定している‘グリーンソード’は、従来品種と比べると発生の少ない品種です。