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野菜作りの新発想

竹内たけうち孝功あつのり

1977年長野県生まれ。19才の時、福岡正信著『自然農法 わら一本の革命』と出会い、自然農を全国各地で学ぶ。「育てる楽しみ、食べる幸せ、豊かさを分かち合う」をテーマに自然菜園スクールを主催。

コンパニオンプランツ
について

広がる気候変動の影響

近年、35℃を超える猛暑や局地的な大雨、予期せぬ干ばつが多発し、それに伴って病虫害も拡大の一途をたどっています。こうした異常気象がもたらす新たな課題に、家庭菜園でも対応を迫られています。プロの農家でさえ、例年通りの栽培が困難になり、野菜の高騰や米不足など、私たちの食卓への不安が広がっているのが現状です。

変化を迫られる栽培法

多くの農家は、出荷効率を最大化するため「単一作物栽培」を基本としています。例えば、冷涼な長野県の高地で、キャベツだけを畑一面に栽培するなどです。ところが、気候変動の影響により、かつては冷涼だった高地でも35℃以上を観測する日が珍しくなくなりました。一時的な干ばつであれば潅水で対応できますが、作物の生育適温をはるかに超える暑さや、高温による慢性的な水不足は、プロの農家でも対応に苦慮する事態となっています。

野菜の相性を生かす

家庭菜園では、複数の野菜を同時に育てる「少量多品目栽培」が一般的です。そこで注目したいのが「コンパニオンプランツ」の活用です。本来、コンパニオンプランツとは、互いの生育を助け合い、病虫害の軽減効果が期待できる植物の組み合わせを指します。

今回ご紹介する組み合わせは、相性のよいコンパニオンプランツを混植することで、日陰も作ることができるので、酷暑や干ばつに対応でき、異常気象対策になります。

コンパニオンプランツの
主な科と働き

トマト × つるありササゲ

マメ科のササゲの根には、チッソを固定する働きがあり、トマトの追肥の回数を減らすことができる。ササゲがあることで土壌水分が安定し、雨後に起こりやすいトマトの実割れも減る。

暑さに弱いトマトの救世主

南米アンデス高地原産のトマトは、本来、暑さに弱い野菜です。35℃を超える高温にさらされると、生育不良や日焼け果が発生しやすくなります。そこで注目したいのが、アフリカ原産のマメ科植物、つるありササゲ(またはシカクマメ)との組み合わせです。トマトの第1〜2果房収穫後、支柱近くにササゲを播種はしゅすると、ササゲのつるが支柱に巻き付きながら成長します。これによりトマトの誘引の手間が軽減され、強風に対する耐性も高まります。また、ササゲの葉が適度な日陰をつくることでトマトの実の日焼けを防ぎ、実割れも減り、トマトの品質も向上し、収穫期間も長くなります。

栽培のポイントはタイミング

トマトの定植は5月上旬に行い、ササゲは6月下旬〜7月上旬に播種します。トマトの第1果房が収穫できる前にササゲを播種すると、ササゲが優勢になりすぎ、トマトの生育に悪影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。

おすすめ品種

  • トマト

    ‘桃太郎サニー’

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  • ミニトマト

    ‘サマー千果’

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  • ササゲ

    現在、ササゲの販売はございません。代替としてシカク豆をご使用ください。

  • シカクマメ

    ‘シカク豆’

    販売はこちら

キュウリ × ニガウリ ×
ネギ

木もれ日効果で
収穫期間を延長

暑さに弱いキュウリと暑さに強いニガウリの長所を生かした栽培法です。キュウリの株間を100 ㎝程度と広めにとり、その間にニガウリを植え付けます。さらに両方の根元にネギを1〜2本ずつ混植することで、つる割れ病の予防になり、ニガウリの葉がキュウリに木もれ日をつくって暑さから守ります。栽培のコツは、ニガウリを本葉5〜6枚で早めに摘芯し、キュウリは通常より小さめの長さ12〜15㎝で収穫を始めること。高温期は草マルチ(刈り草や雑草を土の表面に敷き詰める)で地温上昇を防ぎ、3〜5日おきに夕方たっぷり水やりをします。ニガウリの子づる、孫づるは放射状に誘引し、キュウリと一緒に伸ばします。

おすすめ品種

  • キュウリ

    ‘VR夏すずみ’

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  • キュウリ

    ‘シャキット’

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  • ネギ

    浅黄系九条あさぎけいくじょう

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  • ニガウリ

    ‘太れいし’

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スイートコーン × カボチャ

立体栽培で
省スペース栽培

スイートコーンはコムギの約7倍もの水分を必要とし、近年の干ばつでは水管理に悩まされがちです。一方、カボチャは生育適温が17〜20℃と低く、近年の高温で実焼けなどの障害が目立ちます。この二つを組み合わせると、カボチャが地表面を覆って乾燥を防ぎ、スイートコーンが程よい日陰をつくることで、それぞれの野菜に適した環境が生まれます。私の観察では、スイートコーンの単独栽培で目立つアワノメイガの被害が、カボチャと組み合わせることで軽減されています。日照不足の場合やスペースが限られた家庭菜園では、カボチャのつるをスイートコーンに這わせて、立体的な栽培が可能になります。

おすすめ品種

  • スイートコーン

    ‘キャンベラ86’

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  • カボチャ

    打木早生赤栗うつぎわせあかくり

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サトイモ × ショウガ

日陰効果で
省力栽培を実現

東南アジア原産のサトイモとショウガは、もともと暑さに強い野菜ですが、35℃を超える酷暑下では生育も滞りがち。しかしこの二つを組み合わせると、サトイモの大きな葉がショウガに日陰をつくり、ショウガはサトイモの根元の乾燥を防ぎ、病気の発生も抑えてくれます。どちらも土寄せが必要な野菜ですが、混植による日陰効果で土が乾きにくくなり、土寄せや水やりの回数を減らすことができます。高温期には草マルチや敷きわらの使用も効果的。植え付けの1カ月前から、20〜35℃の環境でサトイモのタネイモ、タネショウガの芽出しを行うと生育が安定します。最低気温が18℃以上になってから、約50㎝間隔で交互に植え付けます。

おすすめ品種

  • サトイモ

    大野里芋おおのさといも

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  • ショウガ

    ‘お多福たふくしょうが’

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ジャガイモ × ネギ

春作の難しさを
混植で克服

アンデス高原原産のジャガイモは、暑さに弱く、近年の猛暑で生育不良になりがちです。また、ニジュウヤホシテントウの被害や連作障害も深刻です。そこで注目したいのが、ネギとの混植です。ネギの根に共生する細菌が抗生物質を出して土壌病害を防ぐほか、ニジュウヤホシテントウなどの害虫忌避、連作障害を防ぐ効果などが期待できます。栽培のポイントは、ジャガイモの株間を45㎝程度に広げ、その間に九条ネギを2〜3本ずつ植えること。土寄せを重ねるごとにネギが育ち、ジャガイモの花が咲くころには適度な日陰ができます。花が咲くころ、株元に草マルチをして地温上昇を防ぎます。

おすすめ品種

  • ジャガイモ

    ‘アンデス赤’

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  • ジャガイモ

    ‘デジマ’

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  • ネギ

    九条太くじょうふと

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