果樹に関するQ&A
渋柿の渋抜きの方法はどうすればよいでしょうか。
渋柿の渋抜きの方法はどうすればよいでしょうか。
カキの渋みを感じさせるのは、果実に含まれる水溶性タンニンです。渋抜き(脱渋)とはこの渋み成分を除去するのではなく、渋みを感じさせない不溶性タンニンに変化させることです。脱渋にはアルコール脱渋法、炭酸ガス脱渋法、湯抜き法などがあります。
アルコール脱渋は、皿に入れた焼酎にカキのヘタの部分を浸し、ビニール袋などに入れて密閉保管処理する方法です。アルコールは焼酎のほか、ウイスキーやブランデーでもよいです。通常の室温で保管すると、1週間程度で渋は抜けますが、温度が低い時は期間が長くかかります。寒くなる時期に仕込む場合などは毛布に包み、余熱のある間にこたつの中に入れて保管します。
炭酸ガス法では、果実重量の1.5~2%くらいのドライアイスを一緒にビニール袋に詰めて密封します。果実にドライアイスが接触すると凍傷を起こすので、新聞紙などでドライアイスを包んで使用することと、袋は少し厚めのものを使うことがポイントです。脱渋までは4~5日かかります。
湯抜き法は38~40℃の温湯に約15時間浸漬して渋を抜く方法で、家庭の保温機能のよい風呂の浴槽を利用できます。脱渋時間は短くて済みますが、高温と多湿のため脱渋後の品質低下が著しいです。
干し柿も脱渋法の一つで、皮をむいたり呼吸を妨げることにより、果実の中の糖がアルコールになり、さらにアセトアルデヒドに変化して、水溶性タンニンと結合し不溶性となり、渋みを感じさせなくなります。また、近年、樹上で固形アルコールを用い処理する「樹上脱渋法」も行われ、手間は掛かりますが高品質なカキができます。