花に関するQ&A
今年は寒波が厳しく、サクラが咲いてくれるか不安です。何か対策はありますか。
今年は寒波が厳しく、サクラが咲いてくれるか不安です。何か対策はありますか。
ご質問では寒さで花芽が傷まないか、そして開花が遅れないかという心配だと思われます。ただサクラ自体は耐寒力が強く、開花習性から見てもそのような心配はなく、特に対策は必要ありません。
サクラが開花するための習性として、前年の夏には花芽ができます。晩秋から休眠に入っていったん生長が止まり、さらに気温が下がる真冬になると休眠から目覚めます。この現象は「休眠打破」と呼ばれます。そのメカニズムをご紹介しましょう。
まず、夏から秋にかけて生長を抑制する物質が葉でつくられます。落葉期を迎える前に生長抑制物質は葉から芽へ移動し、冬芽の中に多く含まれます。この物質が開花を抑えて休眠状態にするわけですが、低温を受けるにつれ分解が進み、徐々に少なくなってきます。そして暖かくなってくると、今度は花芽(蕾)を生長させる物質が増えてきます。気温が上がるにつれてその物質の量が増え、一気に生長して蕾が膨らみ、花を咲かせます。
すなわち一定の寒さにあうと開花抑制物質が早く分解されることになり、その後の暖かさにあうと開花は促進され、それが暖かいほど短い日数で咲くことになります。しかし、一般地では暖冬といわれる年は寒さにあうのが遅れて休眠打破が遅くなり、花芽生長の切り替えが遅れ、開花が遅くなります。
花芽生長は春の気温が高いほど早く進みます。寒の戻りというように寒さに再びあうと生長も遅れることになりますが、開花は期待できます。ただ、サクラが開花するためには寒さにあう必要があることから、冬の寒さがない所や常夏の地方では、花がきれいに咲き揃うことは見込めません。