果樹に関するQ&A
毎年春になるとモモの新葉が波打ったようになります。冬の間の農薬処理について教えてください。
毎年春になるとモモの新葉が波打ったようになります。冬の間の農薬処理について教えてください。
ご質問の症状は、モモの代表的な病害といわれる縮葉病と考えられます。主に葉に発生し、未展開の新葉に赤い小さな火ぶくれ状の症状が出ます。発病した葉は進行すると火ぶくれが厚く大きく膨れ上がって波打つようになり、病斑の色も赤、桃、黄緑、黄色を呈し、病菌の分生子である白粉で覆われ、やがて黒く腐って落葉します。さらに分生子が枝や芽に付着すると、表面で酵母のようなコロニー(集塊)をつくり越冬します。翌春、降雨により分生子が飛散し、展葉初期の新葉の上で発芽して葉の裏面にある表皮細胞のすき間を貫いて侵入し、前記のように発症します。
病気が発症してからは防除できませんが、発病した葉からほかの葉には二次感染はしません。この病原菌は枝や芽の表面に付着して越冬するため、発芽前の休眠期に防除を行うことが必要です。防除には石灰硫黄合剤やトレノックスフロアブルなどが登録農薬としてあります。石灰硫黄合剤はこの病気の殺菌作用のほか越冬害虫に対しても殺虫効果があるので、おすすめします。
薬剤は7~10倍の高濃度で希釈し、萌芽展葉後は薬害が出るので、萌芽前に枝全面にかかるよう散布します。周辺の常緑性の樹木や草花に薬液がかかると斑点や薬害を生じ、建物にかかると薬液のしみがつくので、散布時は注意しましょう。ただ、現在は500mLの小容量の薬剤が販売されておらず、10L以上の容量のものになります。