スイートコーンの「キセニア現象」とは何ですか。栽培には関係ありますか。また、無除けつ栽培とはどんな栽培でしょうか。
スイートコーンの「キセニア現象」とは何ですか。栽培には関係ありますか。また、無除けつ栽培とはどんな栽培でしょうか。
スイートコーンの近くに飼料用デントコーンが植えられていると、交雑が起こります。その結果、花粉の影響で色や味が変わったり、かたい種実ができたりすることをキセニア現象といいます。
デントコーンから飛散した花粉がスイートコーンの雌しべに受粉し、次いで受精が起こります。発芽した花粉には二つの雄核があり、雌しべにある胚珠の卵核・極核と受精し、それぞれ種実の胚と胚乳になります。雄核は親の遺伝情報の半分をもち、もしそれが優性の形質ならデントコーンの色・味の種実になります。胚珠ごとにヒゲ状の雌しべが伸び、それぞれが受粉・受精します。それで雄核のもつ形質により異なった色・形の種実が1本の穂にできます。そのためスイートコーンと他種類のコーンは少なくとも100m、できれば200m以上離して植えるか、やむを得なければ播種時期を変えるようにします。スイートコーンが生育するにつれ、株元から数本の新芽が分けつして伸びます。普通はこれらの分けつは除かないで栽培し、これを無除けつ栽培といいます。分けつを除かないのは、次の四つの利点があるためです。
① 多数の分けつが株元にある方が、根数が増えて養水分をよく吸収してくれ、さらに株の倒伏が防げる。
② 分けつの多い方が葉数が増えると共に光合成産物も増え、種実の肥大が促進される。
③ 分けつが伸びて雄花が増えることにより花粉の飛散量が増し、種実のつきがよくなる。
④ 株数が多いと分けつ除去作業に労力が掛かるが、それが省略できる。
最近は1株当たり1本の穂を収穫し、短期間に甘い穂を収穫する傾向にあります。そのため光合成促進は重要です。ただ、基部からの分けつ数が多すぎる場合は防除作業が必要です。その場合は生育旺盛な側枝を3本くらい残し、ほかは除去してもよいでしょう。