果樹に関するQ&A
ジベレリン処理という言葉をよく聞きますが、どういう処理でしょうか。またすべてのブドウ品種に行えますか。
ジベレリン処理という言葉をよく聞きますが、どういう処理でしょうか。またすべてのブドウ品種に行えますか。
まず、ジベレリンとは植物ホルモンの一つで、植物ホルモンは植物自身がつくりだし、極めて低濃度で植物の成長や開花、結実、成熟などさまざまな生理作用を調整する物質です。ブドウで行うジベレリン処理の目的は、タネのない大きな果実を作ることにあります。ジベレリン処理が発見されたきっかけは、ジベレリンの茎成長の促進作用に目をつけた試験にあります。‘デラウエア’品種の詰まった果房の果軸を伸長させ、果実同士の接触を防いで品質を高めようとしたのですが、その過程でタネなしブドウの発見につながりました。
具体的にはなかなか手間が掛かり、経験を積まないと処理時期などの判断が難しい作業です。まず、花粉や胚珠の形成期である花が満開となる2週間前をめどに、容器に注いだジベレリン溶液に花の一房一房を浸す作業を行います。次に満開の10日後に、同様に一房ごとの処理をします。一回目の処理により種子の形成を阻害し、二回目の処理で果実が肥大化されます。さらにジベレリン処理を行うと、結実がよくなり果実も肥大化し、窮屈に込み合った房になってしまうので、摘粒が必要となります。
現在ではさまざまな品種にジベレリン処理が行われていますが、タネなし化されにくい品種もあります。また、本来その品種がもつ香りや味、食味が失われたりすることもあるようです。なお、店頭に並ぶような立派なブドウを栽培するには、栄養成長を調整する結果枝の摘芯、花穂(果房)の間引き、花穂(果房)自体の整形・摘蕾などさまざまな作業が必要となり、ブドウ農家さんのご苦労が伺われます。