レモンの葉に黒い斑点が出てきます。これは何の病気でしょうか。
レモンの葉に黒い斑点が出てきます。これは何の病気でしょうか。
レモンは、インド北東部のヒマラヤ山系を原産地とするミカン科の常緑低木です。15世紀ごろにはヨーロッパでも盛んに栽培されるようになり、その後、コロンブスの新大陸発見と共に同大陸にも伝えられました。寒さに弱いため、冬は暖かく、夏に乾燥する地域が栽培に適しており、特にアメリカの南カリフォルニアで栽培が広まりました。日本での栽培は明治の初めに静岡県で始まった後、西日本の暖地にも伝わり、主産地である広島県を始めとした瀬戸内地域を中心に広く栽培されるようになりました。
さて、葉に黒い斑点が出る症状は、「黒星病」と「すす病」が考えられます。「黒星病」は、別名で「黒斑病」や「黒点病」ともいわれます。6~7月の梅雨の時期や9~11月の秋雨の時期など、雨の多い時期に見かけます。葉だけでなく、緑枝や果実にも発症します。伝染源は樹冠に残っている枯れ枝や、近くに放置された剪定枝に残っている糸状菌(かびの仲間)です。対策は、枯れ枝の発生を抑えるために樹冠内部の日照をよくすることです。併せて、枯れ枝は適宜取り除き、剪定枝と合わせて周辺に放置しないなど、耕種的な防除に努めてください。また、薬剤防除は発生が見込まれる梅雨や秋雨の時期に行うのが効果的です。
「すす病」は、年間を通して発生し、葉や枝、果実の表面がすすをかぶったように黒くなります。これは黒いかび(糸状菌)によるもので、見た目の美しさが損なわれるだけでなく、葉に発生すると光合成が阻害され、樹勢が低下します。このかびは植物に発生したアブラムシやカイガラムシの排泄物や分泌物に寄生しており、植物には直接寄生していません。風通しや日照不足を改善するなど、害虫が発生しにくい環境をつくり、害虫が発生した場合は薬剤防除を行います。なお、薬剤防除に当たっては、必ず適用薬剤や使用方法を確認しましょう。