タネから植物を育てるのが好きなのですが、庭が狭いため、タネがいつも余ってしまいます。余ったタネを、また来年まくことはできますか?
タネから植物を育てるのが好きなのですが、庭が狭いため、タネがいつも余ってしまいます。余ったタネを、また来年まくことはできますか?
基本的に、購入した種子は、その袋に印字された有効期限内に播種し、残さずまき終えるようにしてください。種子からの栽培では少し多めにタネをまき、ゆとりのある数量の苗を作り、その中からよいものを選んで育てるのが最良だと言えます。
種子の発芽力は、吸湿することで低下します。発芽力を保つには、乾燥し、かつ低温下に置くことが最も大切です。高温と高湿を抑えることで、種子内に起こる化学的作用が抑制され、原形質の凝固、呼吸作用によるエネルギーの消費、諸種の酵素の消失などが阻止されるので、発芽力が長く保持されるといわれています。低温と低湿度を組み合わせた条件下で、発芽の低下が最も少なかったのは、温度5℃、相対湿度35%で貯蔵された種子であったという実験結果もあります。
近ごろ、通信販売や店頭で入手する種子は、大多数が防湿袋で密封包装されています。これらは、最も良好な状態で封入されていて、開封するまでは吸湿の心配はありません。ところが、開封後に残りの種子を高温下で放置した場合、ごく容易に吸湿または脱湿を繰り返すため、劣化の速度が早まります。
日本では、春まき、秋まきを問わず、次の播種期まで保存するには、6~8月の高温多湿の時期を通過することは避けられません。どうしても翌年にタネを持ち越したい場合は、密封性に優れた缶などの容器を用意し、早めにタネを移して封入することです。焼のりなどに用いられているシリカゲルなどの乾燥剤があれば、種子とともに封入しておくと、防湿効果が向上します。できるだけ涼しい所で保管し、気温が20℃を超えるころには、家庭用冷蔵庫に入れておきましょう。
ただし、種子の保管のために最善を尽くしたとしても、家庭での保管では発芽率の低下などの悪影響は逃れ難いので、前述の通り、やはり毎年新しい種子を入手して有効期限内にまくのが最良です。