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果菜類の遅まき栽培

この時期からでもまだ間に合う!「果菜類の遅まき栽培」

インゲン スイートコーン

インゲン、スイートコーンなど、まだまだこの時期にタネまきからはじめることができる品目もあります。
収穫時期をずらして長期間にわたって収穫したいと考えている方や、適期のタネまきに失敗した方には遅まき栽培をおすすめします。ぜひチャレンジしてみてください。


インゲン

 インゲンは、栽培可能な気温帯が比較的広い作物です。そのため、収穫期が盛夏期にかからないようにさえすれば、春以降のタネまきでも十分に栽培できます。
今からの栽培であれば、つるなしインゲンの抑制栽培がおすすめです。つるなしインゲンは、タネまきから収穫までの期間が55〜65日と短いため、タネまきを7月前後に行う抑制栽培であっても、気温が低くなる秋口まで収穫を楽しむことができます。


おすすめ品種

美咲みどり

美咲みどり
集中的に莢がつき、極めてたくさんとれるつるなし種。莢色が鮮緑で莢の曲がりと子実の目立ちが少なく、やわらかくておいしい。莢の長さは13cm程度で揃いがよく、丸莢でスジなし。

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さつきみどり2号

さつきみどり2号
莢の長さは14cm程度の濃緑色でスジのない丸莢種。莢は肉厚でやわらかく、食味がよく風味豊か。草丈が45cm程度のつるなし種。根強い人気の品種。

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さやっこ

さやっこ®
莢の揃いが特によいので、一斉収穫が可能な省力品種。草丈は約40cm程度で、莢長は11cm程度の歯切れのよい小莢タイプ。播種後約56日で収穫できる。



初みどり2号

初みどり2号
莢の長さは13cm程度で一斉に莢がつき、揃いがよい。曲がりと子実の凹凸が少ないスジなしの丸莢で、高品質。草勢は中強で作りやすく、どの作型でもたくさんとれる。草丈が50cm程度のつるなし種。

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山城黒三度

山城黒三度
丸莢で若莢にはスジがなく、長さは12〜15cm程度のつるなし種。生育旺盛で耐暑・耐寒性が強く、莢つきも安定してたくさんとれる。天ぷら、炒め物、和え物などに適する。



恋みどり

インゲン・恋みどり
莢の長さは14cm程度でそろいがよく、曲がりも少ないため高品質。莢色は極濃緑で、風味豊かで食味がよい。草勢が旺盛で、たくさんとれる。草丈は50cm程度のつるなし種で、葉の大きさは中程度。

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インゲン栽培のポイント

[1] タネまき時期

インゲンの生育適温は15〜25℃で、30℃以上の高温になると落花が多くなり、着莢が制限されてしまいます。そのため、開花・着莢が盛夏期にかからないように、タネまき時期を選びます。露地で栽培する場合、暖地や一般地では7月中旬〜8月中旬に、冷涼地では7月上旬までにタネをまき、霜が降りる前までに収穫を終えるような作型が最適です。

[2] 畑の準備

つるなしインゲンを上手に作るポイントは、[1]発芽を順調にさせることと、[2]生育初期からしっかりと根を張らせてやることですが、これらを促すためには適切な土づくりが重要です。インゲンは耐湿性が弱いため、排水のよい場所を選ぶとともに、連作障害を起こさないよう、マメ科の植物を少なくとも3〜4年栽培していない場所を選びます。また、通気性の高い土壌ほど根張りがよくなるため、有機質を十分に施します。

〈抑制栽培での注意点〉

盛夏期にタネまきを行う抑制栽培において、特に注意しなければならないのが、土壌の乾燥による生育障害です。発芽期の土壌乾燥は、深刻な発芽率の低下を招き、開花期に乾燥が続くと、着莢に悪影響を及ぼします。土壌水分を適湿に保ち、乾燥による被害を防ぐために、マルチの使用をおすすめします。降雨後の土がやや湿った状態の時に畝立てを行い、その後すぐにマルチを張るようにしましょう。マルチは、白黒ダブルのものを使用すると、乾燥防止だけでなく、地温上昇の抑制や、反射光による生育促進と害虫発生抑制の効果も期待できます。

[3] 栽植密度(第1図)

抑制栽培の場合、多くの日光を必要とする着莢期が秋口にかかるため、日光不足による落莢や莢色の悪化がよく見られます。過度な密植を避け、株全体に日光が当たるようにしましょう。畝幅約150㎝、株間約30㎝で2条植え程度が理想的です。

[4] タネまき(第1図)

インゲンの発芽最適地温は、20〜25℃です。地温が30℃以上になりやすい夏場のタネまきでは、発芽率が低下しやすいため、1穴3〜4粒ずつタネをまいて欠株を防ぎます。発芽までは表土が乾燥しないように注意し、極端に乾燥する際は、適宜水やりしましょう。

第1図 畑の準備・タネまき

[5] 間引き・土寄せ(第2図)

発芽が揃い、本葉が2〜3枚のころに、生育のよい株を残して他はとり除き、初期生育を早めます。同時に、乾燥や雑草発生防止のため、株元の土寄せを行います。

第2図 間引き・土寄せ

[6] 水やり

栽培期間中は、根傷みの原因となる水分過多に注意しながら適切な水やりを行い、順調な生育を促すことが重要です。特に開花着莢時期は、水分が不足すると莢の曲がりや短莢の原因となるため、多めの水やりで適湿を保つことがポイントです。

[7] 収穫

収穫は1週間に2回を基本に、数回に分けて行います。収穫時にくず莢も取り除き、株に余分な負担をかけないようにすると、樹勢が長持ちし、長期間にわたって収穫が楽しめます。樹勢を維持するためには葉面散布も効果的です。収穫初期のころから1週間に1回程度、株全体の葉にまんべんなく散布します。

多めの水やりを心がけ、マルチを使用して乾燥を防止


スイートコーン

スイートコーン

本来は鮮度が重要なスイートコーンですが、夜温が下がる秋に収穫すると、糖度が高くて食味が比較的長持ちする穂が収穫できます。スイートコーンが売り場に見られなくなるこの時期に収穫ができる、遅まき、抑制栽培に挑戦してみてはいかがでしょう。今回は、春まき栽培とは異なる注意点を含めて、この作型に適した品種と中間地と暖地での栽培のポイントを紹介します。

品種選びのポイント
遅まき、抑制栽培は温度が高い7〜8月ごろのタネまきとなるので、初期の生育が進みやすくなります。早生品種を使うと株がしっかりできないうちに花芽が分化したり、雄花と雌花の開花がずれて、減収の原因になったりします。熟期が86日以上の中生品種で、草勢が強い「おひさまコーン88」もしくは「キャンベラ90EX」がおすすめです。


おすすめ品種

おひさまコーン88

おひさまコーン88
粒皮は特にやわらかく、糖度が高い食味重視の極良質イエロー種。中間地のマルチ栽培では、播種後88日程度で収穫ができる中生種。草丈2m程度となるが、倒伏に強い。粒列の並びがよく、ボリュームに優れる。

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キャンベラ90EX

キャンベラ90EX
甘みが強い良質のイエロー種。中生。中間地のマルチ栽培では、播種後90日程度で収穫ができる。穂先の詰まりもよく、400g程度に揃う。草丈は200cm程度、生育旺盛で根張りがよく倒伏に強い。中間地、暖地では露地抑制栽培も可能。比較的粒皮が厚いので焼きトウモロコシにも向く。

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スイートコーン栽培のポイント

[1] 畑の準備(第1図)

堆肥など有機質を多めに施して深耕します。排水の悪い畑では高畝にします。元肥は、チッソ、リン酸、カリの成分量で1㎡当たりそれぞれ15〜20gと春作の場合よりやや少なめに施します。前作の肥料が残っているような場合は、過繁茂を避けるためにさらに元肥を少なめにします。畝幅は150〜160㎝程度が適当です。

[2] タネまき(第1図)

発芽に必要な地温は十分確保できる時期ですが、タネまき後の乾燥には注意します。1畝2条まきで株間32〜33㎝、1㎡当たり4株程度のやや疎植ぎみの裁植数が適当です。1穴に3〜5粒のタネをまきます。

第2図 畑の準備・タネまき

[3] 間引き(第2図)

本葉が3〜4枚出たころ1本に間引きます。間引き後は土寄せし、軟弱徒長しやすいこの時期の倒伏対策として、株元を軽く押さえておきます。


[4] 追肥・土寄せ(第3図)

追肥は草勢を見ながら、本葉6〜8枚ごろに1回目の追肥を、雄穂出穂期に2回目の追肥を行います。チッソ成分量で1㎡当たり速効性肥料5gを目安にするとよいでしょう。


[5] 無除けつ栽培

省力と、葉面積を確保して草勢をしっかり保つため、分けつは除去せず放任します。分けつから出る雄穂は、雌花と開花が合わない場合が多いため、アブラムシ防除のためにも早めに切りとってしまってもかまいません。


[6] 水やり

水分不足は先端不稔、穂の肥大不足、糖度不足につながります。温度が高いこの作型では、初期から生育が旺盛になりますので、乾燥に注意してこまめに水やりを行います。特に開花期以降は十分な水やりを心がけてください。


[7] 害虫防除

アブラムシやアワノメイガなどの害虫が多く発生する作型になるので、予防的な処理も含めて早めに薬剤処理を行います。特に雄花の開花期には、効果が長続きする粒状の薬剤を用いて防除します。


[8] 収穫(第4図)

収穫期の温度にもよりますが、絹糸抽出日から25〜30日が収穫適期です。温度が高い時期の収穫では、予定より早めに穂が仕上がるため、過熟に注意が必要です。試しむきなどをして、先端の粒が充分肥大し、粒の色が真珠色からしっかりとした黄色になっていれば収穫適期です。

第2図 畑の準備・タネまき

スイートコーンの絹糸