トップ > 野菜のひろば > 東京「大泉 風のがっこう」体験レポート 野菜作りはこんなに楽しい!
トップ > 野菜のひろば > 東京「大泉 風のがっこう」体験レポート 野菜作りはこんなに楽しい!

東京「大泉 風のがっこう」体験レポート 野菜作りはこんなに楽しい!

東京「大泉 風のがっこう」体験レポート 野菜作りはこんなに楽しい!東京「大泉 風のがっこう」体験レポート 野菜作りはこんなに楽しい!

農業体験農園「大泉 風のがっこう」の授業を、毎回、生徒の目線でレポートします。
通常友の会会員様しか読めない、月刊誌「はなとやさい」に掲載の記事となりますが、特別公開します。
実践的なノウハウを、ぜひ家庭農園で参考にしてください。

vol.8

野菜別栽培ポイント

定番の果菜3種をまずしっかり作ろう!トマト、ナス、キュウリ

夏の菜園に欠かせない果菜といえば、トマト、ナス、キュウリ。もちろん「大泉 風の
がっこう」でも夏の畑の主役です。特にトマトは「野菜農家の腕の見せどころ」なの
だとか。作り方のコツを白石さんにしっかり教わりました。

トマト

野菜農家は“トマトを上手に作ることができれば一人前”といわれるんですよ。「農家のトマト作りの目標は、(1)糖度が高い、(2)粒が揃っている、(3)収穫量が多い、その三つすべてをクリアすること」と白石さん。例えば体験農園では、最初に花をつけた1段目から2段目、3段目くらいまでは順調に実をつけても、4段目、5段目は花が落ちて実がならないことがあります。「そうならないように土づくりの段階からしっかり対策を立て、10段以上になるまで主枝を伸ばし、各段で5〜6個ずつ確実に収穫していくのが農家の腕の見せどころです」。
土づくりのポイントは?「堆肥はたっぷり、チッソは少なめ、カルシウム欠乏は避ける、この三つです」。白石さんの畑では元肥として1u当たり牛ふん堆肥3〜4s、苦土石灰100t、トマト配合肥料(チッソ5、リン酸6、カリ6)200t、カルシウム剤50〜100tを全面散布してトラクターで全面耕起します。「深耕ロータリーで、深さ50pまで耕すのが私のこだわりです」と白石さん。
苗の植え付けは体験農園では露地栽培なので4月下旬〜5月上旬に行いますが、白石農園ではハウス栽培なので4月上旬〜中旬と早めです。その後の管理は体験農園も白石さんの畑も変わりません。「ただし、白石農園では苗が200本ありますから、毎朝の日課は、わき芽の切除、主枝の誘引(支柱にしばる)、花をつけたらホルモン処理、これをひたすら繰り返します」。野菜作りも仕事となると大変ですね。

「ホーム桃太郎EX」

「ホーム桃太郎EX」

一般的な家庭菜園で作るなら「ホーム桃太郎EX」がおすすめ。育てやすくて葉かび病の耐病性もある。

「フルティカ」

「フルティカ」

中玉トマトで甘みと酸味のバランスが抜群。直売所でも人気の品種。房ごと切らず、赤く熟した実から収穫するのがおすすめ。

トマトの栽培カレンダー(露地)

トマトの栽培カレンダー(露地)

実際に「大泉 風のがっこう」で作業した日付で具体的に紹介します(一般平坦地基準)。
※タキイの通販ガイドなどに記載の適期表とは時期が異なることもありますが、ご了承ください。

トマトの畑づくり
昨年の定植は4月20日。白石さんのプロの植え付けをご覧ください!

植え付け

トマトの苗は、主枝がなるべく太く、しっかりと自立しているのがよい状態。

トマトの苗は、主枝がなるべく太く、しっかりと自立しているのがよい状態。

苗をポットごとバケツの水に浸けて、たっぷり水を含ませる。
苗をポットごとバケツの水に浸けて、たっぷり水を含ませる。
ビニールマルチの穴から、土を掘り出す。
ビニールマルチの穴から、土を掘り出す。
穴の中にポットの水をこぼして、土を十分湿らせておく。
穴の中にポットの水をこぼして、土を十分湿らせておく。
苗からポットを外し、根を少しちぎってハードニングする。
苗からポットを外し、根を少しちぎってハードニングする。
土の表面がビニールマルチより深くならないように、苗を植え付ける。
土の表面がビニールマルチより深くならないように、苗を植え付ける。
苗がしっかり根付くように土を押さえた後に水やりする。
苗がしっかり根付くように土を押さえた後に水やりする。
ひもで軽くしばり、苗を支柱に固定しておく。
ひもで軽くしばり、苗を支柱に固定しておく。

わき芽かき+誘引

5月13日。花が咲いたら花房の少し下でひもをかけ、支柱の方に誘引する。

5月13日。花が咲いたら花房の少し下でひもをかけ、支柱の方に誘引する。

葉の付け根から伸びたわき芽をそのままにすると繁茂してトマトの実に栄養が行き渡らなくなる。そのため、わき芽はかならず取り除く。

葉の付け根から伸びたわき芽をそのままにすると繁茂してトマトの実に栄養が行き渡らなくなる。そのため、わき芽はかならず取り除く。

白石農園ではトマトはハウスで栽培。雨の影響を受けないため水分量の調整がしやすく、糖度の高いトマトを作ることが可能なのだそう。

白石農園ではトマトはハウスで栽培。雨の影響を受けないため水分量の調整がしやすく、糖度の高いトマトを作ることが可能なのだそう。

ホルモン処理

一つの花房から5〜6個の実を確実にならせるために、花が咲いたら1回だけホルモン剤を噴霧する。

一つの花房から5〜6個の実を確実にならせるために、花が咲いたら1回だけホルモン剤を噴霧する。

5月中旬。先に咲いた花から順に実が膨らみ大きくなっているのが分かる。

5月中旬。先に咲いた花から順に実が膨らみ大きくなっているのが分かる。

収穫

大玉トマト「ホーム桃太郎EX」の収穫も後半戦に入った7月下旬の様子。体験農園では6〜7段目くらいで収穫は終わるが、白石さんの畑では10段目まで実をならせて収穫を続ける。腕のよいトマト農家は14〜15段にもなるそう。

大玉トマト「ホーム桃太郎EX」の収穫も後半戦に入った7月下旬の様子。体験農園では6〜7段目くらいで収穫は終わるが、白石さんの畑では10段目まで実をならせて収穫を続ける。腕のよいトマト農家は14〜15段にもなるそう。

こちらは「フルティカ」の畑。主枝が斜めになるように誘引してできるだけ長くし、より多くの段数を稼げるようにしている。

こちらは「フルティカ」の畑。主枝が斜めになるように誘引してできるだけ長くし、より多くの段数を稼げるようにしている。

「フルティカ」の幼果。大玉より作りやすく、味も乗りやすい。サイズも手頃で直売所でも人気者。

「フルティカ」の幼果。大玉より作りやすく、味も乗りやすい。サイズも手頃で直売所でも人気者。

ナス

「とげなし千両二号」は「大泉 風のがっこう」でもおなじみの品種。「味もよいし作りやすいから」と、白石さんも太鼓判を押します。苗の植え付け適期は4月下旬〜5月中旬です。栽培ポイントは?「農家では昔から、ナスの肥料は地獄にやれ!と教えられてきました。土をできるだけ深く掘って肥料をまきなさい、という意味ですね。根が地面深く真っ直ぐ伸びた先に栄養分をたっぷり用意しておく、これがポイントです」。白石さんの畑では、1u当たり100tの苦土石灰を全面散布して耕します。その後、定植する場所に沿って深さ30pほどの溝を掘り、溝の長さ1m当たり配合肥料(チッソ9、リン酸11、カリ6、+ホウ素やマンガンなどの微量要素)200t、牛ふん堆肥3sを元肥として投入しています。
「ナスは連作を嫌う。これも重要なポイントですよ。そのため毎年植え付ける畑を変えています」と白石さん。ぜひ、今年の作付け計画をもう一度チェックしてみてください。

ナスは種類が豊富で用途も多岐にわたる。右から(1)白ナス、(2)千両二号、(3)ヒモナス、(4)米ナス、(5)ゼブラナス。

ナスは種類が豊富で用途も多岐にわたる。右から(1)白ナス、(2)千両二号、(3)ヒモナス、(4)米ナス、(5)ゼブラナス。

「とげなし千両二号」

「とげなし千両二号」

夏秋用のナスといえば、これ。美しいつややかな果皮はやわらかく、さまざまな料理で活躍する。わが菅野家ではベーコンとの炒めもの、浅漬け、それに蒸しナスが大人気。

雑司ヶ谷(ぞうしがや)ナス

雑司ヶ谷(ぞうしがや)ナス

江戸東京野菜の一つ。小振りで肉質がしまっているので煮物に適し、加熱するととろみが出て甘い。

ナスの栽培カレンダー(露地)

ナスの栽培カレンダー(露地)
ナスの畑づくり
実のヘタにトゲがあるタイプだと収穫の時にチクチクして 痛いので、とげなしタイプが おすすめです!

植え付け

苗の植え付け手順はトマトと同じ。バケツの水にポットごと浸けて、苗にたっぷり水を含ませ、根を少しちぎってハードニングしてから浅植えにする。

苗の植え付け手順はトマトと同じ。バケツの水にポットごと浸けて、苗にたっぷり水を含ませ、根を少しちぎってハードニングしてから浅植えにする。

支柱立て

植え付け直後は仮の支柱を立てて苗を支える。4月中旬に植え付ける場合は寒冷紗を必ずかける。また、1番花は取ってしまう。

植え付け直後は仮の支柱を立てて苗を支える。4月中旬に植え付ける場合は寒冷紗を必ずかける。また、1番花は取ってしまう。

支柱の立て直し

苗の先が寒冷紗に当たるくらいまで生長したら寒冷紗を外し、支柱を立て直す。伸びた枝がしっかり支えられるように支柱を組み、支柱の間に麻ひもを渡しておく。

苗の先が寒冷紗に当たるくらいまで生長したら寒冷紗を外し、支柱を立て直す。伸びた枝がしっかり支えられるように支柱を組み、支柱の間に麻ひもを渡しておく。

紫と黄色のコントラストが美しいナスの花。アブラムシやハダニなどの被害を予防するには、この段階で葉裏までよくチェックして早期に発見、駆除することが大切。

紫と黄色のコントラストが美しいナスの花。アブラムシやハダニなどの被害を予防するには、この段階で葉裏までよくチェックして早期に発見、駆除することが大切。

6月中旬。実が徐々に大きくなってくる。

6月中旬。実が徐々に大きくなってくる。

収穫

「ナスは風に弱い。これも気をつけたいポイントです。風にあおられた葉が実の表面をこするために茶色っぽい傷ができてしまうのです。それを防ぐ整枝の方法もありますが、うちの畑では特にやっていません」と白石さん。

「ナスは風に弱い。これも気をつけたいポイントです。風にあおられた葉が実の表面をこするために茶色っぽい傷ができてしまうのです。それを防ぐ整枝の方法もありますが、うちの畑では特にやっていません」と白石さん。

生育途中で実と葉がこすれて傷になっているナス。

生育途中で実と葉がこすれて傷になっているナス。

キュウリ

「キュウリは水で育つ。これがポイントです。それだけに、降雨量が少ない時はたっぷりの水やりが必要です。また、生育が旺盛で次から次へと実がなり、収穫適期を逃すと大きくなりすぎて味が落ちるので、できるだけ小まめに収穫してください」と白石さん。実の長さ20〜25pぐらいが収穫の目安です。
苗の植え付けは4月下旬〜5月上旬に行います。体験農園では合掌型に支柱を組みますが、スペースのある白石さんの畑では専用のアーチパイプを使ってトンネル状に仕立てます。2本のビニールマルチを敷き、それぞれのマルチの端に60p間隔で穴を空け、2列をまたぐようにアーチパイプをかけます。それ以外は、土づくりも苗の植え付け方も基本的に変わりません。

「VR夏すずみ」

「VR夏すずみ」

白石農園、体験農園ともにキュウリの定番品種はこれ。ウイルス病に強く、長期にわたって安定して収穫できる。シャキシャキとした歯触りもたまらない!

キュウリの栽培カレンダー(露地)

キュウリの栽培カレンダー(露地)
キュウリの畑づくり

植え付け

体験農園での苗の植え付けの様子。手順はトマトと同じ。バケツの水にポットごと浸けて、苗にたっぷり水を含ませ、根を少しちぎってハードニングしてから浅植えにする。

体験農園での苗の植え付けの様子。手順はトマトと同じ。バケツの水にポットごと浸けて、苗にたっぷり水を含ませ、根を少しちぎってハードニングしてから浅植えにする。

支柱立て

軽くひもでしばって苗を支柱に固定しておく。

軽くひもでしばって苗を支柱に固定しておく。

6月中旬。白石さんの畑ではアーチパイプの支柱にそってキュウリの枝が伸びていくように仕立てる。「キュウリの整枝方法があるのですが、うちでは伸ばし放題です」と白石さん。

6月中旬。白石さんの畑ではアーチパイプの支柱にそってキュウリの枝が伸びていくように仕立てる。「キュウリの整枝方法があるのですが、うちでは伸ばし放題です」と白石さん。

収穫

6月中旬以降、長さ20〜25pに育ったら収穫適期。

6月中旬以降、長さ20〜25pに育ったら収穫適期。

白石さんが愛用している、カットしつつキュウリをつかめる便利な道具。

白石さんが愛用している、カットしつつキュウリをつかめる便利な道具。

夏の果菜類をよりおいしくする
ハーブ&スパイスも育てよう!

「VR夏すずみ」

バジル

トマトと相性抜群のバジルは、一緒に栽培しておくととても重宝する。
菅野:「わが家ではピザやパスタに欠かせないので、僕も育ててみたいですね」。
白石:「手が掛からずどんどん収穫できるから、おすすめですよ」。

トウガラシ

トウガラシ

白石農園ではナスやキュウリの畑の隅にトウガラシを植えている。肥料も同じで、手間もかからない。ナスの炒め物やトマトのパスタソースなどにトウガラシは欠かせない。乾燥して保存がきくので作っておくととても便利。

白石 好孝

教える人白石 好孝 (しらいし よしたか)

東京都練馬区大泉で300年続く白石農園・園主。同敷地内で農業体験農園「大泉 風のがっこう」を主宰。実践で培ったノウハウを体験農園での指導に生かし、野菜作りの魅力を多くの生徒たちに伝えている。NPO法人「畑の教室」代表。

菅野 俊一郎

教わる人菅野 俊一郎 (かんの しゅういちろう)

コピーライター。50代になって、ふとしたきっかけから「大泉 風のがっこう」で人生初の野菜作りに出会う。野菜を育て味わう楽しさに魅了されて、まもなく10年。その間、白石さんの教えを守らず失敗した経験多々。今回は基本に忠実に実践!

「はなとやさい」2016年3月号より

タキイ友の会に入会すると
こんな記事が毎月読めます!

園芸新知識 はなとやさい

タキイ友の会に入会すると、
家庭菜園とガーデニングの情報満載の月刊誌
「園芸新知識 はなとやさい」を毎月お届け!

花と野菜はもちろん、果樹、山菜など、多岐にわたる植物の育て方や新品種情報、さらにガーデンデザインや土づくり、病害虫防除等々…、
花作りと野菜作りに不可欠なさまざまなジャンルの情報を、季節に応じて毎月解説してきます。

POINT1

カタログ・ネット通販での
お買い物が10%割引!

※書籍・農園芸用品ほか、
一部対象外の商品を除く。

POINT2

商品購入額が
5,000円未満でも気にならない!
送料が無料に!

※一部農園芸用品に限り、
離島送料が必要な商品を除く。

POINT3

野菜勉強会など
タキイのイベントに
ご招待!

タキイ友の会に入会すると
その他にもうれしい特典がいっぱい!

友の会年会費(購読料)
1年間 2,400円(消費税・送料込)