アキレアAchillea spp.
キク科ノコギリソウ(アキレア)属
英名の「ヤロウ(Yarrow)」という名で、ハーブとしての方がよく知られているかもしれません。全草に薬効があり、強壮剤、鎮痙剤、抗炎症薬、消化促進など、さまざまな効能が知られています。ヨーロッパでは、中世から薬用植物として栽培されてきました。アキレアの名はノコギリソウのラテン名で、ギリシア神話に登場するアキレウスに由来し、彼がこの薬効を見出したといわれています。北半球の温帯を中心に100種以上が分布し、日本には、ノコギリソウとエゾノコギリソウの2種とそれらの変種が数種自生しています。和名は文字通り、葉にノコギリの刃のように細かい切れ込みが入ることによります。
近年、交配が進み、さまざまな花色が登場するようになって、ガーデンプランツとしても重要な存在となってきました。現在、園芸的に栽培されている系統は、ヨーロッパ原産のものですが、野生化するほど丈夫です。6〜7月にかけて小さな花がびっしりと円盤状に並んだ花序をつくり、初夏の花壇を華やかに彩ります。白、黄、赤など従来の色のほかにパステル調の色合いの園芸品種も登場し、青を除いてほとんどの花色が揃うので、いろいろな植物と組み合わせることができます。また、切り花にも用いることができ、ドライフラワーとしても長く観賞することができます。
セイヨウノコギリソウA. millefolium
- 高さ:60cm 広がり:60cm
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ヨーロッパからヒマラヤにかけての広い地域に分布し、多くの園芸品種の交配親ともなっている。花色は、白が基本色で、桃、赤色の花を咲かせる系統もある。
キバナノコギリソウA. filipendulina
- 高さ:100cm 広がり:45cm
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コーカサス〜中央アジア原産。セイヨウノコギリソウに比べ草丈が高い。葉は灰緑色で、花色は黄色。前種に比べてより小さな花をびっしりと密につける。日本では、本種が片親に使われている‘コロネーション・ゴールド’が普及しており、時に、キバナノコギリソウの名で流通することもある。
オオバナノコギリソウA. ptarmica
- 高さ:60cm 広がり:60cm
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ヨーロッパ、地中海沿岸地方原産で、日本では、変種のエゾノコギリソウが北部に自生する。丈夫で株はよく広がる。一見カスミソウを思わせる可憐な花の色は純白で、花茎は細くて直立せず、やや倒伏しながら伸びる。八重咲きの園芸品種がよく栽培される。
- ‘ペリーズ・ホワイト’‘Perry's White’
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今から100年近く前に発表された古い園芸品種。八重咲きで、ひと回り大きい花がびっしりと咲く。花期が長く、秋まで断続的に咲く。
アキレア セダクション・シリーズA. Seduction Series
- 高さ:30〜50cm 広がり:30cm
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最新の交配群の1つで、病気にも強く丈夫な系統。ほかの交配種ほど横には広がらないスラリとした印象の草姿。
- ‘サニー・セダクション’‘Sunny Seduction’
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花色:淡黄
アキレア トゥッティ・フルッティ・シリーズA. Tutti Frutti Series
- 高さ:30〜50cm 広がり:30cm
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最新の交配群の1つで、暑さ、乾燥に強く丈夫で花期も長い。
コンパクトな草姿だが、よく広がる。