毎回季節の草花をピックアップ。その特性を生かしたガーデンでの使い方を、相性の良い植物とあわせてご紹介していきます。通常友の会会員様しか読めない、月刊誌「はなとやさい」に掲載の記事となりますが、特別公開しますので、ぜひご覧ください。
英語の“オーナメンタルグラス”という言葉も、いつの間にかそのまま外来語として定着してきました。直訳すれば、「観賞用のイネ科植物」という意味で、派手な花は咲かせませんが、変化のある草姿や葉色、花穂や果実までが観賞の対象となり、春の芽出しから、霜が降りて枯れるまで、さまざまな表情で楽しませてくれます。最近では、カヤツリグサ科やイグサ科の植物など、イネ科以外のものでも、草姿が似ていれば、グラス類として一括りにされています。数多くの園芸品種が手に入るようになりましたが、その特徴、性質もさまざまです。多くは日当たりを好みますが、中にはウラハグサ(フウチソウ)やカンスゲ(カヤツリグサ科スゲ属)のように日陰を好むグラスや、イグサの仲間のように水の中に育つものもあります。
湿地生のイグサ科の植物、ジュンカス‘アフロ’。
ススキの仲間Miscanthus spp.
イネ科ススキ属
オーナメンタルグラスの代表的存在。もとは自生種なので、丈夫で放任でもよく育つ。斑や大きさの違いから数多くの園芸品種が選抜されている。
- シマススキMiscanthus sinensis ‘Variegatus’
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高さ:150p 広がり:100p
白斑が入り、遠目から、その白さが浮き立つ美しい品種。パステル調の花とよく合う。
よい組み合わせ:エキナセア、セイヨウニンジンボク
斑入り姫パンパスグラス
‘スプレンディッド・スター’ Cortaderia selloana ‘Splendid Star’
イネ科シロガネヨシ属
- 高さ:80〜100p 広がり:70p
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葉に黄色の斑が入り、花期以外でも楽しめる。従来種に比べ小型なので、一般家庭の庭にもよくフィットし、また、コンテナに植えてアクセント的にも利用できる。
よい組み合わせ:ヘレニウム‘マーディ・グラス’
カレックス・コマンス
‘ブロンズ・カール’Carex comans ‘Bronze Curls’
カヤツリグサ科カヤツリグサ属
- 高さ:40p 広がり:60p
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一見、枯れたようにも見えるユニークな赤褐色の葉が特徴的。こんもりとコンパクトにまとまり、花壇でほかの植物と組み合わせたり、コンテナに単独で植え込んで玄関先に飾ったりしてもおもしろい。
よい組み合わせ:イトバハ
ルシャギク(コレオプシス)
Vムーン・ビーム’、ヘメロカリス淡黄花品種、カリオプテリス‘ウースター・ゴールド’、ダリア‘ミッドナイト・ムーン’、ヘレニウムVマーディ・グラス’
スティパ・テヌイシマ(エンジェルヘアー)Nassella tenuissima
イネ科ハネガヤ属
- 高さ:60p 広がり:50〜60p
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旧学名のスティパ・テヌイシマで知られているが、現在の正式な名前はナセラ・テヌイシマ(Nassella tenuissima)。常緑で、細かい葉が霧のように広がり、繊細なイメージを花壇に醸し出す。華やかな花と組みわせるとよい。
よい組み合わせ:エキナセア、ヘメロカリス、ロシアンセージ
パニカム・ヴィルガータムPanicum virgatum
イネ科キビ属
- 高さ:100〜170p 広がり:40p
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北米に広がる大草原に自生するグラス。たいへん丈夫で日本でもよく育つ。横に広がらず直立するので、あまり場所をとらないが、背はよく伸びるので、場合によっては一度地際で切り戻すとよい。いくつもの品種が流通しているが、青色の葉が美しい‘ヘビーメタル’や‘プレーリースカイ’がおすすめ。
よい組み合わせ:エキナセア、セイヨウニンジンボク、ヘリオプシス、カクトラノオ、モナルダ、キキョウ白花、ソリダゴ
フェスツカの仲間 Festuca spp.
イネ科ウシノケグサ属
- 高さ:30p 広がり:30p
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小型で針のような細くて青い葉が魅力的なグラス。色、草姿がよく似たコーレリア・グラウカ(Koehleria glauca)も
丈夫で、おすすめのグラス。
よい組み合わせ:ベロニカの仲間、サルビア・ネモローサ、ニガヨモギ
ペニセタムの仲間 Pennisetum spp.
イネ科チカラシバ属
あまり背は高くならず、コンパクトに収まるグラスで、支柱も必要ない。日当たりを好む丈夫なグラス。
- ペニセタム・セタケウム‘ルブラム’ Pennisetum setaceum‘Rubrum’
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高さ:90p
広がり:60p
パープル・ファウンテン・グラスの名前で流通。暑さに強く、濃赤紫の葉と花穂は長期間にわたって楽しめる。寒さに弱く、越冬には5℃以上必要。
よい組み合わせ:センニチコウ、サルビア
・レウカンサ、メランポディウムほか多数。
- ペニセタム・ビローサムPennisetum villosum
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高さ:60p 広がり:45p
ギンギツネの名で流通することがある。白い羽毛のような花穂が特徴的。マイナス15℃前後までの寒さに耐えられる。
よい組み合わせ:イトバハルシャギク(コレオプシス)‘ザグレブ’