トップ > 花のひろば > 特性を生かして 宿根草と球根のGarden Design
トップ > 花のひろば > 特性を生かして 宿根草と球根のGarden Design

特性を生かして 宿根草と球根のGarden Design

特性を生かして 宿根草と球根のGarden Design特性を生かして 宿根草と球根のGarden Design

毎回季節の草花をピックアップ。その特性を生かしたガーデンでの使い方を、相性の良い植物とあわせてご紹介していきます。通常友の会会員様しか読めない、月刊誌「はなとやさい」に掲載の記事となりますが、特別公開しますので、ぜひご覧ください。

vol.4

エキナセア

エキナセアEchinacea spp.
キク科ムラサキバレンギク属

夏の花壇を華やかに彩るエキナセアの仲間は、北アメリカ中央部から東部にかけて広がるプレーリー(大草原)を中心に9種が分布しています。アメリカの先住民は、身近にあったこの植物の葉や根を薬用に利用してきました。日本へは、昭和初期に観賞用として導入されましたが、現在では、免疫効果を高めるハーブとしての方が、よく知られているかもしれません。属名でもあるエキナセアの語源は、ギリシャ語で「ハリネズミ」から来ており、花の中央部分がトゲ状に盛り上がっていることに由来します。
かつては桃色と白色の2つの花色しかなく、花壇で幅を利かせるようなことはありませんでした。ところが、アメリカで10年ほど前から育種が盛んになり、特にエキナセア・パラドクサという黄花の種を育種に使うようになって、黄や橙色、二色咲きの品種までもが作出され、いっきにバリエーションが広がり、今いちばんホットな宿根草の1つとなっています。
6月の下旬ごろから数カ月にわたって、暑さに負けず大きな花を次から次へと咲かせ、夏の花壇になくてはならない宿根草といえるでしょう。品種によっては、花に甘い香りがあります。切り花はもちろんのこと、花後も残る花序は、ドライフラワーとしても利用できます。

原種

ムラサキバレンギク
(エキナセア・プルプレア)
E. purpurea
ムラサキバレンギク(エキナセア・プルプレア)
E. purpurea

草丈:50〜120p 広がり:40〜50p
花色:淡赤紫
原産地:北アメリカ東南部

ムラサキバレンギクの名は本種に与えられており、古くから園芸的に栽培されてきた。現在、普及している数多くの園芸品種の基となった種。ほかの種と少し性質が異なり、比較的水分を欲しがり、また、ある程度の日陰にも耐える。

エキナセア・パラドクサ
E. paradoxa
エキナセア・パラドクサE. paradoxa

草丈:60〜90p 広がり:40〜50p
花色:黄
原産地:北アメリカ南部

この種が交配に利用されるようになって、さまざまな園芸品種が生まれた。プレーリーの乾燥地に自生し、ムラサキバレンギクよりも日当たりと水はけがよい場所を好む。外弁は下垂する。(写真なし)

園芸品種(一重咲き)

ムラサキバレンギク‘ファタルアトラクション’
E. purpurea ‘Fatal Attraction’
ムラサキバレンギク‘ファタルアトラクション’E. purpurea ‘Fatal Attraction’

草丈:50〜60p 広がり:30〜45p
花色:濃桃紫

濃茶褐色の花茎と花とのコントラストが美しい。外弁は下垂せずに、ピシッと水平に伸びて端正な花姿をしている。

エキナセア‘グリーンジュエル’
E.‘Green Jewel’
エキナセア‘グリーンジュエル’E.‘Green Jewel’

草丈:50〜60p 広がり:30〜45p
花色:淡黄緑

やや小型で、涼しげなライム色の花にはほのかに甘い香りがある。

園芸品種(八重咲き)

ムラサキバレンギク‘ピンクダブルデライト’
E. purpurea ‘Pink Double Delight’
ムラサキバレンギク‘ピンクダブルデライト’E. purpurea ‘Pink Double Delight’

草丈:40〜50p 広がり:40p
花色:桃

多花性でよく分枝する。ほかの品種に比べて小型だが開花期間は長い。

ムラサキバレンギク‘ココナッツライム’E. purpurea ‘Coconut Lime’
ムラサキバレンギク‘ココナッツライム’E. purpurea ‘Coconut Lime’

草丈:50〜60p 広がり:40p
花色:淡黄緑

白色系で最初に紹介された八重咲き品種。多花性でよく分枝する。

エキナセア‘ホットパパイヤ’E. ‘Hot Papaya’
エキナセア‘ホットパパイヤ’E. ‘Hot Papaya’

草丈:60〜70p 
広がり:40〜50p
花色:橙紅

今年紹介された最新品種。珍しいオレンジ色の八重咲き種。生育旺盛で花茎はよく伸びる。

ガーデンでの使い方

株元から真っ直ぐ上に花茎を伸ばして花を咲かせるので、場所をとらずせまい庭でも活躍します。株が小さい間は、何株かをグループにした方が、ボリュームが出て見栄えがします。
さまざまな組み合わせ方が考えられますが、まずはロシアンセージを隣に置いてみましょう。花期や、生育環境が似ており、どっしりとした花のイメージのエキナセアに対して、ロシアンセージの繊細な花は、花壇の中で花色のみならず質感にも変化をもたらしてくれて相性は抜群です。そして、スティパ・テヌイシマ(流通名:‘エンジェルヘアー’)やパニクムなどのグラスとの組み合わせは、野趣に富む自然風植栽の演出にぴったりです。まずはこれら2つをメインにしながら、次に挙げる例を参考に徐々に組み合わせの幅を広げていきましょう。

〔使用している植物〕

  1. シマススキ
  2. バーベナ・ボナリエンシス
  3. パニクム‘ヘビーメタル’
  4. サルビア‘インディゴ・スパイアズ’
  5. ロシアンセージ
  6. カリオプテリス・クランドネンシス
    ‘サマーソルベット’
  7. ムラサキバレンギク(エキナセア・プルプレア)
  8. スティパ‘エンジェルヘアー’
  9. キキョウ
  10. エキナセア‘ハーベストムーン’

淡いパステル調の色合いは、どの植物とも合わせやすいので、失敗を恐れずにどんどんいろいろな花と組み合わせましょう。

(1)桃色系のエキナセア

バーベナ・ボナリエンシス、サルビア‘インディゴ・スパイアズ’、サルビア・グァラニチカなど、青、もしくは紫色の花がよく合います。白斑のシマススキと組み合わせると、桃色の花がよく引き立ちます。

(2)白、ライム系のエキナセア

黄色と青色のコンビネーションに組み合わせると、明るいイメージのデザインになります。前述のサルビアに加えて、黄色のヘメロカリス、ヘリオプシスなどとの組み合わせは、夏の花壇をさわやかに彩るでしょう。

(3)黄、橙色系のエキナセア

青や紫色系の花と組み合わせると、コントラストが効いて元気なイメージになります。また、思い切って銅葉のカンナやニューサイラン、ペニセタム‘ルブラム’などと組み合わせて、トロピカルなイメージにしてもおもしろいでしょう。

エキナセアと相性のよい植物

青紫

アンゲロニア
  • アンゲロニア
  • キキョウ
  • サルビア‘インディゴ・スパイアズ’
  • サルビア・グァラニチカ
  • サンジャクバーベナ

イトバハルシャギク‘ザグレブ’
  • イトバハルシャギク‘ムーン・ビーム’
  • イトバハルシャギク‘ザグレブ’
  • セイヨウノコギリソウ
  • ヘリオプシス
  • ヘレニウム
  • ルドベキア

桃・赤

ペンステモン
  • モナルダ
  • ユウゼンギク
  • ペンステモン‘ルビー・レース’

ガウラ
  • アンゲロニア
  • ガウラ
  • リアトリス

カラーリーフプランツ

カリオプテリス・クランドネンシス‘サマー・ソルベット’
  • カリオプテリス・クランドネンシス
  • ‘サマー・ソルベット’
  • ニガヨモギ

グラス類

シマススキ
  • シマススキ
  • スティパ・テヌイシマ(流通名:‘エンジェルヘアー’)
  • パニクム‘ヘビー・メタル’
  • パニクム‘プレーリー・スカイ’

エキナセアの栽培方法

  栽培適地

暑さ、乾燥に強く、日本の気候にもよく合い、あまり手のかからない丈夫な植物です。日当たりがよく、適湿地〜少し乾燥しがちな水はけのよい場所を選んで植え付けます。水はけが悪いと根腐れを起こしやすくなります。一旦根づけば夏季でも毎日潅水する必要はありませんが、極端に乾燥すると株が傷むので、日照りが続く時などは必要に応じてたっぷりと潅水します。
暖地など、暑さの厳しい地域では、午後、たとえ数時間でも日陰になる方が花色もあせず、また、より長く花を楽しむことができます。
寒さにはめっぽう強く、日本のどこに植えてもまったく問題はありません。

土づくり・施肥

植え付けの前には、ある程度の有機質を混ぜ込んだ方がよいのですが、あまり肥料を与えすぎると、倒伏したり、病気にもかかりやすくなったりします。葉色を見ながら施肥量を調節しましょう。
葉色が薄く(悪く)なったら肥料を与えます。

株分けはあまりしない

生長はあまり早くなく、株が充実するには少し時間がかかります。
3年ほど経てば株も張り、花数が増えて見事になりますので、頻繁な株分けは避け、できるだけ大株に仕立てるようにしましょう。

花がら摘み・切り戻し

咲き終わった花はすぐに摘み取ると開花期間が長くなります。また、品種によっては、花茎の途中の節の部分で切り戻すと、再び花茎が伸びて花を咲かせることができます。さらに、開花前に花茎を半分ぐらいに切り戻すことで、開花期を数週間ずらすこともできます。
冬は休眠して、地上部が枯れてなくなります。

月江 成人 (つきえ しげと)

ホルティカルチャリスト。潟vランタス代表。地域の景観と調和した、植物が主役の庭づくりを提案。2年前に山間の小さな町に移住。古民家再生と理想の庭をつくるべく日々奮闘中。兵庫県在住。

「はなとやさい」2009年10月号より

タキイ友の会に入会すると
こんな記事が毎月読めます!

園芸新知識 はなとやさい

タキイ友の会に入会すると、
家庭菜園とガーデニングの情報満載の月刊誌
「園芸新知識 はなとやさい」を毎月お届け!

花と野菜はもちろん、果樹、山菜など、多岐にわたる植物の育て方や新品種情報、さらにガーデンデザインや土づくり、病害虫防除等々…、
花作りと野菜作りに不可欠なさまざまなジャンルの情報を、季節に応じて毎月解説してきます。

POINT1

カタログ・ネット通販での
お買い物が10%割引!

※書籍・農園芸用品ほか、
一部対象外の商品を除く。

POINT2

商品購入額が
5,000円未満でも気にならない!
送料が無料に!

※一部農園芸用品に限り、
離島送料が必要な商品を除く。

POINT3

野菜勉強会など
タキイのイベントに
ご招待!

タキイ友の会に入会すると
その他にもうれしい特典がいっぱい!

友の会年会費(購読料)
1年間 2,400円(消費税・送料込)