いまや「桃太郎」といえばトマトの代名詞的存在。でも、「桃太郎」シリーズにはさまざまな特性をもった多くの品種があります。初めて大玉トマトを育てるなら、選びたいのは「ホーム桃太郎EX」。以前から「ホーム桃太郎」は家庭菜園で育てやすい品種として人気があったのですが、さらに葉かび病に対する耐病性(Cf9)がついたのが「ホーム桃太郎EX」です。葉かび病は土の中にある糸状菌によって起こされます。葉の表面に淡黄色の小さな斑点が生じ、病斑が拡大すると葉の大半を占めるようになり、成葉がほとんど枯死してしまうこともあります。そうなると着果不良や果実の肥大に不良が生じます。防除が手遅れになると苗ごとすべて抜いてしまわなければいけなくなることも。トマトにとっては命取りになりかねない病気なので、初めに耐性の強い品種を選んでおくことはとても重要です。
「ホーム桃太郎EX」は葉かび病への耐性が強いため、減農薬栽培も可能となります。せっかく自分で作るなら、できるだけ減農薬で、と考えている方にもぜひおすすめの品種です。もちろん、糖度と酸味のバランスがよく、とてもおいしいトマトです。
4月下旬〜5月中旬にかけては、夏の果菜類の苗の植え付け適期になります。今年から庭先に畑を設けて、またレンタル菜園で、菜園生活を始めようとしている方には、まさにスタートダッシュの時期です。その前に、植えるべき野菜を選んで、苗を入手しなくては!
そこで今回は、初めて野菜を栽培する人にもおすすめの品種をピックアップしてみました。せっかく野菜を育てるなら、おいしいのはもちろん、栽培管理が難しくない品種を選びたいものです。例えば同じ大玉トマトでも、病気に対する耐性は品種によって異なるので、耐病性の強い品種を選んでおくことはとても重要。病気が原因で、収穫までいかなかったり、あまり収穫できなかった場合ほど、野菜を育てていて悲しいことはありませんから。
特に、夏の畑の主役ともいえるトマト、キュウリ、ナスについては、初めての栽培に適した品種を選んで、より確実に収穫できるよう準備しておきましょう。
それぞれの野菜の栽培ポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
初めてトマトを栽培する方におすすめなのが中玉トマトです。小さい方がつくりやすいとミニトマトを選ぶ人も多いようですが、じつは栽培のしやすさでは中玉トマトが一番容易でしょう。中玉トマトは、栽培しやすいだけでなく、使い勝手も抜群。生でそのまま食べるにもほどよいサイズで、味が濃厚な品種が多いので、パスタソースなど煮込み料理にも適しています。特にこの「フルティカ®」は中玉トマトの中でも群を抜く糖度の高さ! 果皮の歯切れがよく、食感が滑らかなので、糖度以上に甘く感じられます。裂果が少なく、露地栽培で作りやすく、葉かび病への耐性ももっています。サイズがほどよく、とても美味ということで、直売所などでも人気の高い品種です。
ミニトマトの人気品種「千果」のオレンジ品種。つややかなオレンジ色がとても美しく、料理の彩りが豊かになります。「オレンジ千果」は生育初期から草勢がおとなしく、異常主茎の発生が少ない特徴があるので草勢管理が手軽にできます。家庭菜園でも作りやすく、初めてミニトマトに挑戦する方には最適の品種です。葉かび病や斑点病への耐性をもつので、病気に対する心配も軽減。糖度が高いので、おやつ感覚でそのまま口に入れてもおいしさを堪能できます。従来のミニトマトの3倍のカロテンを含み、機能性においても優れた品種です。
苗の植え付け適期は4月下旬〜5月上旬です。苗の植え付け後にはたっぷり水やりしますが、その後はやや乾燥ぎみに管理するのがポイント。水はけが悪い畑では畝をやや高めにしておくなど排水性を高める工夫をするとよいでしょう。
たくさん収穫するには、草丈が高くなっても着果させることがポイント。3段めくらいまでは順調に実がつきますが、そこから上にも着果させるには、わき芽かきを続け、主枝を10段以上になるくらいまでしっかり伸ばします。草丈が高くなっても倒伏しないよう、長めの支柱を立てておくとよいでしょう。
家庭菜園はもちろん、プロの農家でも定番品種として人気の「夏すずみ」が、ウイルス病への耐性をよりパワーアップしたのが「VR夏すずみ」です。感染したウイルスの種類によって症状は異なりますが、新葉に淡い黄色の斑点が生じるモザイク病(ZYMV)への耐性が強く改良された品種です。ウイルス病の感染が拡大すると、株ごととりのぞかなければならなくなるので、耐性の強い品種を選んでおくことはとても重要です。「夏すずみ」同様、歯切れのよい肉質でみずみずしく味は抜群。長期にわたり、安定してたくさん収穫できます。
苗の植え付け適期は4月下旬〜5月上旬です。キュウリは水で育つといわれるほど水分を欲するので、降雨量の少ない時期はたっぷりと水やりすることが大切です。つるが支柱にからまり、どんどん伸長するので、支柱を合掌型に組んでしっかり支えるようにします。
キュウリは生育が旺盛で次から次へと実がなります。トマトやナスより収穫のスタートは早いので、収穫期の果実を取り逃さないように注意してください。収穫適期を過ぎると実が肥大して樹がエネルギーをとられてばてやすくなるので、こまめに収穫することが大切です。
日本のナスの定番ともいえるのが長卵形の「千両二号」。でも、ナスのへたの部分や茎にはトゲがあり、作業する際には手袋をしないとトゲで手が傷つくことも…。その扱いにくさを改良したのが「とげなし千両二号」です。植物全体にトゲがないので、作業時も安心。また、収穫後、調理する際にもトゲで「痛い!」となることもありません。「千両二号」同様、長期にわたり収穫できます。果皮がやわらかく、漬物、煮物、焼き物とさまざまな料理に利用できます。
苗の植え付け適期は4月下旬〜5月中旬です。ナスは根を深く伸ばすので、畑づくりをする際は、深めに耕して肥料を施しておくことがポイントです。また、ナスもキュウリ同様「水で育つ」といわれる野菜なので、降雨量の少ない時期はたっぷりと水を与えるようにします。
ナスは葉が大きく、枝を広げるようにして生長します。支柱は初めは1本を斜めに立てておき、草丈が高くなってきたら2本をV 時に交差させる形に立て替えて、株をしっかり支えるように組み直すのがおすすめです。ナスは風に弱く、倒伏しやすいので、支柱の組み直しは重要なポイントです。
「ピーマンは苦いから嫌い」。そんな常識を覆す新しいピーマンです。苦みがないどころか甘みもあり、ピーマン独特のにおいも少ないので、生のままサラダに加えてもおいしく食べられます。スマートな形も新鮮でキュート。着果がよく、たくさん収穫できるのも魅力。直売所でも人気の品種です。
シシトウよりサイズが大きく、甘いトウガラシです。辛味果の発生が少ないので、食べてびっくりという心配も少なくなりました。草勢が強めでたくさん分枝するので、収穫量もたっぷり。曲がり果の発生も少なく、まっすぐな大きな実を収穫できます。そのまま焼くだけで、酒の肴として絶品!