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トロピカルフルーツを作ろう

真夏の暑さにも負けず、元気いっぱいに枝葉を伸ばすたくましい姿が魅力のトロピカルフルーツ。 ベゴニアってどんな花?ベゴニアの楽しみ方ベゴニアの育て方おすすめベゴニア!

マンゴーは緑黄色野菜に匹敵するほどカロテンを多く含み、ミネラル、ビタミン、食物繊維が豊富な果物です。100以上の種類がある中で、インド系のアップルマンゴーと東南アジア系のイエローマンゴーに大別できます。家庭で栽培しやすいのは、インド系のアップルマンゴーで、品種名のはっきりした接ぎ木苗がおすすめです。

●栽培ポイント

<植え付け>
鉢は10号以上、または80〜の培養土が入る大鉢を選びます。とにかく水はけのよい環境をつくることがポイントで、鉢底網を敷いた後、水はけをよくするためにゴロ土を入れます。完熟堆肥と市販の培養土をブレンドした土を用いて根鉢を崩さずに植え付け、日当たりのよい場所に置きましょう。冬は日当たりのよい室内に取り込んで、夜温が10℃前後になる場所で管理します。1〜2年は株を充実させることに努め、3年目以降から収穫を楽しみます。

<水やり>
表土が乾いたらたっぷりと与えます。乾燥を嫌うので、夏場は特に水切れしないように注意しましょう。

<施肥>
2月、5月、7月、9月の年4回、IB化成肥料を1鉢につき25g(1回当たり。年間合計100g)与えます。

<1年目の管理>
植え付け後、地上部から50pの高さで切り戻します。たとえ花が咲いて結実していても、樹姿が乱れる原因になるので、躊躇せず切ることが大切です。切り戻した先端から数本の新梢が発生するので、2〜3p伸びたところで、バランスを見て3本を残して間引きます。残した3本の主枝から発芽するものは、すべて摘芯しましょう。また、その周りから多くの芽が発生するので、その中から充実した芽を3本残し、ほかはすべてかきとります(ここまでに発生させた枝は9本)。

<2年目以降の管理>
冬越しして春になると、9本の枝から芽が出ますが、それらは摘芯し、再び伸びた芽を3芽だけ残して間引きます。こうして、27本の枝をもつ樹形に完成させます。

<花芽の管理>
花芽は2月ごろから動きますが、開花結実には20℃以上の温度が必要なので、この時期の花芽はすべて切除します。4月下旬〜5月初旬に発生した花芽を残しますが、27本すべてに開花結実させては樹がもたないので「葉数50枚に1個」を目安に間引いて調整しましょう。伸びてきた花穂は重さで垂れ下がるので、支柱を立てて、地面に着かないようにひもで吊ります。開花後は雨の当たらない場所で管理し、枝を軽く揺すって受粉を促します。

<摘果>
多くの花が咲きますが、着果した果実がソラマメ大になったところで、1〜2個だけ残し、ほかはすべて切除します。その後、ミカンネットに枝ごと実を入れて、首の部分を支柱に吊ります。

<病害虫>
主に炭疽病やハダニ、カイガラムシなどが発生するので、春先に登録のある薬剤を散布して防除します。

<収穫>
開花から90〜100日で完熟しますが、ネットの中で自然に落下するのを待ちましょう。収穫後、2〜3日は直射日光の当たらない涼しい場所に置いて追熟させた後、冷やしていただきます。収穫後、翌年の収穫量を増やすために、すべての枝を2節残して切り戻しておきましょう。

マンゴーの栽培データ

仕立て方

摘果後の誘引


ライチは中国南部が原産で、温暖で多湿な環境を好みます。多汁で甘みが強く濃厚な風味があり、ビタミンCやカリウム、銅を多く含んでいます。

●栽培ポイント

<植え付け>
6号以上の鉢を準備し、鉢底網を敷いてゴロ土を入れます。草花用培養土に赤玉土または真砂土を等量ブレンドした土を用い、根鉢を崩さずに植え付けます。

<置き場所>
1年を通して日当たりのよい場所で管理しますが、夏場は高温下に置くと生育が悪くなるので、日陰や軒先などに移動し、遮光します。
また、年中暖かい場所では花が咲かないので、1〜2月の2カ月は最低気温が8℃程度になる場所に置くのがポイントです。それ以外の冬季(11〜12月、3月)は12℃以上で管理すると、花芽が上がってきます。

<水やり>
表土が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えます。特に真夏の乾燥期には注意。水切れすると根が十分発生できず、極端な場合は落葉してしまいます。

<施肥>
かんきつ向けの肥料(N:P:K=10:5:4)を、晩春、初夏、盛夏の3回に分けて、1鉢につき、1年目は10gずつ、2年目以降は20gずつ施します。

<仕立て方>
植え付け後1〜2年は樹形作りに徹し3本仕立てにします。マンゴーの「1年目の管理」「2年目以降の管理」に準じますので、そちらを参照してください。

<病害虫>
ハダニ類、カイガラムシ類、アブラムシ類が発生しやすく、夏場に2カ月に1回、登録のある薬剤を散布すると効果的です。

<収穫>
開花から約180日後、果実が褐色になって完熟したら収穫します。収穫が終わったら、すぐに翌年の結果母枝が早く充実するように半分程度の長さで剪定しましょう。着果せずに長く伸びた枝も剪定し、結果母枝となるように仕立てます。最後にお礼肥として、かんきつ向けの肥料(N:P:K=10:5:4)を1鉢につき20g与えて水やりしてください。

<植え替え>
3年目に10号鉢、または80リットルの培養土が入るコンテナに植え替えます。

※N=チッソ、P=リン酸、K=カリ
施肥については表記の成分量に近い肥料をご使用ください。

ライチの栽培データ

ライチの種子と花

植え付け

収穫後の剪定


ドラゴンフルーツは着生サボテンの一種で、太平洋側の中央アメリカ諸国や南メキシコなどの熱帯地区が原産地です。月下美人に似た花がとても美しく、なぜか真夏の満月の夜に開花するという、不思議な魅力を秘める植物です。 味は淡泊ですが、若干キウイフルーツに似た甘酸っぱさがあります。ビタミンCを特に多く含むほか、ポリフェノールや食物繊維も豊富に含みます。

●栽培ポイント

<植え付け>
鉢の大きさの目安は7〜8号鉢で、できれば通気性のよい素焼き鉢がおすすめです。鉢底網を敷いてゴロ土を少し入れた後、サボテン用の培養土に赤玉土を30%混ぜた土を入れ、根を四方によく広げて植え付けます。日当たりのよい場所に置き、冬は日の差す室内へ取り込んで、7℃以上で管理しましょう。

<水やり>
2〜3日に1回、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。特に夏は水切れしないように多めに与えましょう。反対に、冬は1週間〜10日を目安に、乾いたら与える程度にし、乾燥ぎみに管理します。

<施肥>
新芽が出たら、化成肥料(N:P:K=10:10:10)を1鉢につき20g程度施します。その後は1〜2カ月に1回、有機肥料を一つまみ程度施します。

<誘引>
新芽が出る前には、鉢の真ん中に1・5m程度の支柱を立てます。最初の新芽が出てきたらその1本だけを上に誘引し、支柱の高さになるまで伸ばします。

<摘芯>
支柱の高さまで伸ばした後は、垂れ下がるように仕立てます。先端から伸びた新芽を4〜5本ほど伸ばし、それぞれの枝が約1m伸びた後、3節目で摘芯します。

<病害虫>
特に心配ありません。

<収穫>
春先に出た芽を毎年全部摘むと蕾が出て、その2〜3週間後、夜に開花します。筆先に花粉をつけて人工受粉するとより確実に実ります。開花から1カ月半〜2カ月半で完熟します。果皮が緑から赤になって約10日後が収穫の目安です。 収穫後、3節の元まで1芽残して切り戻しておきましょう。

※N=チッソ、P=リン酸、K=カリ

ドラゴンフルーツの栽培データ

ドラゴンフルーツの花

植え付け

仕立て方


ジャボチカバの原産地はブラジル南部で、「ブラジリアングレープツリー」の別名をもっています。幹に白い花が咲いた後、ブドウの「巨峰」に似た果実がつく、ユニークなフルーツです。完熟果を口に入れると、ブドウのようなジューシーな甘さが口いっぱいに広がります。果実にはビタミンCやカリウムなどが多く含まれています。

●栽培ポイント

<植え付け>
8号以上の大鉢を用意し、鉢底網を敷いてゴロ土を入れます。市販の培養土に完熟堆肥を多めにブレンドした土を入れて、根鉢を崩さずに植え付けます。日当たりのよい場所に置き、冬はできるだけ日中の温度が15℃以上になる室内で管理しましょう。霜に当たると枯れることがあるので注意します。

<水やり>
表土が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えます。乾燥を嫌うので、特に真夏の乾燥期の水切れには注意。

<施肥>
1年を通して、樹に勢いが見られなくなったら油かす、骨粉を混ぜたボカシ肥料を1鉢につき20g程度施します。

<剪定>
主幹形を作るように、内側に伸びる枝や込み合った枝を間引き、樹冠内部に日が当たるようにします。また鉢で栽培しやすいよう、適度な高さで剪定して頭を抑えます。

<摘果>
特に必要ありません。

<病害虫>
アブラムシやカイガラムシがつく程度です。早春に登録のある薬剤を散布し、防除します。また、生長の過程で幹の皮がはがれ、そのままにしておくと虫が卵を産んで温床になりやすいので、その都度はがしておきましょう。

<収穫>
開花から約60日後、完熟したものを摘みとります。完熟して真っ黒になった果実を軽くもち上げると、幹から簡単にとれます。

<植え替え>
植え付けて5年以上経ったら、10号以上の鉢に植え替えます。

ジャボチカバの栽培データ

ジャボチカバの実

植え付け

整枝

収穫と幹の手入れ

大森 直樹

1958年生まれ。岡山大学自然科学研究科修士課程修了。岡山県赤磐市にて果樹種苗会社を営むかたわら、家庭園芸としての果樹栽培の研究を行っている。