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サマープランツ

サマープランツ

楽園生まれの植物は日本で楽しめる期間が意外に長い

  皆さんは、「楽園」という言葉でどんな風景をイメージするでしょうか?青い空、青い海、大きなヤシの木や、美しい花が咲き誇っている、そんな風景ではないでしょうか。それはまさに熱帯・亜熱帯地域の風景で、気候的に寒い所よりも温暖な地域をイメージする人が多いと思います。そんな楽園のような熱帯・亜熱帯の地域には、魅力的な植物がたくさんあるため、日本にもさまざまな種類が導入され栽培されています。
  サマープランツとは、そんな楽園から来た熱帯・亜熱帯原産の植物で、暑い夏にこそ元気に育ち、魅力を発揮してくれる植物です。これらを上手に育てたり、利用したりすることができれば、暑い夏をもっと楽しむことができるでしょう。日本の場合、5〜10月まで約半年間も温暖で、熱帯植物がよく育つ気候です。そういった意味でもサマープランツをよく知り、使いこなせるようになるメリットは大きいといえるでしょう。
  とはいえ最近、日本の夏の暑さはますます厳しさを増しています。「日本の夏は熱帯より暑い」という言葉通りで、「ハワイに避暑に行く」という冗談もあながち外れてはいません。厳しい暑さも考慮しながらサマープランツを使いこなしていければ、園芸ライフは一段と充実するでしょう。


  サマープランツとして、真っ先に思い浮かぶのがハイビスカスでしょう。水と肥料、日光を好む植物で、条件が揃う温室などではほぼ周年花を咲かせます。ハワイやマスカレン諸島などの原種をもとに交配して作られた多くの園芸品種があり、これらを一般的にハイビスカスと呼んでいます。品種が非常に多いため、在来系、ハワイアン系、コーラル系と3つの系統に分けることもあります。
  在来系は最も丈夫な系統で、花つきもよいですが、花色の幅は多くはありません。
  ハワイアン系は、花色が群を抜いて多岐にわたり、大輪で最も豪華な花を咲かせますが、性質的にやや弱いため、在来系の品種に接ぎ木をして栽培されます。
  コーラル系は、フウリンブッソウゲ(Hibiscus schizopetalus)の血を引く系統とされ、細長い枝をよく伸ばしその枝先に枝垂れるように花をつけます。

  用土は肥沃で水はけのよいものを用います。春〜秋は、屋外の日当たりのよい場所に置きます。冬は最低気温が10℃を下回る前に室内に取り込み、明るい窓辺などで管理してください。
  水と肥料を好むので、春〜秋の生育期は鉢土の表面が乾いてきたらたっぷり水やりし、肥料も切らさずに与えます。新しく伸びた枝先に花を咲かせる性質があるので、この時期に水や肥料が不足するとせっかくの花がうまく咲かなくなってしまいます。冬は生育を休止するので、鉢土を乾かしぎみにします。病害虫は、アブラムシやカイガラムシ、ハマキムシなどに注意が必要です。見つけ次第駆除してください。


レモンフラミンゴ フウリンブッソウゲ ジェネビー
レモンフラミンゴ フウリンブッソウゲ ジェネビー

淡黄色の花びらと中心部の赤のコントラストが美しい。

風鈴のようにぶら下がって咲く姿が個性的。

淡桃に中心部が濃桃色の花が上向きに咲く。

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ギンガ ピンクアイス ホワイトバタフライ ピンクバタフライ
ギンガ ピンクアイス ホワイトバタフライ ピンクバタフライ

花径8〜9cmのオレンジ花で花つきがよく、真夏でもよく咲き続ける。

濃淡ある桃色花弁と黄色の花柱が美しい品種。

涼しげな印象の純白花。

透明感のあるピンクが人気。


  アブチロンは、ハイビスカスと同じアオイ科の植物です。ハイビスカスのような華やかさや豪華さはありませんが、うつむき加減にふんわり咲く愛らしい花は日本人好みだと思います。ブラジル南部原産で、半つる性となるメガポタミクム(Abutilon megapotamicum)=ウキツリボクと、低木でさまざまな花色があるヒブリドゥム(A. hybridum)の園芸品種が一般的です。周年開花性があり、かわいい花を次から次へ長期間咲かせる優れものです。
  比較的寒さに強く冬越しは容易ですが、暑さにやや弱い性質があり、35℃以上の高温は嫌うので、猛暑が続くような場合は暑さ対策をするとよいでしょう。
  最近は矮性で花つきがよい物や、花を横向きに大きく広げる品種なども開発され、人気を得ています。

  用土は肥沃で水はけのよいものを用います。基本的に日当たりのよい場所で管理しますが、夏の強い西日は避け、冬は直接霜の当たらない場所に置くようにします。ウキツリボクは、寒冷地以外では戸外で越冬します。
  春〜秋の生育期は鉢土の表面が乾いたらたっぷりと水やりします。冬は生育を休止するので、鉢土を乾かしぎみに管理します。肥料は春〜秋の生育期に2カ月に1回程度、緩効性のものを与えます。
  病害虫は、アブラムシやハマキムシ、オンシツコナジラミなどに注意が必要です。また、夏に立ち枯れ病が出やすいので注意します。根詰まりした株は、夏に弱りやすいので、生育初期の5〜6月ごろに植え替えを行いリフレッシュするとよいでしょう。


ピンクカメレオン 姫りんご ひこ星 初恋
ピンクカメレオン 姫りんご ひこ星 初恋

黄オレンジ〜ベージュ、ピンクへ咲き移る花色がユニーク。ガクは寒期に赤くなる。

鮮やかな赤色の花がたくさん咲いて華やか。

淡黄色の小輪花。弁外に出るシベが可愛い。高さ30〜80cmの矮性種。

花弁の先端がほんのりと濃いオレンジ色に染まってとてもキュート。


  ツンベルギアは、アジアやアフリカの熱帯地域に約90種分布しています。多くはつる性、または低木ですが、宿根草となるものもあります。この仲間は周年美しい花を咲かせる種類が多いので、観賞用として世界各地で栽培されています。
  グランディフロラ(Thunbergia grandiflora)は、つる性で「ベンガルヤハズカズラ」の別名があります。さわやかな淡青色の大きな花を房状につけ、とても見応えがあります。葉も大きく、下向きに密につき、勢いよくつるを伸ばすため、緑のカーテンにも最適です。
  「サンダンス(T. ‘Sundance’)」は、つる性で黄花の園芸品種です。小輪ながら鮮黄色の花を次々と休まずに咲かせてくれます。
  バッティスコンベイ(T. battiscombei)は、比較的新しく導入された種類で、宿根草となります。春〜秋まで濃紫色の花を房状に次々と咲かせるので、夏花壇材料として大いに期待できます。冬は地上部を枯らして休眠します。

  用土は肥沃で水はけのよいものを用います。春〜秋は、戸外で日光のよく当たる場所に置きます。バッティスコンベイは耐寒性があるので、寒冷地以外では冬も戸外でかまいません。ベンガルヤハズカズラは弱い霜程度には耐えるので、軒下などに移動すれば越冬する可能性もあります。寒さに弱いものは室内の明るい場所で越冬させます。
  春〜秋の生育期は、鉢土の表面が乾いてきたらたっぷり水やりします。夏は特によく乾くので水切れさせないように注意します。肥料も生育期に、1〜2カ月に1回、緩効性のものを与えます。病害虫は、風通しの悪い場所ではハダニが発生します。また、新芽にアブラムシがつくことがあるので、見つけ次第駆除します。


バッティスコンベイ ベンガルヤハズカズラ サンダンス
バッティスコンベイ ベンガルヤハズカズラ サンダンス

鮮やかな濃紫色が涼しげで美しい。

ベンガル地方原産の常緑つる性植物。

周年開花性があり、春から秋まで花を楽しめる。

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  ナガホソウの仲間は、熱帯・亜熱帯アメリカに約90種分布することが知られています。日本では夏の花ものとして、本種と近縁のチリメンナガホソウという紫花の種類が出回ったことがあります。ランタナと同じ科に属するためか、「ホザキランタナ」という名前で呼ばれることもあります。。
  「レッドコンパクタ(Stachy tarpheta ‘Red Compacta’)」は、近年導入された赤花の新しい品種です。従来のものと比べ節間が詰まりコンパクトな樹形となるため、長く伸びる花穂がより目立ちます。花穂は枝の先端につき、そこで枝分かれするため自然とこんもりとした姿となり、花数も増えていきます。夏のそよ風に長い穂が揺られる姿は、どこか涼しげで癒し効果も期待できます。

  用土は肥沃で水はけのよいものを用います。春〜秋は、戸外で日光のよく当たる場所に置きます。寒さには弱いので、最低気温が10℃を下回る前に室内に取り込み、できるだけ暖かい部屋で管理します。
  春〜秋の生育期は、鉢土の表面が乾いてきたらたっぷり水やりします。冬は生育を休止するので、水やりを控え、乾かしぎみに管理します。肥料は春〜秋の生育期に2カ月に1回程度、緩効性肥料を与えます。病害虫は、アブラムシやカイガラムシがつくことがあります。


ナガホソウ 「レッドコンパクタ」 ナガホソウ 「レッドコンパクタ」

ナガホソウでは珍しい赤花品種。
真っ赤な花が咲く長い穂が揺れる姿はとても優雅。



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  ディクソニア アンタルクティカ(Dicksonia antarctica)はオーストラリア東南部やニュージーランドに分布する木性シダで、「タスマニアン・ツリーファーン」とも呼ばれます。樹木のように幹を立ち上げてその上に優雅に葉を広げます。南国のジャングルムードを演出するのに欠かせない植物ですが、木性シダはその中でも抜群の存在感があります。しかもディクソニアは耐寒性が強く、寒冷地以外では戸外でも越冬するほどです。そのため扱いやすく、生長を楽しみながら長年栽培できる植物といえるでしょう。暑い夏にも次々と葉を展開する姿には、古代から生き抜いてきた強い生命力を感じます。

  用土は肥沃で水はけのよいものを用います。強風の当たらない明るい日陰に置きます。室内に置く場合は、風通しのよい明るい場所を選びます。
  春〜秋の生育期は毎日、頭から株全体に水がかかるように水やりします。幹が立ち上がっているものは、幹の周りに根が張っているので、幹にもよく水をかけてやります。冬、寒さで葉がすべて枯れてしまった株は、鉢土の表面が完全に乾く前に水やりする程度でかまいません。肥料は、5〜10月の間に2カ月に1回程度、緩効性肥料を与えます。病害虫は、風通しが悪い場所ではカイガラムシがつくことがあります。


タスマニアンツリーファーン タスマニアンツリーファーン

オーストラリア原産の木性シダ類。寒さにあうと葉は枯れるが、室内では周年観賞可能。水を好むため、乾かさないように注意し、潅水時は頭から株全体にかける。



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タキイ研究農場 尾崎 忠

尾崎 忠
帝京大学経済学部卒業後、某公園施設メーカーで営業を学んだ後、2000年に実家の熱帯植物専門ナーセリーに入社。現在2代目として奮闘中!たくさんの熱帯植物に囲まれ、いつでもそれらに触れることができるのは最大の喜びだそう。