ブドウ特集
放任で、野趣に富んだ楽しみ方もよいですが、最初の2年間の管理さえ間違わなければ、翌年以降の管理は信じられないくらいに楽になります。2年間は何とか我慢して基本に忠実な栽培を試みてください。
ブドウはつる性の永年果樹です。原産は雨の少ない中央アジア地帯で、日本の気候と比較すると、年間の降水量が3分の1程度と少なく、また日光が強いのが特徴です。そんな生い立ちをもつブドウは、雨や湿度が大嫌いです。農家がブドウ栽培を行う場合はほぼ100%、簡単な雨よけやビニールハウス、ガラスハウスを利用します。家庭園芸の場合、大掛かりなものは無理でも、軒下やカーポートを利用する、鉢植えで雨に当たらないように移動させる、などの工夫をすれば栽培は十分できます。
枝のどこに結実するかが分かれば、どんな仕立て方でも栽培可能です。
ブドウはその年に延びた新梢の3節目、4節目に花穂がつき、5月下旬から6月上旬に開花結実します。
つるは、そこから先の7節目につき、1節おいて節続きでつるがついていき、それが新梢の伸長に従って連続していきます。
ただし、花穂は細くて充実していない枝にはつかず、鉛筆ほどの太さのもの以上でなければつきません。
花穂、花房の整理でプロに負けない味の果実ができます。
ブドウの花穂は1000〜2000個の花が集合したものです。花を咲かせるためにはかなりのエネルギーを必要とするため、ついた花をすべて結実させることは無理ですが、早めに不要な部分を整理していくことで、余分なエネルギーの消費を抑えることができます。つるも花同様にエネルギーを使うため、早めに切除します。
家庭園芸では販売されているブドウのような整った逆三角形の形にとらわれず、おいしい果実を収穫することを目的にしてもらいたいので、糖度が高い花穂の肩部分の一部を残した整理の仕方をおすすめします。
肥料の過多は軟弱徒長を招くため、肥料より土づくりを優先します。
原産地は雨も少なく、土壌には肥料分もほとんどありません。雨が多いうえ、肥料も多く施されるとなれば、枝ばかりが伸びて結実しにくいだけでなく、結実しても裂果となったり病気に弱くなったりします。
かといって、露地栽培では雨を吸わせないようにすることは不可能なので、逆に枝をしっかり伸ばして樹を落ち着かせることで結実を安定させます。
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高さ1.5mの支柱を4 本立てる。 2本の枝から脇芽が発生する(副梢)。 副梢のうち枝元から勢いのよいものを1本ずつ残し、 それ以外の枝は1芽残して摘芯する。 残した枝4本をそれぞれ支柱に誘引する。 |
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落葉後、4本の支柱に誘引した枝のうち、根元に近い方から出た枝を2本残し、他の枝は摘芯し、残した枝はそれぞれ3芽で剪定する。 | 冬の剪定で残した2本から伸びてきた新梢のうち、勢いがよく、花房のついた枝を4本選び、支柱に誘引する。それ以外の枝は1芽残して摘芯する。 | |
- 収穫後、葉色が淡い時は油かすを50gほど施す。葉が落ちるまでは乾かさないように水やりをする。
- 落葉後は、根元に近い方から出ている枝2本を残し、それ以外は枝元で切除。残した枝は3芽ずつ残して剪定し、以降、春からの管理は1年目に準じる。その後の管理はこの繰り返しとなる。
- 春に伸びた枝のうち、勢いのよい1本を支柱に沿わせて伸ばす(他の枝は切除)。主幹が棚上10cmになれば誘引線の5cm下で摘芯する。
- 上2節から出た枝2本を主枝とし、50cmほど伸ばしたら誘引線に沿って横に誘引する。
- それより下に出た枝は2〜3葉で摘芯。
主枝から伸びた新しい枝は50cmほどになればすべて平行に誘引する。 |
- 主枝の根元から先端まで一斉に葉が出るのが理想的。
- 新しく伸びた枝が花房をもてば、5月ごろに支線に向けて平行に誘引する。この時点で枝が50cm以下であれば、実がついていても花房を落とす。
- 平行に誘引した枝は1〜1.2mで摘芯する。
- 1年目同様、鉛筆ほどの太さの所で主枝は切除し、主枝から伸びた枝は1芽を残して根元からカット。
- 主枝の長さが左右各7mを越えたら、それ以上伸ばさずに摘芯する。
ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバ、コガネムシ、スリップス | |
黒とう病、うどんこ病、灰色かび病、褐斑病、さび病、晩腐(おそぐされ)病、べと病 |
落ち葉の処分や剪定した枝などの処分をこまめにし、害虫も見つけ次第、捕殺や効果的な薬剤散布などを適切に行い、対策をとりましょう。果実に袋かけすることも防除に有効です。