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自家製コーヒーを楽しむ

芳醇な香りと味わいで気持ちをほっとさせてくれる飲み物として、世界中の人々に愛飲されているコーヒー。
そんなコーヒーをもっとおいしく味わいたい、という方にご提案!自分でコーヒーノキを育てて豆を収穫し、とっておきの1杯を堪能してみてはいかがでしょう。
今回は、コーヒーにまつわるエピソードも交え、コーヒーノキの栽培法や自家製のマメでおいしいコーヒーを煎れる方法を詳しくご紹介します。

コーヒーノキ・リサ® アラビカ

コーヒーノキ・リサ® アラビカ

コンパクトな樹形で鉢植えで楽しめる、アラビカ種の中でも人気の品種。やわらかい上品な香り特長で、かすかな酸味があり、すっきりとした飲み口が魅力。1粒3~5g。最低温度5℃以上。アカネ科。

●植え付けから収穫の目安は3~5年。

昔は薬だったコーヒーが世界中で愛される飲み物に

もともとコーヒーは、実を煎じたり煮たりして薬として用いられていたようですが、一般的な飲み物として親しまれるようになったのは15世紀のころ。トルコのコンスタンチノープルに開店した世界最古といわれるコーヒーハウスでは、人々がコーヒーを飲みながら議論を交わしたといわれています。
17世紀になると、コーヒーはヨーロッパに伝わり、瞬く間に庶民の間に普及しました。それに伴い、コーヒーの飲み方や栽培方法などの知識も向上し、17世紀後半には、インドやインド諸島で栽培がスタート。その後、アジアやアメリカにも伝わり、世界各地でコーヒーを飲む習慣が広まりました。
栽培地域も拡大し、1727年には世界最大の生産国となるブラジルで栽培が始まり、主要な産物として世界的なビジネスに成長しました。

熱帯地域で栽培される「コーヒーノキ」とは?

コーヒー豆の原料となるコーヒーノキは、エチオピア原産のアカネ科コーヒー属の常緑樹で、原産地では高木になります。赤道を中心とした南北回帰線の間の熱帯地域が主な栽培地域となっており、世界約60カ国で栽培されています。
 コーヒーノキの果実に入っている2つの種子がコーヒーの生豆です。今までにアフリカや中東地域で産出されたキリマンジャロやモカ、カリブ海地域のブルーマウンテン、南米のブルボンサントスなど、有名な銘柄が次々と生み出されてきました。
日本国内でも沖縄や小笠原諸島で小規模栽培されていますが、最近では通信販売などでコーヒーノキの苗木を入手し、一般の方が楽しみながら育てるケースも増えつつあるようです。手塩にかけて育てた豆で煎れるコーヒーは、きっと格別の味わいとなることでしょう。

鉢植えでも栽培できる手軽さが魅力

コーヒーの味と香りの特徴はマメ(種子)が実る木の種類によって決まります。コーヒーノキは、野生種を含めて30種類ほどありますが、主にコーヒーの原料として栽培されているのは、アラビカ種とロブスタ種の2つ。アラビカ種はロブスタ種に比べて香りがよく、キレとコクがあり、カフェインが少ないのが特長です。高品質とされるコーヒー生産量の7~8割を、アラビカ種が占めています。
アラビカ種の中でもコンパクトな樹形に育つ「リサ アラビカ」は、鉢植えで育てられる手軽さが人気を集めています。日常の管理さえしっかりしていれば、比較的栽培は容易なので、初めてコーヒーノキを育てる方にもぴったりの品種です。葉は鮮やかな緑色で光沢があり、冬でも色あせないので、室内を彩る観葉植物としても楽しめます。
上手に育てれば、3~5年で結実し、春先にチェリーと呼ばれる完熟した赤い実を収穫できます。この実の中に入っている2つの種子が、おいしいコーヒーの豆となるのです。甘みとコクに加え、かすかに酸味のあるすっきりした飲み口が魅力です。

科学的に解明されたコーヒーの活用

古くからその薬効が知られるコーヒーは、科学的解明が進むにつれ、改めてその健康効果に注目が集まっています。
コーヒーの成分として最も知られているのがカフェイン。眠気覚まし効果や利尿作用があるほか、集中力や運動能力を高めたり、時差ボケ時に身体のリズムを元に戻す効果があるとされています。
さらに、最近注目を集めているのが、コーヒーに含まれるコーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)。クロロゲン酸は特有の苦みや香りの元となっている成分で、抗酸化作用があることがわかり、がんや生活習慣病の予防に役立つという研究結果が報告されています。

千年以上も語り継がれるヤギ飼いカルディの伝説

花が咲いた様子。
開花期間は2~3日ほどで、かすかにジャスミンに似た香りがする。

花が咲いた様子。
開花期間は2~3日ほどで、かすかにジャスミンに似た香りがする。

果実が熟すのは3~4月。
青い果実が赤く色づき、濃い赤色になったら収穫適期。

果実が熟すのは3~4月。
青い果実が赤く色づき、濃い赤色になったら収穫適期。

コーヒーがいつ、誰によって発見されたかははっきりとはしていませんが、有名な伝説の一つに「ヤギ飼いカルディの伝説」があります。
 舞台は13世紀のエチオピア。ヤギの世話をしていた少年カルディは、ある日、ヤギたちが赤い木の実を食べて走り回り、夜になっても興奮がおさまらない様子を目にしました。不思議に思い、近くの修道院の僧の元へこの実を持ち込んで一緒に食べてみることに。すると、疲れが消え、元気がみなぎるのを感じました。この魔法の実こそ、コーヒーの実だったといわれています。
 その後、修道院の僧たちは、眠気覚ましにこぞってこの実を用い、修行に励んだとされています。こうした古い逸話からも、コーヒーと人との深いかかわりがうかがわれます。

コーヒーノキの育て方

コーヒーノキは寒さに弱いので、鉢植えにすると管理が容易です。結実樹齢(3~5年後)になったら、特にこまめに管理をしてください。

植え付け

植え付けの適期は5~7月。通気性、水はけがよく、有機質を多く含む肥沃な土壌で、弱酸性の用土が適しています。10~15号程度の大きさの鉢に、市販の培養土、赤玉土、腐葉土(または堆肥(たいひ))、バーミキュライト、川砂を同量の割合で混ぜたものを入れ、苗木を植え付けます。

施肥&水やり

開花期を除いて、化成肥料や有機配合肥料などを少量ずつ、こまめに与えて生育を促します。水やりは、鉢の土が乾いたらたっぷりと与えます。

置き場所

生育適温は15~25℃。春から秋は、屋外の庭や玄関先、半日陰の木陰などで管理します。直射日光を嫌うので、夏場の日差しに注意してください。冬は霜に当てないように、室内の暖かい場所に取り込みます。ガラス越しの室内では、直射日光を避けて置くようにしましょう。

病害虫

アブラムシ、ヨトウムシ、カイガラムシ、炭疽病(たんそびょう)に注意が必要です。

開花&結実

管理方法にもよりますが、植え付け後、3~5年で結実樹齢になります。春から初夏にかけて、葉の付け根に白い小花がまとまって咲き、風やミツバチなどにより自家結実します。

収穫

開花後、緑色で球形の小さな果実をつけ、半年ほどで果径1~1.5cmになり、冬から初春にかけて濃いチェリーレッド色に色づきます。3~4月、果実が十分に赤く熟したら、手で摘み取って収穫します。果肉部はそのまま食べられ、甘くてなかなか美味です。

おいしいコーヒーの煎れ方

自家製のコーヒー豆で、コーヒーを煎れてみましょう。
まずは何も入れずにブラックで、コーヒー本来の味と香りを堪能してみてください。

1収穫
3~4月、赤く熟した果実を手で摘み取る。
2取り出し・乾燥
果皮と果肉を取り除いて中の豆(種子)を取り出し、水洗いする。
天日で5~10日乾燥させる。生豆の状態なら15℃程度の冷暗所で長期保存が可能。
3焙煎

本格的な焙煎マシンなどを使う方法もあるが、少量ならフライパンや網、銀杏炒り器が便利。弱火で10~15分、よく転がしながら豆を煎り、生豆の水分を抜く。パチパチと音がし、好みの色に煎り上がったら火を止める。焦げた豆、煎りムラのある豆は取り除く。煎り方は浅煎り、中煎り、深煎りなどお好みで。

フライパンで手軽に焙煎できる。

生豆の状態。

煎った状態。

4豆を挽く
手動ミルや電動ミルを利用して豆を挽く。細挽き、中挽き、荒挽きがあるが、中挽きが最適。豆は酸化しやすいので密閉容器に入れ、冷凍庫で保存する。
5抽出
コーヒーメーカーやペーパーフィルターなどで抽出する。豆の量は1杯分10~12gが目安。ペーパードリップの場合、湯温は85℃で30秒間しっかり蒸らすのがコツ。

コーヒー豆入りクッキー

コーヒー豆入りクッキー

挽いた豆をクッキーの生地に好みの量を混ぜて焼き上げると、コーヒーの風味たっぷりのおいしいクッキーができあがります。

※コーヒーのドリップ法指導/「鳥仙珈琲」(静岡県静岡市)

和田 わだ 鉄男 てつお

1949年静岡県生まれ。和田園芸を設立後40年間にわたり有用植物の栽培・育種を手がける。植物の持つさまざまな力を上手に利用して人間と植物がよい関係で共存することを理想とし、日々育種や仕事に没頭。新聞、雑誌などに園芸記事執筆、講習活動も行う。

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