スイートコーンには、皮がやわらかくとても甘い極良質系と、皮が少しかためですが、栽培が簡単で初心者でも大きな穂が採れる良質系の2タイプがあります。
ここでは、タキイが扱っているそれぞれのタイプの品種の特徴と使い分け、および栽培のポイントについて解説します。
おひさまコーン88
おひさまシリーズの中で最も大きな穂をもち、甘くてやわらかい食味のよさを兼ね備えた品種です。一般地では播種後88日で収穫できます。草勢が旺盛なので夏まき秋どり栽培にも利用でき、秋にスイートコーンの収穫を楽しむことができます。
良質系のキャンベラシリーズは、初心者の方でも簡単に大きな穂が収穫できる作りやすさが魅力です。
おいしいスイートコーンを収穫するためには、各生育ステージでのポイントをおさえ、的確に対応することが大切です。以下に栽培ポイントを説明しますので、ぜひ実行してみてください。
1.土づくり
大きな穂をつけるには根張りがよい丈夫な株を作ることが重要です。深耕して堆肥などを多用することで、保水性と排水性のバランスのとれた土づくりを行います。排水性の悪い圃場では高畝にしましょう。
元肥は、チッソ、リン酸、カリの成分量で1㎡当たりそれぞれ20~25gを施します。
2.播種
栽植密度は、畝幅150~160㎝の2条まきで株間30~33㎝が適当です。欠株を防ぐために1穴に3~4粒まき、本葉3~4枚時に1本に間引きます。
3.追肥
ボリュームのある大穂を収穫するためには、出穂期までに生育旺盛な株を作ることが重要です。そのために本葉6~8枚ごろと雄穂出穂期の2回、それぞれチッソ成分量1㎡当たり5gを速効性肥料で施します。
4.潅水
開花期から収穫期までに水分が不足すると、糖度不足、先端不稔、穂の肥大不足につながります。特に1回目の追肥時期以降は急速に生育が進むので、潅水量を多くし乾燥させないよう適湿に保ちます。
5.収穫時期
収穫が適期よりも早いと十分に糖度がのらず、逆に遅れると品質が急激に低下するので、適期収穫が非常に重要になります。収穫適期は絹糸抽出日から21~25日ごろです。絹糸抽出日を記録し、収穫期がきたら試しむきをして、先端の子実が肥大し、色づいていることを確認しましょう。
【除房】
除房栽培は、上から2番目の雌穂の絹糸が出始めたころ、2穂目を除去して1株1穂にする方法で、除房しないよりは1穂目がある程度大きくなります。しかし、除房の際に茎葉を傷つけてしまうことが多く、除房による増収効果は薄いため、省力の意味でも除房は行わなくてよいでしょう。
- かたくて甘くないコーンができましたが、どうしてですか?
- スイートコーンは、ポップコーンの花粉で受粉すると粒がかたくなり、甘味が低下します。もしポップコーンもつくりたい場合は、開花期があわないようにできるだけ早く播種します。
- 分けつはとるほうがよいのですか?
- 基本的に、分けつは取り除かずに栽培します。これによって葉の面積が保たれて光合成による養分が増え、穂の肥大につながります。また、分けつの雄花により全体の花粉量が多くなり、先端不稔を減らすことができます。
- 発芽してこないのですが?
- 甘みの強い品種ほど発芽力が劣る傾向があり、地温の不足は発芽不良を招きやすくなるので、14℃以上確保して播種することが重要です。14℃を下回る場合は、タネをまく1週間前にマルチやトンネルを張り地温確保に努めます。