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ネギの基本情報

ネギの写真
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学名
Allium fistulosum L.
和名
ネギ
英名
Welsh Onion
分類
ヒガンバナ科ネギ属
上陸時期
中国西部

ネギの住みやすい環境

酸素要求量が多い野菜です。

発芽適温
18~22℃。発芽最低気温は4℃。発芽最高気温は33℃。種子の寿命は最も短命です。
生育適温
16~20℃前後。乾燥には比較的強く、多湿には極めて弱い性質です。
土壌酸度
pH5.7~7.4であれば正常に生育します。

ネギとは(ネギってどんな野菜?)

香りで食欲と健康を増進
生肉や魚料理、麺類や豆腐の薬味として欠かせないネギ。その香りは、食材の臭みを消して、食欲をわかせてくれるだけではありません。匂いのもとである硫化アリルという成分が、ビタミンBと反応して強い殺菌力を発揮しますし、動脈硬化などの生活習慣病に対する効果も期待されています。また、焼いたネギにお湯をさしたり、生ネギに味噌をつけて食べたりと、昔から体を温めるために重宝されてきました。

主役にも脇役にもなれる野菜
御輿の飾りや橋の欄干の擬宝珠がネギの花(ネギの坊主)を型どって作られるほど、ネギは古くから親しまれてきました。 関西では九条ネギを中心とする葉ネギ、関東では下仁田ネギを代表とする根深ネギが主流です。カモとネギのすき焼きやマグロとのネギマ鍋など、鍋ものには欠かせない食材となっています。それ以外にも、炒めものや薬味などさまざまなカタチで食べられ、料理の主役にも脇役にもなれる万能型の野菜です。

調理のポイント
ネギの栄養価は、特に葉の部分に多いので、捨てずに、うまく調理して食べましょう。

ネギとは(ネギってどんな野菜?)
文部科学省
『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』より

栽培手順 各ポイント

菜園向けネギ栽培カレンダー

栽培カレンダー

ネギの抽苔

[ネギの花芽分化と抽苔]

ネギは緑植物低温感応型の植物で、ある一定の大きさ(葉鞘径5~7mm以上)に達した株が一定期間の低温(10℃以下)に遭遇することで花芽形成し、その後高温と長日条件で抽苔します。この花芽分化は品種、株の生育状況、栽培地域により異なりますが、一般的に9~10月の秋まき栽培では翌年3~4月頃に抽苔する可能性があります。根深栽培では抽苔した花芽を早めに摘蕾し側芽の生育を促すこと、葉ネギ栽培では摘蕾後仮植えを行うことで、他の葉根菜類とは異なり花芽分化後も収穫が可能です。

発芽

■発芽適温
15~25℃(30℃以上の高温だと発芽不良になりやすい)

ネギ種子の寿命は最も短命なグループに入ります。乾燥には比較的強いですが、過湿にはきわめて弱くなります。土壤適応性は広くpH5.7~7.4であれば正常に生育します。

[種子]

[発芽]

播種と育苗

ネギは生育の揃いが苗質に大きく影響するため、温度管理(高温、低温)、潅水管理(過湿、過乾燥)に注意します。セルトレイやチェーンポットの育苗では、草丈20~25cmのころハサミなどで15cm程度の高さに切り揃え、再び20cmに伸びたころ再度刈り込む(剪葉作業)と、太くてがっちりとした苗に仕上がります。

[セルトレイ(200穴)]

200穴のセルトレイが育てやすい。
1セルに2~3粒まいて覆土する。

[地床育苗]

厚さ1cmぐらいの板で深さ6~8mmくらいの溝をつくり、5mmぐらいの間隔で播種する。
2~3回間引いて、本葉3~4枚までに株間2~3cm程度にする。砂または有機質の多い土(床土)で覆い、たっぷり潅水する。

■施肥量
苗床の元肥は10㎡当たり成分量でチッソ(N)140g、リン酸(P)160g、カリ(K)110gを目安に施用。
追肥は播種後40日、60日後にNで40~50gを施用。
育苗期間に、リン酸を効かせると根量が増加し、生育のよいネギ苗を作ることができます。

チェーンポット

チェーンポットは、ペーバーポット(紙でできた育苗用ポット)の1つ1つが連結し、一度に連続して植えることができます。チェーンポットで育苗したネギの苗を、簡易移植器「ひっぱりくん」で移植することができ、定植時に省力栽培できる方法です。

〔日本甜菜製糖〕

規格 一本の直径×高さ
(cm)
一冊の本数
(本)
標準展開寸法
タテ×ヨコ(cm)
育苗箱
CP3O3(株間5cm)
CP303-10(株間10cm)
CP3O3-15(株間15cm)
3×3 264 28×58 水苗育苗箱が利用可能

チェーンポットの播種

チェーンポットの定植

チェーンポットのネギ苗

根深ネギの生育

[春まき秋冬どり栽培]

■生育適温
15~20℃
■根深ネギの軟白適温
10~20℃(最適温度15℃)

ネギの根は、酸素を好み過湿に弱いので通気性、排水性のよい畑で栽培します。
土寄せは約1カ月おきに行い、葉身の分岐部(首元)より上に土をかけないよう注意しましょう。また一度に多量の土寄せは葉を傷めたり根を切ってしまうので行わないようにしましょう。

根深ネギの土寄せと追肥

■施肥量
元肥として根深ネギは、10㎡当たり成分で、チッソ、リン酸、カリそれぞれ100~150gを目安に施用します。
葉ネギの元肥は、10㎡当たり成分でチッソ120~150g、リン酸150~200g、カリ120~150gを目安に施用します。
■分けつ
分けつは茎盤に発生するえき芽が発達したもので、根元から株が増えていきます。葉ネギは分けつしやすい性質をもち、根深ネギ(1本ネギ)はほとんど分けつしません。本葉6~10枚のころに受けるストレス(乾燥、多肥、高温など)や収穫遅れにより助長されます。

葉ネギの土寄せと追肥

小ネギは条まきを行い、株間1cm程度で栽培すると60日程度で収穫できます。九条系などの中ネギは育苗を行い、移植栽培するとよいでしょう。

葉ネギの生育途中

[植え付け]

3~4本まとめて10~15cm間隔に植える。覆土は苗が倒れない程度で行う。

[追肥]

植え付け後1カ月ぐらいのころ肥料を施し軽く土寄せする。1カ月ごとを目安に追肥し、中耕、土寄せをする。

[収穫]

株が大きく育ったら順次収穫する。

Q&A

ネギ坊主ができたネギはどうすればよいですか。

ネギ坊主はネギの花の集まりで、大株になってから低温に遭遇することによりトウ立ちしてできます。ネギは植物体春化型の低温要求があり、一般的に茎のように見える葉鞘の直径が5~7㎜くらいで、葉長が20㎝以上になれば、低温に感応するようになります。低温としては10℃以下に30日以上遭遇すると、花芽が分化します。その後20℃程度の温暖な条件になり日長が長日条件になるほど、花芽発達が促進されてネギ坊主が伸びてきます(トウ立ち)。

ネギの秋まき栽培は普通9~11月にタネをまきますが、早まきすると生育が促進されて大株になり、低温に感じやすくなります。普通でも3月中旬ごろから気温が高くなり、日長も長くなるためネギ坊主が出やすくなります。ネギ坊主が出ても早めに取れば、その後の収量にも影響はありません。

ネギ坊主ができるくらいの方が収量は増加しますが、それを作らせないためには早まきを控えます。また元肥も標準量を守り、多肥にしないことです。畑に直まきする場合には間引きをしますが、本葉3~4枚までに株間を2~3㎝程度にし、それ以上広くとらないようにしましょう。育苗した苗を植える場合には、本葉3~4枚くらいで中ぐらいのがっしりした苗を植えるようにして、大苗の定植を避けます。暖冬ではネギ坊主が出やすくなるので、タネまき時期を変える段まきをします。

ネギのタネをまきましたが、うまく発芽しません。ポイントを教えてください。

ネギのタネは寿命が比較的短いグループなのですが、タネが古くはなかったでしょうか。あるいは昨年使って残ったタネを20℃以下の低温・乾燥条件で保存していたでしょうか。室温で種子袋のまま部屋に放置したり、冷蔵庫に入れたりしていると、発芽率は半減します。品質のよいタネを買って、残ったタネは密封できる容器に乾燥剤と共に入れ低温に置けば、タネの有効期限内であれば翌年も十分に使えます。

新しいタネをまいたとしても、まず気温が重要になります。ネギの発芽適温は18~22℃で、それより低温でも高温でも発芽は悪くなります。タネの発芽には一般に、空気・水分・温度の3条件が必要です。温度が適していても、次に播種床の土の状態が重要です。畑に直まきしても播種箱でもタネをまけますが、土の構造が重要になります。有機物が十分に入ったやわらかい土であり、排水性も保水性もよければタネは約7~10日で揃って発芽します。タネまき後十分に水やりして、その後発芽するまで乾燥しないよう水やりに気をつけます。

しかしネギは酸素を好むため、土が粘土質だったり、かたかったりすると、湛水や過湿になりやすく、発芽は著しく悪くなります。土が多少かたくても図のように、発芽した芽は曲がったフック状態で土を押しのけて伸びます。しかし、土があまりにかたいと発芽は悪く、生育も不揃いになります。さらに土が乾燥しても発芽は悪くなるため、タネまき後に敷きわらをして乾燥防止や、雨でたたかれて土壌がかたくなるのを防ぎます。発芽して土から芽が出てきたら、敷きわらは取り除きます。さらにネギは嫌光性があり、タネまき後の覆土が浅くて光が当たると、発芽が悪くなります。そのためにも、覆土した後に敷きわらをかける方がよいでしょう。