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メロンの
上手な栽培方法・育て方

メロンの基本情報

学名
Cucumis melo L.
和名/別名
メロン
英名
Melon
原産地
北アフリカ、中近東、東アジア
分類
ウリ科キュウリ属
上陸時期
ヨーロッパ系メロンは明治中後期に、マクワやシロウリは弥生時代に渡来

メロンの住みやすい環境

発芽適温
15~42℃の範囲で発芽はしますが、発芽適温は25~30℃で一斉発芽を心掛けます。
生育適温
メロンの根は浅根性で、数本の太根から多数の細根が深さ10~15cmのところに張ります。適地温は20~25℃で、根毛発生の最低温度は14℃、最高は40℃です。地上部の日中の適温は25~28℃、夜間18~20℃です。

メロンとは
(メロンってどんな野菜?)

ウリと親戚のメロン
ウリ科の植物で、日本原産のマクワウリやシロウリと同じ仲間。豊潤な香りとさわやかな甘味があり、高級な印象があります。お中元やお歳暮、お見舞いの品として、贈られるとうれしいものです。種類はマスクメロンだけでなく、アンデスメロン、夕張メロンなどさまざま。日本ではほとんどデザートとして食べますが、欧米では生ハムの上へのせたり、鴨ロースや魚介類の料理に添えたりします。

ちょっとぜいたくな朝に
味や香りだけでなく、糖質や繊維が豊富で、体にも優しい食べ物です。特にメロンの糖質は、とても吸収されやすく、すぐにエネルギーへとかわるので、朝食や病気の時に食べるのに向いています。また、余分な水分やナトリウムを体外へ出す役割を担うカリウムが、スイカよりも多く含まれています。その他にも、ビタミンAやCも含まれています。

調理のポイント
熟すまでは室温で保存し、食べる2、3時間前に冷蔵庫で冷します。昔から「ウリの皮は大名にむかせろ」といわれるように、ウリ科のものは厚く皮をむくことがポイント。中心にいくほど、甘味が強くなるからです。しかし、タキイの赤肉メロン「レノン」シリーズなら皮際まで甘くなっています。

文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』より

栽培手順 各ポイント

菜園向けメロン栽培カレンダー

栽培カレンダー

育苗

メロンの育苗期間は1カ月程度と短く、温度を確保できる場所があれば9~12㎝ポットにまいて育苗すると、食べてみたい品種を栽培できます。

ポリ鉢に直接タネをまいて、そのまま育苗

発芽した状態

本葉1枚のときに1本にする

[定植適期苗]

12㎝ポットの場合は育苗日数約35日、本葉3.5枚程度が定植適期です。畑の準備が遅れて老化苗定植にならないよう注意してください。万一、老化苗定植や定植後の環境不良などで、生育が悪い場合には液肥や葉面散布などで草勢回復に努めます。

メロンの定植適期苗

定植

■生育適温
18~28℃

メロンは、果菜類の中でも温度管理、水分管理が難しく、品質のよい果実を収穫するのは容易ではありません。
定植時期の目安は最低気温14℃、最低地温16~18℃以上になったころで、トンネル栽培では4月中旬ごろからになります。
活着をスムーズに行い、よい雌花を咲かせるためにも定植2週間前にはトンネルを張り、定植後に十分地温を上げておきましょう。

メロンの根は浅根性で酸素要求量が大きく、排水、通気のよい土壌条件を好みます。
土壌水分は、生育の各段階で必要量が異なり、天候による土壌水分の変動を少なくするような栽培管理(トンネル、マルチなどを利用)を行うようにしましょう。

■施肥量
元肥の量は目安として10㎡当たり成分量で、チッソ100~120g、リン酸150~200g、カリ120~150gを施用します。
元肥が多いと過繁茂になり、病虫害の発生も多く、果実の品質が悪くなるので注意します。

定植後の管理

定植は活着を促すため晴天の午前中に行います。
メロンの仕立て方は、家庭菜園では本葉4~5枚で親づるを摘芯し、子づる2本仕立てがよいでしょう。

メロンの摘芯

地温16~18℃以上を目標に定植する

仕立て方

子づる2本仕立ての4果どりが一般的です。親づるは本葉4~5枚で摘芯し、生育よい揃った子づるを2本伸ばします。
着果節位までの側枝は早めに除去します。
子づるの先端は25節前後で交配の2~3日前に摘芯し、その時に着果節位以降の側枝も先端の3本を遊びづるとして残し、それ以外は除去します。

[孫づるの摘芯]

遊びづるは3本を基本としますが、畑の地力や作型を考慮し、つるもちが心配されるような場合は、多めに成長点を確保します。
「遊びづる」を残すことで成長点が確保され、根の活性を保つとともに、その成長点の状態で草勢を判断することができます。
自然着果した果実はそのつど摘果します。

交配

メロンの雌花は側枝の第1節に、雄花は主枝に着生します。
ミツバチによる自然交配が多いですが、確実に着果させるためには人工交配がよいでしょう。
開花の2~3日前から曇雨天が続いたり、13℃以下の低温にあったりすると、花粉の発芽や花粉管の伸長が悪くなってしまうので、15℃以上の最低気温を確保します。
花粉が受精を完了するのに気温20℃で24時間くらい必要なので、受粉後の保温に努めます。

摘果

メロンの果実の肥大は、受粉後10~15日が最も盛んとなりますが、その前の受粉後7~10日の果実がピンポン球大から鶏卵大に発育したころに摘果作業を行います。
低節位着果は、小玉でへん平な果実になり、高節位着果になると大玉にはなりますが、糖度が上がりにくく長玉傾向になります。

[残す果実]

将来、正球形となる

[摘果する果実]

将来、へん平な果実となる元成り(低節位)に多い

将来、細長い果実となる先成り(高節位)に多い

収穫

玉直し
交配後15日目ごろ、果実がひび割れする前にメロンマットを敷きます。
これによりネットの均ーな発生が促進します。

収穫適期のメロン

収穫期は品種や作型によっても異なります(開花後50~60日程度)。
判断する上でのポイントは、着果枝の葉枯れや果硬部へのネット上がり、花痕部のひび割れなどを参考に必す試し割りをして、糖度の上昇を確認するだけでなく、肉質も考慮した上で適熟果収穫に努めます。

果実の風味は芳香と甘味によって作り出されます。
芳香の成分は、果実内に含まれる糖が追熟によってアルコール化し、果実酸と化合してできるアルキルエステルなどによって発生します。
ネットメロンは5~10日の追熟期間が必要で、この間に肉質の軟化と芳香の高まりが頂点を迎え、食べごろとなります。

病害や生理障害

<病気>
総監修:イラスト原図:駒田旦
本文監修:大阪府立環境農林水産総合研究所 草刈眞一
写真提供:田中寛(YT)、草刈眞一(SK)、駒田旦(HK)

<害虫>
総監修 : 大阪府立環境農林水産総合研究所 田中寛
監修 : 草刈眞一、柴尾学
写真提供 : 田中寛(HT)、木村裕(YK)、柴尾学(MS)、池田二三高(FI)

Q&A

メロンがうまく発芽しません。どうしてでしょうか。

メロンは発芽適温が25 ~30 ℃の高温性野菜で、この気温で最も発芽が揃います。

発芽不良の原因には、まず温度が低かった可能性が挙げられます。育苗日数は約30日かかるため、3~4月に植えるには、2~3月にタネをまきますが、そのころはまだ低温ですから、温床育苗するか播種床の加温が必要になります。望ましいのは日中の気温を25~28℃、夜間は18~20℃に保つことです。また、タネまきの際に、かぶせる土(覆土)が少ないと発芽しにくくなるので、1㎝ くらい覆土をします。

タネまき後の水やりも、あまり多すぎると発芽は悪くなります。タネが吸水して発芽の準備が始まりますが、発芽する前にまず呼吸が盛んになります。この時に水が多すぎると呼吸ができず、発芽を開始しません。発芽床の土の半分くらいが湿る程度に水やりをしてください。自家採種したタネでは、小さかったり保存条件が悪かったりすると、発芽が悪いことがあります。

メロンやスイカが収穫前になると急に枯れます。原因は何でしょうか。

メロンやスイカの着果後には、着果負担が増して草勢は衰えやすくなります。特に梅雨明け以降、高温と土壌の乾燥・過湿あるいは着果数の過多により、着果負担が増し、株全体がしおれる萎凋病が起こりやすくなります。連作土壌では複数の土壌病害が多発し、急性萎凋病やネコブセンチュウの被害が増大する危険があります。そこで連作を避けるとともに、土壌病害に強い耐病性台木の選択や土壌消毒が必要になります。しかし多くの場合、着果負担の増大と、高温多湿の天候が草勢の維持を困難にしていることも、大きく影響しています。

まず着果量に見あう根量を維持するため、根の生育を旺盛に保つことが必要です。それには堆肥を十分に入れ、深耕をして根系を広げます。根が少ない場合には、着果節位を上げることも大事です。草勢の維持には、先端の側枝を何本か遊びづるとして残しておき、根の老化を防止します。また日中は約30℃、夜間は20℃前後になるよう、日よけや通風を図るなどの温度管理をしましょう。