タキイネット通販TOP > ホウレンソウ(ほうれん草)ホウレンソウの栽培方法・育て方

ホウレンソウの基本情報

ホウレンソウの写真
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学名
Spinacia oleracea L.
和名
ホウレンソウ
英名
Spinach
原産地
中央アジア地域
分類
アカザ科ホウレンソウ属
上陸時期
16世紀

ホウレンソウの住みやすい環境

冷涼な気候が最適です。

発芽適温
15~20℃とされ、発芽は4℃までは可能です。25℃以上では発芽が抑制され、35℃以上になると発芽できなくなります。
生育適温
15~20℃で、低温に強く-10~-15℃にも耐えますが、耐暑性は極めて弱くなります。25℃以上では生育が抑制され、病害(立枯病、根腐病)が多発します。

ホウレンソウとは
(ホウレンソウってどんな野菜?)

ホウレンソウは、栄養素たっぷりの野菜の代表格
ホウレンソウには、ビタミンA 、B1、B2、C 、D 、E 、そして止血効果のあるK,ビタミンB12と協力して血液を作る働きをもつ葉酸を含み、他にもリジン、シスチン、カルシウム、鉄分、ヨード、銅、マンガンなども含んでいます。人間が生きていく上での基礎となるビタミン、栄養素を持つ食物なのです。毎日食べて多くのビタミンを摂るようにしたいものです。食べる量 としては、連日大量に食べることを避け、一日に100グラム前後が適量といえます。

「ホウレンソウのおひたし」のつくり方
1.ゆですぎのホウレンソウは、おいしくないばかりでなく、せっかくのビタミンB1やCも、どんどん溶け出してしまいます。ビタミンCは、ゆで時間が1分なら26%、2分なら39%、3分なら52%も失われます。
2.青々としたホウレンソウのおひたしに、削った鰹節をのせるだけ。
3.栄養分を逃がさないためにも、水洗いやゆでたりするのは、とにかく手早くやりましょう。

ホウレンソウとは(ホウレンソウってどんな野菜?)
文部科学省
『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』より

栽培手順 各ポイント

菜園向け
ホウレンソウ栽培カレンダー

栽培カレンダー

花芽分化と抽苔

[ホウレンソウの種類]

F1(一代交配種)
東洋種と西洋種の交配によって育成。一般に生育が早く、葉肉が厚く、収量が多い。抽苔は安定したものが多い。

東洋種
一般に針種(角種)で、葉肉が薄く、欠刻が3段以上と多い。葉柄の元や根は濃赤色。葉質がよく、土臭が少ない。長日に敏感で抽苔が早く、秋まきに使用される。(播種時はトゲに注意)

西洋種
一般に丸種(針種もある)で、葉肉厚く、欠刻が少なく、ちぢみのあるものがある。葉柄の元や根は淡赤色、土臭が強い。長日に鈍感で抽苔が遅く、春まき、夏まきに使用される。

[ホウレンソウの種子]

ホウレンソウのタネ と思われているものは、実は果実で本当の種子は硬いカラ(果皮)に包まれたその中にあります。このカラが種子を保護するとともに、休眠をしたり、硬実種子となって発芽を抑制したりします。一般にはカラに包まれた種子をまきますが、カラの形がトゲの出た針種とトゲのない丸種とがあります。

[エボプライム種子とは]

ホウレンソウ種子はかたい種皮でおおわれており、そのままでは吸水しにくく発芽が遅れる特性をもちます。そこで果皮を薄くやわらかくすることで吸収性をよくした種子を、タキイでは「エボプライム種子」として発芽ぞろいを向上させ販売しています。保存性は通常種子と変わりなく、播種前の催芽処理は不要です。

ホウレンソウは雌雄異株であり、その割合はほぼ1:1に分かれるが、中には両性花を併せ持つ株もある。
生育は雌株が旺盛ですが、抽苔は雄株が早い傾向になります。

雄花

雌花

[花芽分化と抽苔]

長日条件により花芽分化しますが、幼苗期の低温でも促進されます。積算日長は450~500時間といわれています。播種後15~30日で花芽が形成され、日照時間の長短の影響を受けることは少ないのですが、分化後の花芽の発育(抽苔、開花)には長日の影響が顕著です。日長が13時間以上あると抽苔が早く進み開花します。6月まきが夏至を経過するので一番危険です。市街地の栽培では、街路灯や夜間照明などで抽苔を起こす場合があるので注意します。また不良条件(高温、乾燥、過湿など)での栽培では、抽苔しやすくなります。

日長が長くなり温度が上昇する
長日に感応して花芽の発達・抽苔がはじまり、温度の上昇によりさらに促進されます。春まき、夏まきには長日に鈍感な品種が使われます。

日長が短くなり低温となる
低温感応により花芽分化が促進されますが、短日下で花芽の発達はおさえられ、日長が長くなるまで栄養生長をつづけます。

土づくり

[酸性土壤と土づくり]

酸性土壤に極めて弱く、中性から弱アルカリ性を好みます。最適pHは6.3~7.0とされ、pH5.5以下の酸性土壤では生育障害がみられ発芽が悪く、また発芽しても子葉が小さく葉先は黄化し、根は先端から褐変し枯死するか、本葉2~3枚で生育が止まります。
pH6.5を目標に、播種の1カ月くらい前に石灰質資材を施用します。また、完熟堆肥を10㎡当たり20kg程度施します。醗酵鶏ふんなどの有機質肥料をタネまき直前に施用すると、タネバエの発生を助長してしまうので、堆肥と同様、1カ月くらい前に施します。

■施肥量
元肥の目安として10㎡当たり成分量で秋まきチッソ200~220g、リン酸200~230g、カリ200gを施用します。春まき・夏まきでは生育が早いためチッソ150g、リン酸200g、カリ150gとします。基本的には全量元肥とし、完熟堆肥とリン酸分を十分に施して根張りをよくするようにしましょう。

ホウレンソウは直根性で、地上部に比べて根系の広がりが旺盛であり、耕土の深い畑が望ましく、有機質に富んだ土壤が適します。耐湿性は野菜の中で最も弱いもののーつといわれ、湿害(根腐れ)を起こさないよううねを高くするか、排水を図ります。

ホウレンソウの根系

発芽と生育

■発芽適温
15~20℃(冷涼な気温を好み、高温には弱い)

発芽は4℃までは可能です。25℃以上では発芽率が低下し、35℃以上になると発芽できなくなります。
低温に強く、-10℃にも耐えますが、耐暑性は極めて弱くなります。25℃以上では生育が抑制され、病害(立枯病、根腐病)が多発します。平均温度5℃で生育が止まります。

ホウレンソウの発芽

播種

[一斉発芽が大事]

ホウレンソウは早く一斉に発芽させることが上作の基本
1cm程度に一定の深さのまき溝を切って、種子を1~2cm間隔くらいにまき、覆土をして鎮圧します。本葉2~3枚までに最終間引きを行い、秋まきは株間を5cm、春・夏まきは株間を7~8cm程度にします。密植すると葉色が淡くなって葉肉が薄く、株張りも悪くなります。

覆土後、板などでよく鎮圧して土壤水分が逃げないようにする。排水の悪い所ではうねを高くしておきます。

[春まき栽培ポイント]

生育前半が低温下にあたるため、保温資材を活用して初期生育を促します。ベタがけ資材を利用すると発芽や生育がよくなります。
彼岸を過ぎると日長が長くなり抽苔が問題になるので、晩抽性品種を栽培します。高温・乾燥・肥料切れなどは抽苔を促進するので、注意が必要です。

ベタがけ資材

生育

[ホウレンソウ生育ステージ別ポイント(秋冬どり)]

■生育適温
15~20℃(冷涼な気温を好み高温には弱い)

発芽のポイント

発芽を揃えるコツは、まき溝と覆土が均一であることです。また播種後はしっかりと土を鎮圧し、水をたっぶりかけましょう。本葉1~2枚のころは、ピシウム菌、リゾクトニア菌による苗立枯病に注意。
春~夏まきでは催芽(芽出し)させて発芽を揃えます。エボプライム処理(発芽促進処理)された種子はそのまま播種します。

ホウレンソウの発芽

覆土
まき溝
 ○
まき溝が平らだと覆土の深さも発芽も揃う。
覆土
 ×
覆土に凹凸があると水が低い所にたまって立枯れを起こしやすく、
発芽が不揃いになりやすい。
まき溝
 ×
まき溝に凹凸があると覆土の厚さが不揃いになり発芽もバラバラ。
その後の生育もムラになる。

間引きと水管理

[間引き]

株間が狭いと株数は増えますが、1株の葉数が少なくなります。また葉柄も伸びて徒長し、病気が発生しやすくなります。反対に株間が広いと葉数が多く、葉幅も広くなり1株のボリュームが増します。ただし草姿が開きやすく、収獲作業がしにくくなります。

1回目
子葉が開いたとき…株間2~3cm程度に間引きする

2回目
本葉2~3枚のとき…最終株間は5~7cm程度

[水管理]

水管理の目安…発芽揃いまでは湿潤に保つが、その後は控え目とする(露地栽培では水分管理が難しいので、目安にしてください)

収穫

ホウレンソウの適期収穫は草丈が22~25cmが目安です。収穫遅れになることが多いので、一度にたくさんまかず必要分だけ時期をずらしてまく「段まき」するとよいでしょう。

ベと病

ベと病は、ホウレンソウの地上病害として最も重要な病害です。病原菌は糸状菌(カビ)で、畑での残渣が発生源となるため、連作すると発生が多くなります。分生胞子の発芽適温は8~10℃、平均気温が8~18℃(平均15℃)の多湿条件下で最も発病しやすく、20℃以上では少なくなり、曇雨天が続くと発病しやすくなります。
春および秋季のべと病被害の多い時期には、べと病抵抗性品種を利用するとよいでしょう。チッソ過多や密植栽培は被害を助長するので注意が必要です。発生初期からの徹底防除が必要で、発病した場合は殺菌剤を定期的に散布するようにしましょう。

病害や生理障害

<病気>
総監修・イラスト原図 : 駒田旦
本文監修:大阪府立環境農林水産総合研究所 草刈眞一
写真提供 : 木曽晧(AK)、草刈眞一(SK)、駒田旦(HK)
<害虫>
総監修 : 大阪府立環境農林水産総合研究所 田中寛 監修 : 草刈眞一、柴尾学
写真提供 : 田中寛(HT)、木村裕(YK)、柴尾学(MS)

Q&A

初夏にホウレンソウをまいたところ、トウ立ち(抽苔)してしまいました。どうしてでしょうか?

トウ立ちをして困る野菜はいろいろとありますが、一般に低温が引き金となって花芽を作り、トウ立ちをする野菜が多いです。しかしホウレンソウは、長日条件によって花芽分化やトウ立ちが行われます。さらに詳しく調べますと、本葉が4~5枚展開したころに花芽の分化が起こり、この分化した花芽が生長してトウ立ちします。さらに生育初期に低温にあうと、トウ立ちは一層促進されます。

このためホウレンソウは、春先~初夏にかけての日長が長くなる時期にトウ立ちしやすく、初夏~夏まき栽培が最も難しくなります。しかし、品種によってこの日長反応が異なるため、トウ立ちの遅い品種を利用することによって夏場の栽培も可能となります。例えば‘おかめ’などが暑さに強く、トウ立ちの遅い品種として夏場の栽培に適しています。

なお不良条件での栽培は、トウ立ちを招きやすいので注意します。また、街灯のような弱い光にも感応してトウ立ちが促進されるので気をつけましょう。

ホウレンソウの寒締め栽培について教えてください。また、おすすめの品種はありますか。

ホウレンソウの寒締め栽培は、農研機構東北農業研究センターで開発された技術です。冬どりハウス栽培などで、収穫可能な大きさまで育った時点でハウスの周囲を開放し、真冬の冷たい空気にさらして「寒さで締め」、収穫まで栽培を続けるというものです。

寒締め栽培により、ホウレンソウは寒さに耐えるために茎や葉の水分が減少し、葉に糖などを蓄えて甘くなり、よりおいしくなります。しかもカロテノイドやポリフェノールなどの機能性成分が増え、抗酸化機能も高まることが分かってきました。さらにビタミンC含量も大きく増加して、スクロース(しょ糖)も増加します。

一般的には、5℃以下の気温で10日以上放置すると糖度が上がるとされています。この研究に用いられたタキイ交配のホウレンソウ「弁天丸」は、べと病レース1~10に抵抗性をもつ秋冬どり種です。アクが少なくて食味がよく、葉柄がしなやかで折れにくく、結束調整が容易です。特に耐寒性が強く低温下では甘みを増し、寒締め栽培には打ってつけの品種です。