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ミニ葉牡丹(ハボタン)育て方!多粒まきのコツもご紹介

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ミニ葉牡丹(ハボタン)育て方!多粒まきのコツもご紹介

ハボタンは昔から日本の冬を彩り、迫力ある草姿で人々の目を楽しませてきました。近年ではお正月のイメージだけでなく、フラワーアレンジなど幅広い楽しみ方が提案され、ハボタンの新たな可能性が広がっています。今回ご紹介する「ミニ仕立て」も従来にはなかった創造性にあふれる仕立て方で、斬新さや見た目のかわいらしさに、きっと心奪われることでしょう。作り方も簡単なので、ぜひご家庭で試してみてください。

山口まり

(株)樹芸 山口やまぐちまり

千葉大学園芸学部を修了後、月刊「自然と盆栽」編集部勤務を経て、グリーンコーディネートの仕事に携わりながら、山野草などの栽培を始める。現在、(株)樹芸を営むかたわら、花や緑を暮らしの中で楽しむことを提唱し、「花を楽しむ教室」を主宰。ガーデニング講座の講師も務める。著書に『相性別寄せ植え』(ブティック社)、共著『野の花を楽しむ本』『花のくらし』『くらしの花百科』(いずれも講談社)、監修『小さな苔BONSAI』(学研)『和のガーデニングBONSAI寄せ植え』(永岡書店)など。

ハボタンを多粒まきに

冬の花壇を彩るハボタンは、パンジーとともにその季節には欠かせないものです。近ごろでは、まるでバラを思わせる色と葉組をもつミニサイズのハボタンやピンチ苗など、さまざまな形状のものが出回り、コンテナガーデンやハンギングバスケットにあしらって、冬季の屋外の花飾りとして楽しんでいます。

しかし以前の私は、その圧倒的な存在感に、やや敬遠しがちなところがありました。ハボタンは、わが国で改良が進んだ代表的な植物にもかかわらず、「清楚な和」の雰囲気があまり感じられず、味わいある趣きを楽しむにはそぐわないように思われたのです。そんな折、多粒まきをしてみたら、とのアドバイスをいただき、早速、実施してみました。

どんな姿になるかドキドキしながらの栽培でしたが、結果はハボタンの新しい魅力を発見することとなりました。多粒まきにしたハボタンは、葉数が少なく市販されている種々のミニハボタンとも、まったく雰囲気を異にしています。その楚々としたかわいい姿は、ハボタンのイメージを一新するものでした。

冬から春へ変化を楽しむ

寒さが増す12月初旬ごろから中心部が着色し始め、年明けにはそれぞれの品種が特徴ある色合いに変化します。寒さが増すほど緑色が抜けて澄んだ色になり、厳寒のころが一番美しく輝きます。そして、日差しに暖かさが感じられるころになると、緑の部分や着色部の色がさらに薄くなり、透き通るような淡い色に変化して、まさに花のような姿になりました。

ソメイヨシノが咲くころには、小鉢はまるでピンクの小花を集めたブーケのようになり、「鉢に花を挿したのかと思った」とおっしゃる方もいて、誰もが驚きと賞賛の声をあげました。ソメイヨシノが満開になるころ、今度は、全体に緑色が乗ってきて、緑・桃・白のコントラストが、新鮮で爽やかな色合いになるのです。

花壇やコンテナのハボタンは、3月下旬にはトウが立ち、黄色の花を咲かせますが、この多粒まきでは、花が咲かず、気温が上がるにつれて再び緑色になり、生長を始めます。4月中に植え替えとピンチをし、葉物として夏場を楽しみ、冬には「持ち込み物」のハボタンとして2年目を楽しんでもよいでしょう。

丸葉の‘つぐみ’、切れ葉の‘紅かんざし’と、フォルムの違いを生かすことで、見た目にもおもしろくなる。内径9cm×6.5cm(外径14cm×10cm)のコウガ石鉢に25粒使用。

白に淡いピンクがかわいらしい‘白かんざし’。直径7.5cmの鉢に15粒まき。

深い紅色が美しい‘紅かんざし’。

モダンアート風に飾ってもおもしろい。

ハボタンのミニ仕立ての方法

ミニ仕立てに作りたい品種

播種時期が遅いミニ仕立てゆえに、草丈・葉数などの品種特性はあまり現れてこないようです。高性種は、矮性種よりやや草丈が伸びる程度の違いはありますが、丸葉系の矮性種であれば、どの品種でもかわいらしく育ちます。

品種の選定は、着色部の色を基本に、単色にするか複色にするか、また葉型を同じにするか、丸葉と切れ葉など葉型の異なる組み合わせにするかなどを考えます。そして、葉型・色・系統の異なるものを数品種準備し、楽しむ時の姿をイメージしながら、1品種だけで、また数品種のミックスで播種してもよいでしょう。同系統の品種で色違いのミックスにした場合は、生長や葉形が同じなので、まとまってすっきりした雰囲気になります。切れ葉系の品種は、レースのような繊細な雰囲気なので、単独で優美にしても、あるいは丸葉系のものと組み合わせてアクセントとしてもよいものです。

特に、‘紅はと’‘白はと’は、2月下旬ごろになると葉の縁が外側にカーブし、色も一層澄んで花そのもののようになります。

‘バイカラートーチ’を11cm×14cmの鉢に50粒まきにした。

用いる品種によって魅力もさまざま!

指先でつまめるくらいの小ささに育つ。

鉢選び

鉢の大きさとタネをまく量により、ハボタンの大きさが決まってきます。根がたくさん伸びることができる鉢であれば、地上部は大きく育ち、逆に根の回りが少ない鉢なら、地上部は小さく育ちます。目的に合わせ、鉢の大きさ・形・色などを決めてください。鉢の雰囲気で観賞時のイメージが変化してきますので、鉢選びは重要です。

根鉢の大きさによって株張りが変わってくる。

タネまきの方法

楽しみたい鉢に直まきをし、移植せずに育てます。

鉢が深い場合は、水はけをよくするため底にゴロ土を敷きますが、浅鉢の場合は、直接赤玉土の細粒を入れます。1cm²当たり1~2粒を目安に、鉢内に均等になるよう、ていねいに置くように播種し、タネが隠れるくらいに覆土します。

覆土したら、鉢底から水を吸わせ、明るい日陰で乾かさないように管理します。2~3日で発芽してきます。

タネまきの時期

関東南部では、暑さが収まってきた9月にタネまきをします。なるべくなら9月中旬ごろにまくのがよいでしょう。

ハボタンの発芽適温は20~25℃なので、気温が下がる10月に入ってしまうと発芽が極端に落ちてしまい、その後の生長も思わしくありません。

肥料

小さな鉢で育てるため、肥料不足をきたすので、播種時にあらかじめ元肥として緩効性の花用肥料(タキイ園芸職人 花の充実肥料など)を少量混ぜ込んでおきます。肥料切れを起こすと生育に遅れがみられたり、下葉から落ちて、葉数が極端に少なくなってしまいます。

2月以降になったら、1週間に1度、液肥を与えるようにします。暖かくなり、葉が緑色に変わってくるまで、美しい状態で楽しむことができます。

病害虫対策

涼しくなってからの播種なので、病気の心配はほとんどありませんが、アブラムシや、葉を食害するアオムシやケムシ類が発生します。見つけ次第捕殺したり、薬剤を散布したりしてください。

また、野鳥の食害にも注意が必要です。餌がなくなった冬季に赤紫の葉色は、小鳥たちの食欲をそそるのか、美しく整った葉がついばまれてしまうことがあります。野鳥の目につかないところで管理したり、ベタ掛けシートなどで覆って防衛してください。

管理と水やり

発芽後からは、日当たりのよい所で管理し、霜が降りるようになったら、直接寒さや寒風が当たらない南向きの軒下や無加温のフレーム内などに置きます。

小さな鉢なので、よく乾きます。特に初期の生育段階に水切れを起こさせると、落葉や生育障害の原因になりますので、水切れさせないように十分注意してください。冬季でも、乾いたら鉢底から抜け出るまでたっぷり与えます。

ミニ仕立てのタネまき~着色~減色

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    9月11日、それぞれの器に赤玉土を入れる。今回は大きい器でも直径15cmほど、小さい器はお猪口程度の大きさのものを用意した。

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    土を入れ終わったら、その上にタネをまいていく。1cm²当たり1~2粒が目安(内径6.5cm×6.5cm、外径10cm×10cm)。

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    9月15日、発芽が見られるようになる。

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    9月28日、本葉が確認できる。

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    10月18日の様子。

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    11月25日の様子。だいぶ葉枚数が増えてきた。

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    1月7日、厳寒期に入ると赤く色づく。

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    3月29日、気温の上昇とともに赤みが減って、白が目立つようになる。

 

減色したハボタン

3月中下旬には全体に白さが増し、ハボタンとは思えない不思議な発色になります。