
高梨さゆみ(たかなしさゆみ)
イギリスでガーデニング文化の魅力に触れて以来、雑誌や本などですぐに役立つガーデニングの情報を発信。イギリスや日本全国の庭を巡るほか、日々の花散歩で見かけた「これはいい!」という植物をSNSなどでも紹介する。花苗や切り花の生産農家も訪ね、人気の花、新しい花の情報を得ると同時に栽培のアドバイスも取材。

品種豊富な春〜初夏の一年草は
花壇で大活躍!

チューリップなどの秋植え球根が終わってから、宿根草が咲き揃うまで、庭に花がない時期が生じることがよくあります。そんな時期にぜひ利用したいのが初夏に咲く一年草です。じつは観光ガーデンでも、その時期に咲く一年草を上手に取り入れている所が多くあります。今回は、プロのガーデナーがよく利用する初夏に咲く一年草を紹介します。いずれもタネから手軽に栽培できるので、秋の間にタネまきをして丈夫な苗を育てておいてください。
まずは4月から咲き出すキンセンカ。以前は仏花として切り花の印象が強かった花ですが、しゃれた花色も増え、ガーデナーの間で大人気になっています。キンセンカといえば黄色、またはオレンジ色のイメージですが、最近ではパステルカラーや少し茶色がかったシックな花色もあります。何よりタネから育てやすいのも大きな魅力です。
次におすすめしたいのは、ナデシコ=ダイアンサス。品種によって開花に違いがありますが、多くが5月に咲き出し、秋にも再び花を楽しめます。観光ガーデンで私がひと目惚れしたのが「ケンジントンミックス」という品種。切れ込みのある花弁、白〜ピンクの覆輪など、かわいらしい要素たっぷり!ガーデナーの間でもおしゃれだと評判でした。
ほかにもシックな花色が欲しいなら美女撫子の「ブラックアダー」、花壇にブルーが欲しいならリナム「ブルードレス」など、利用目的に適した品種が豊富に見つかりますよ!
キンセンカ・スノープリンセス

淡いクリームイエローの花が新鮮な印象
春花壇に高性種のキンセンカを毎年利用しているガーデナーが、「これはよい意味でキンセンカらしくなくておしゃれ!」と評していたのがこの品種。花壇で咲いているのを見て、その涼しげな花色になるほどーと納得しました。セミダブルの花形もとてもきれい!
ダイアンサス・ケンジントンミックス

ひと目惚れするほど愛らしくしゃれた花
赤やピンクのダイアンサスはおなじみのせいか、目にとめることはなかったのですが、この品種が咲いているのを見たら立ち止まらずにはいられませんでした。弁先の繊細な切れ込み、濃淡ピンクのバイカラーなど心惹かれる美しさです。
美女撫子・ブラックアダー

黒みを帯びたクリムソンレッドが個性的
プロのガーデナーが好んで使う黒みを帯びた花色。単体で見るより、ほかの花色と組み合わせたときに、そのすばらしさがわかる花です。互いの花色を引き立て合うだけでなく、花壇の引き締め役にもなってくれます。
リナム・ブルードレス

春~初夏には少ない貴重な青花
花壇の花色合わせを考えるとき、アクセントとして欠かせないのがブルーの花です。春〜初夏の花でブルーを探すと意外に少なく、この鮮やかで涼しげなブルーは貴重な存在。50cm程度の草丈も使いやすく、プロのガーデナーがよく利用するのも納得です。
アグロステンマ・桜貝

風になびくさまがナチュラルでさわやか
茎が細く、少しの風でもなびくしなやかな姿が人気で、観光ガーデンで群植されているのを見かけるたびに、なんともさわやかなシーンだと感じます。この品種は名前の通り桜貝のようなごく淡いピンクが上品で、涼しげな雰囲気がとても魅力的です。
カスミソウ・コベントガーデン

繊細な白花が軽やかに咲くシーンに感激
温暖地の庭で、地植えでたくさんの花を咲かせるカスミソウを見たときにはびっくりしました。草丈が50~70cmで、ほかの高性の一年草と混じり合うように咲く景色がとても素敵で、「庭にカスミソウもあり!」と実感。従来のカスミソウより花が大きいので、純白がよく目立ちます。