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特性を生かして 宿根草と球根のGarden Design特性を生かして 宿根草と球根のGarden Design

毎回季節の草花をピックアップ。その特性を生かしたガーデンでの使い方を、相性の良い植物とあわせてご紹介していきます。通常友の会会員様しか読めない、月刊誌「はなとやさい」に掲載の記事となりますが、特別公開しますので、ぜひご覧ください。

vol.9

クレマチス

クレマチスClematis spp.
キンポウゲ科センニンソウ属

クレマチス・モンタナの植栽クレマチスといえば、これまでテッセンに代表される大輪の花を咲かせる品種を中心に、主に鉢花として栽培されてきました。そして、ここ数年来の英国庭園ブームにより、庭で咲く魅力的な姿が紹介され、ガーデンプラントとして再び脚光を浴びるようになりました。
クレマチスの仲間は、世界中に300種近くが分布しており、日本には約20種が山野に自生しています。美しい花を咲かせるものが多く、日本でも、江戸時代に自生のカザグルマから園芸品種が作られるなど、古くから人々に愛されていました。また、安土桃山時代の蒔絵には、中国原産のテッセンが描かれており、当時すでに日本に入って栽培されていたことが想像されます。今日、膨大な数の園芸品種が作出されていますが、本格的な育種の始まりは、19世紀にシーボルトらが日本や中国など東アジアに自生する種を持ち帰ったことによります。
ひと口にクレマチスといっても、その姿、性質はさまざまです。直径20cmもある大輪の花からわずか数cmの小さな釣鐘状の可憐な花まであり、また花色も純粋な青色を除けばほとんどの色が揃います。最も華やかなのは春から初夏にかけての季節ですが、真夏に咲く品種、秋から開花を始める品種、真冬に開花する品種などがあり、組み合わせ次第で、1年中クレマチスを楽しむガーデンづくりも可能です。

主な園芸品種

クレマチスの品種は、いくつもの系統に分けられていて、それぞれの生育サイクルや剪定などの管理方法も異なります。クレマチスの生態を理解するには、まず、どの系統に属する品種なのかを確認することから始まります。

ビチセラ系

四季咲き性、新枝咲き。耐暑性があり、1番花が終わった後、地際から数節残して強く切り戻すと、2番花も楽しめる。冬に充実した芽の所まで切り戻す。

‘ボナンザ’‘Bonanza’

‘ボナンザ’‘Bonanza’

パステル調の青紫色の花は、バラなどと組み合わせやすい。

‘エトワールローズ’ ‘E’toile Rose’

‘エトワールローズ’ ‘E’toile Rose’

上品な桃色に、濃桃色の筋が入る。剛健で長期間花を楽しめる。

インテグリフォリア系

四季咲き性、新枝咲き。耐暑性があり、花期が長いものが多い。冬に数節残して切り戻す。

‘篭口’(ロウグチ)‘Rohguchi’

‘篭口’(ロウグチ)‘Rohguchi’

小さな紫色の半鐘形の花を多数咲かせる。暑さに強く花期が長い。

モンタナ系

一季咲き性、旧枝咲き。春に愛らしい桃色の花を多数咲かせる人気のグループ。少し暑さに弱いので、暖地では東に面した場所に植え付けるのがよい。剪定は、枝を整理する程度にとどめる。

モンタナ・ルーベンス C. montana var. rubens

モンタナ・ルーベンス C. montana var. rubens

紫桃色の花には甘い香りがある。次第に色が淡くなり、その濃淡が美しい。

パテンス系

一季咲き性、旧枝咲き。日本自生の、「カザグルマ」の血を引いた系統。大輪の花を咲かせる品種が多い。品種によっては、1番花の後、弱く切り戻すと再び開花する。冬の剪定はしない。

‘藤の川’‘Fujinokawa’

‘藤の川’‘Fujinokawa’

鮮やかな紫色の大輪花を咲かせる。ライム色の葉をもつ植物と美しいコントラストをつくる。

‘プロテウス’ ‘Proteus’

‘プロテウス’ ‘Proteus’

淡い桃紫色の優しい質感の花を咲かせる。後半に咲かせる花は一重咲きになる。

シルホサ系

一季咲き性、新旧両枝咲き。ほかのクレマチスと生育パターンが異なり、夏に落葉して休眠し、秋から生長を始める。水はけのよい場所を好む。剪定は、枝を整える程度にとどめる。

‘日枝’ ‘Hie’

‘日枝’ ‘Hie’

花弁外側の乳白色と、内側の濃赤紫の斑のコントラストが美しい。

ジャックマニー系

四季咲き性、新枝咲き。1番花の後、数節残して切り戻すと、2番花が楽しめる。冬に充実した芽の所まで切り戻す。バラとの組み合わせにおすすめの系統。

‘ニオベ’‘Niobe’

‘ニオベ’‘Niobe’

咲き始めは、黒に見えるほど濃い赤色の花を咲かせ、次第に淡くなる。

‘ロマンティカ’‘Romantika’

‘ロマンティカ’‘Romantika’

深い紫色の花を多数咲かせる。淡い桃色のバラと組み合わせると美しい。

フロリダ系

四季咲き性、新旧両枝咲き。テッセンが含まれる。1番花後、軽く切り戻すと、2番花が楽しめる。冬は枝を整える程度にとどめる。

白万重C.florida var.flore-pleno

白万重C.florida var.flore-pleno

しべが白色に弁花している。暑さに強く、長期間花を楽しめる。

テキセンシス系

四季咲き性、新枝咲き。花が少なくなったころに強剪定を繰り返すと、長期間花を楽しめる。冬は地際で切り戻す。

‘プリンセス・ダイアナ’‘Princess Diana’

‘プリンセス・ダイアナ’‘Princess Diana’

濃桃色で、小さなチューリップのような花を多数咲かせる。暑さに強く丈夫。

ガーデンでの使い方

コンパクトに仕立てることもでき、またアーチやフェンスに誘引して立体的に演出することもできるクレマチスは、スペースが限られた狭い庭でも大活躍します。パーゴラやアーチに絡ませる方法は常套手段ですが、満開のクレマチスの花の下をくぐり抜ける喜びは多くのガーデナーの憧れでしょう。この場合はもちろん性質が丈夫で大きく育つ品種を選びます。また、クレマチスは、葉柄がかぎ状になってよじ登っていくので、太い支柱の場合は誘引が必要になります。フェンスやトレリスによじ登らせて、目隠しやパーテーションとすることも可能です。オベリスクや支柱を立てて、花壇でほかの宿根草と組み合わせるのもよいでしょう。
ぜひ挑戦したいのが、ほかの潅木や低木に絡ませる方法です。オオデマリやオウバイなどの花木は花後の変化に乏しく感じる時があります。前述のオベリスクの代わりとして潅木に絡ませることで、異なる季節に別の花を咲かせるような効果が得られます。また、豊富な花色があるバラとの組み合わせを考えるのも楽しいでしょう。どちらの場合も、新枝咲きで冬に強く刈り込める品種の方が、枝の取り扱いを気にする必要がないので適しています。黄葉、銀白葉、銅葉などのカラーリーフプランツは、クレマチスの花を華やかに引き立ててくれます。

クレマチスの植栽イメージ

〔使用している植物〕

  1. クレマチス‘フラウ・ミキコ’
  2. モナルダ
  3. ジギタリス
  4. エキノプス
  5. クレマチス・アーマンディ‘アップルブロッサム’
  6. クレマチス‘ビルドリオン’
  7. バラ(フロリバンダ系)
  8. クレマチス‘プリンス・チャールズ’
  9. リクニス・コロナリア‘アルバ’
  10. ペンステモン‘ガーネット’
  11. コレオプシス‘ザグレブ’
  12. カレックス・コマンス ブロンズ・フォーム
  13. アメリカテマリシモツケ‘ディアボロ’
  14. クレマチス‘ベティー・コーニング’

クレマチスと相性のよい植物

花木類

ドイッツア・エレガンティシマ・ ‘ロゼリアンド’(ウツギの仲間)オオデマリ
  • アジサイの仲間
  • ウツギの仲間
  • オウバイ
  • オオデマリ
  • ツツジ
  • バイカウツギの仲間
  • バラ(ツルバラ、オールドローズ、フロリバンダ系ほか多数)
  • ブッドレア
  • マンサク

草本類

ジギタリス カールドン
  • カールドン
  • ジギタリス
  • ペンステモンの仲間
  • マーガレット
  • ムラサキセンダイハギ
  • リクニス・コロナリア
  • ルドベキア

カラーリーフプランツ

シモツケ黄葉品種 アメリカテマリシモツケ‘ディアボロ’と クレマチス(品種不明分)
  • アメリカテマリシモツケ‘ダーツ・ゴールド’
  • アメリカテマリシモツケ‘ディアボロ’
  • オウゴンメギ
  • ケムリノキ(紫葉、黄葉系品種)
  • サワラ‘ゴールデン・モップ’
  • シモツケ
  • タニウツギ‘ルビー・クイーン’
  • ハナズオウ‘フォレスト・パンジー’
  • ヘリクリサム・ペティオラーレ
  • メギ(紫葉、黄葉系品種)
  • ロニセラ・ニティダ‘バゲッセンズ・ゴールド’

その他の木本類

ヘデラ コニファー類
  • コトネアスターの仲間
  • コニファー類
  • セイヨウキヅタ(アイビー)
  • ヘデラ

クレマチスの栽培方法

栽培適地

基本的に日当たりを好みますが、暑さに弱い品種は、強い西日を避け、朝日が当たる場所か、明るい木陰などに植え付けます。株元に直接太陽光が当たって地温が上がるのを嫌うので、ほかの植物の株元に植えたり、すぐ隣に少し大きい石を埋め込んだりするのも、根を涼しく保つよい方法です。腐葉土などでマルチするのも効果がありますが、立枯病を防ぐために株にマルチ材がかからないように注意します。

クレマチス‘ベティー・コーニング’

クレマチス‘ベティー・コーニング’

植え付け

入手した苗がまだ小さく根が少ない場合は、すぐに地植えせずに1~2年は鉢で栽培するようにします。また、多くの植物は深植えを嫌いますが、クレマチスの場合は、何節か茎を埋め込むように植え付けると、根が各節から伸びて生長を手助けします。直根性で根が傷つくのを嫌うので、根鉢はていねいに扱いましょう。また、植え替えも嫌うので植え付け場所を十分に見極めることも重要です。

剪定

剪定はクレマチスの栽培において重要な作業です。品種の特性にあった剪定を行うことが開花を左右します。大きく、季節をまたいで開花する四季咲き性のものと、一季咲き性の2種類に分けることができます。前者は、花後に弱い剪定、もしくは強く切り戻すことにより、再度花を咲かせることができます。後者は、基本的に花後の剪定はしません。

種類が多くて圧倒されそうですが、まずは日本の気候にあった、簡単に栽培できる品種からはじめて、徐々にバリエーションを広げてクレマチスの奥深い世界を探求してみてください。

月江 成人 (つきえ しげと)

ホルティカルチャリスト。(株)プランタス代表。地域の景観と調和した、植物が主役の庭づくりを提案。2年前に山間の小さな町に移住。古民家再生と理想の庭をつくるべく日々奮闘中。兵庫県在住。

「はなとやさい」2010年3月号より

クレマチスの苗の販売

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